2026年6月2日火曜日

DeBARGE『Rhythm Of The Night』解説|ダイアン・ウォーレンの出世作となった80年代R&Bヒット盤

 モータウン・レコードの歴史において、1980年代前半に鮮烈な輝きを放った兄弟グループがデバージ(DeBARGE)である。彼らの通算4枚目のアルバムであり、グループ最大のヒット作となったのが、1985年発表の『Rhythm Of The Night』だ。

表題曲の大ヒットにより、グループは一躍スターダムへのし上がった。本作は彼らの音楽的到達点であると同時に、ポップ・ミュージック史においても重要な転換点となった名盤である。


リズム・オブ・ザ・ナイト
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類まれな才能が集結したファミリー・グループ「デバージ」とは

デバージは、ミシガン州デトロイト出身の兄弟姉妹で構成されたR&B/ソウル・グループである。ジャクソン5の成功を追うようにモータウンと契約した彼らは、美しいきょうだいならではのハーモニーと、卓越したメロディセンスで頭角を現した。

グループの中心人物であり、リード・ヴォーカルを務めたエル・デバージ(El DeBarge)の官能的なハイトーン・ファルセットは、当時のR&Bシーンでも唯一無二の魅力を放っていた。本作の歴史的大ヒットを受け、デバージはその後、エル・デバージを筆頭にメンバーそれぞれがソロ活動へと乗り出していくことになる。

本作『Rhythm Of The Night』の音楽的特徴

本作の最大の鍵は、それまでのセルフ・コンポーズ(自作自演)路線から一歩踏み出し、外部の気鋭クリエイターを大胆に起用した点にある。デバージが本来持っていた都会的で洗練されたR&Bマナーに、当時の最先端であったエレクトロ・ポップやダンス・ミュージックの要素が融合し、より幅広い層へアプローチするキャッチーなサウンドへと進化を遂げた。

リチャード・ペリーをはじめとする大物プロデューサー陣の参加により、きらびやかなシンセサイザーの音色と、グループの武器である極上のコーラスワークが見事な調和を見せている。

主要楽曲の分析とエピソード

① Rhythm Of The Night

本作のタイトル候補であり、R&Bチャートで1位、全米ポップチャートでも2位を記録する大ヒットとなったダンス・ナンバーである。モータウンが製作した映画『The Last Dragon』(日本未公開)のサントラにも収録され、ブームを牽引した。
この曲を手掛けたのは、後に数々の世界的ヒット曲を生み出すことになる大物ソングライター、ダイアン・ウォーレン(Diane Warren)である。彼女にとって、この『Rhythm Of The Night』こそが出世作となった。ダイアンはこの成功を足がかりに、エアロスミスの『I Don't Want to Miss a Thing』やシカゴの『Look Away』、スターシップの『Nothing's Gonna Stop Us Now』(アルバート・ハモンドとの共作)といった、音楽史に残る名曲を次々と世に送り出すことになる。
楽曲自体は、カリプソやラテンのトロピカルなエッセンスを取り入れた軽快なアップテンポのビートが特徴である。哀愁を帯びつつも開放的なメロディは、一度聴いたら耳から離れない強力なフックを持っている。

② Who's Holding Donna Now

アルバムからのセカンド・シングルであり、デバージの真骨頂とも言える極上のAOR/大人向けのバラード。名匠デイヴィッド・フォスターがプロデュースとソングライティングに名を連ねており、洗練された都会的なアーバン・ソウルの傑作に仕上がっている。エルの切なくも甘いヴォーカルが、美しいメロディラインを完璧に表現している。

③ You Wear It Well

ファンキーなシンセ・ベースとリズミカルなカッティング・ギターが心地よい、当時のアーバン・ダンス・ポップのトレンドを体現したナンバー。エルのシャープなヴォーカルと、きょうだいたちのタイトなコーラスの掛け合いが、グループとしての高い実力を証明している。


『Rhythm Of The Night』は、80年代のR&Bサウンドを語る上で絶対に外せない重要作である。ポップでダンサブルな表題曲から、胸を打つ洗練されたバラードまで、デバージというグループが持つポテンシャルが最高峰のクリエイター陣の手によって開花した。いま改めて針を落としても、その鮮やかなサウンドは決して色褪せることはない。

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