はじめに:プロデューサー、アラン・トゥーサンが放つ「涼し気なファンクネス」
アラン・トゥーサンといえば、パフォーマーとしてよりも敏腕プロデューサーとしての実績が名高い存在です。しかし、彼本人名義のアルバムにも『サザン・ナイツ』という不朽の名盤が存在します。
このアルバムで聴けるのは、実になんとも涼し気なファンクネス。リズムの根底にあるのは、間違いなくニューオーリンズ土着のセカンド・ライン・シンコペーション(独自のハネるようなリズム)です。それにもかかわらず、どこにも暑苦しさを感じさせません。濃密なオリジナリティーを湛えたサウンドに、少し線の細いクールで知的な歌声が乗る――そのバランスが絶妙なのです。
近年ではNonesuchレーベルからインスト中心のジャズアルバム『Bright Mississippi』もリリースしていますが、こちらも録音・演奏ともに最高峰。ジャズという枠組みでありながら「ジャズ臭さ」を感じさせないあたりに、実にトゥーサンらしい洗練されたセンスが光っています。
アラン・トゥーサン
Warner Music Japan =music= (2008-05-28)
売り上げランキング: 20,253
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Allen Toussaint
Nonesuch (2009-04-21)
売り上げランキング: 53,122
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音楽界に広がるトゥーサンの偉大な足跡とコネクション
CD棚を改めて眺めてみると、このアラン・トゥーサンのコネクションから生まれた素晴らしい音楽がいかに多いかに驚かされます。
たとえば、ハリケーン・カトリーナのチャリティー・アルバムとして制作された、エルヴィス・コステロとの連名作『ザ・リヴァー・イン・リヴァース』。当時、トゥーサンのスタジオも被災して全壊するという苦境のなかにありましたが、アルバムからは彼のご機嫌で元気な歌声が聴こえてきて、多くのファンを安心させ、喜ばせました。また、日本からは中島美嘉さんがカトリーナ復興チャリティとしてリリースした『All Hands Together』に、彼が参加していたことも記憶に新しいところです。
エルヴィス・コステロ&アラン・トゥーサン
ユニバーサル ミュージック クラシック (2006-05-27)
売り上げランキング: 150,512
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出色の一枚:フランキー・ミラー『Frankie Miller's High Life』
そんな数あるトゥーサン関連作のなかでも、彼が「プロデューサー」として最高の仕事を果たした一枚として真っ先に挙げたいのが、フランキー・ミラーの『High Life』です。
本作に収録されている楽曲の約半数は、トゥーサン自身のソロアルバムからのナンバー。天才マエストロ自らが厳選しただけあって、どれも一級品の名曲ばかりです。トゥーサンは全曲のアレンジを手掛け、ピアノも自ら演奏するという八面六臂の活躍を見せていますが、それ以上に凄いのがフロントに立つフランキー・ミラーの「歌」そのものです。
かつて“オーティス・レディングの再来”とまで称されたミラーのソウルフルな歌声が、トゥーサンの紡ぐ濃密なニューオーリンズ・サウンドと融合しているのですから、これが悪くなるはずがありません。奇妙なほどに知名度は低いものの、間違いなく「名盤中の名盤」と言えるクオリティを誇っています。
Frankie Miller
Repertoire (2007-10-31)
売り上げランキング: 411,663
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総論:時代に埋もれさせてはならない「文化遺産」
これほどの傑作でありながら、世間一般での知名度の低さゆえに、本作は長らく廃盤の憂き目に遭ってきました。2007年に再発された際も、熱心なリスナーの間であっという間に完売してしまったほどです。
「どのレーベルからリリースされたか」という大人の事情や流通の都合だけで、このような素晴らしい音楽という名の“文化遺産”が手に入りにくくなってしまうのは、音楽ファンとしては本当に納得がいかないものです。
サブスクリプションや再発の波のなかで、こうした「知る人ぞ知る名盤」に再び光が当たり、一人でも多くのリスナーの耳に届くことを願ってやみません。もしどこかで見かける機会があれば、それは間違いなく「買い」の一手です。
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