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『Rainbow / Down To Earth』商業的ブレイクとポップ路線の開花

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  グラハム・ボネットを迎えた、新生レインボーの一大転換点 1970年代の様式美ハード・ロック・スタイルを堅持するために欠かせないボーカリスト、ロニー・ジェイムス・ディオの脱退は、まさにレインボー最大の危機だった。そしてこの危機に瀕してリッチー・ブラックモアが選んだ道は、過去の幻想的な世界観の踏襲ではなく、よりストレートでキャッチーなアメリカン・ロックへの大胆な舵取りであったのだから、リッチー御大、やはりとんでもないお人であった。 1979年に発表された4枚目のスタジオ・アルバム『Down To Earth(邦題:ダウン・トゥ・アース)』は、新ボーカリストにグラハム・ボネット、ベースに元ディープ・パープルのロジャー・グローヴァー(プロデュース兼任)らを迎え、バンドの商業的ブレイクを決定づけた重要作である。 孤高のギタリストが求めた、新しいアプローチ 前作『バビロンの城門』までに築き上げた「中世の騎士や魔法」といったファンタジー要素から脱却し、より現実的でモダンなロックを目指したリッチー・ブラックモアの意図は、アルバムのタイトル(「地に足の着いた」の意)にも明確に表れている。 ロニーの叙情的な歌唱に代わってバンドの顔となったグラハム・ボネットは、およそハード・ロックのシンガーとは思えない短髪にスーツ姿という異色のビジュアルでありながら、圧倒的な声量と強烈なハイトーン・シャウトを誇る実力派であった。彼のソウルフルでブルージーな歌声は、リッチーが求めていた「ラジオに映えるキャッチーなロック・サウンド」を具現化する最高のピースとなったのである。また、名ドラマーであるコージー・パウエルが本作まで残留していることも、アルバムの骨太な推進力を維持する上で決定的な役割を果たしている。 音楽的特徴:洗練されたポップ・センスと骨太なハード・ロックの共存 『Down To Earth』の最大の音楽的特徴は、リッチーのエッジの効いたリフとコージーのヘヴィなドラミングというレインボー本来の強みを活かしつつ、シングルヒットを意識した明快なメロディラインを大胆に取り入れた点にある。 ロジャー・グローヴァーによる緻密なプロデュースワークは、各楽器の分離を良くし、洗練されたモダンな音像を作り出すことに成功した。新加入のキーボーディスト、ドン・エイリーによるきらびやかなシンセサイザーの導入も、...

『Rainbow / Long Live Rock 'n' Roll』【レインボー『バビロンの城門』徹底解剖】

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ロニー最終作にして様式美ハード・ロックの頂点、その音楽的魅力を探る 1970年代後半のロック・シーンは、パンク・ロックの台頭によって激しい地殻変動の渦中にあった。クイーンが生々しいロック・サウンドへと舵を切ったのと同じ頃、元ディープ・パープルのギタリストであるリッチー・ブラックモア率いるレインボー(Rainbow)もまた、自らのアイデンティティを賭けた重要な過渡期を迎えていた。 1978年に発表された3枚目のスタジオ・アルバム『Long Live Rock 'n' Roll(邦題:バビロンの城門)』は、誰もが認める様式美的ハード・ロックの最高峰と言えるだろう。 王道を突き詰めた孤高のギタリストと、稀代のボーカリストの邂逅 レインボーの核、リッチー・ブラックモアの紡ぐクラシック音楽からの影響を色濃く反映したマイナー・スケールの速弾きと、ドラマチックな楽曲構成は、後のヘヴィ・メタルにおける「様式美」の基礎を築いた。 そして、本作においてリッチーの理想とする世界観を完璧に具現化しているのが、ボーカリストのロニー・ジェイムス・ジオである。ロニーの圧倒的な声量と、中世の騎士や魔法、ファンタジーを想起させる叙情的なリリックは、レインボーの音楽に唯一無二の気品と説得力を与えた。しかし、本作はロニーが参加した最後のスタジオ・アルバムとなり、これ以降バンドはよりキャッチーな商業的路線へとシフトしていくため、本作は「黄金期レインボー」の事実上の終着点としても特別な意味を持つ。 音楽的特徴:ヘヴィなダイナミズムと緻密な様式美の融合 『Long Live Rock 'n' Roll』の音楽的特徴は、前作『虹を翔る覇者』で確立した大作主義的な様式美を継承しつつも、よりストレートで推進力のあるハード・ロック・サウンドへと洗練させた点にある。 メンバー・チェンジが相次ぐ過酷な状況下で制作されたにもかかわらず、アルバム全体を貫くのは、リッチーのエッジの効いたリフと、コージー・パウエルによる地鳴りのようなドラミングが放つ強烈なダイナミズムである。キャッチーなロックンロールから、中東風の異国情緒漂うヘヴィな楽曲まで、多彩でありながらも「レインボー」という一本の様式美の軸が決してぶれることはない。 主要楽曲の分析:時代を超越したハード・ロックのアンセム 「Long Liv...

『Sting / The Dream Of The Blue Turtles』ポリスの活動休止からソロ始動へ、若手ジャズ・ミュージシャンとのコラボで魅せた1985年のポップ・アプローチ

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アーティスト詳細:ポリスのフロントマンからソロ・キャリアへの展開 スティング(Sting)は、1970年代後半にスチュワート・コープランド、アンディ・サマーズとともにパンク/ニュー・ウェイヴの文脈から登場したトリオ・バンド、ザ・ポリス(The Police)のベーシスト兼メイン・ヴォーカリストとして世界的な知名度を獲得した。レゲエやR&Bの要素を取り入れたサウンドと、ハイトーンのヴォーカル、社会的な視点を含んだ歌詞世界で支持を集めた。 1983年のアルバム『Synchronicity』に伴う大規模なツアーを終えた後、バンドは活動を事実上休止する。スティングは自身の音楽的領域を拡張すべく、バンド編成を一新したソロ・プロジェクトの準備に着手する。1985年に発表された『The Dream Of The Blue Turtles』(邦題:ブルー・タートルの夢)は、彼が自身の名前を前面に押し出して制作した初の個人名義作品である。 音楽的特徴:ジャズ・プレイヤーとのセッションによるサウンド構成 本作における大きな特徴は、ロック・ギタリストを中心としたトリオ編成から離れ、若手のジャズ・ミュージシャンを起用した点にある。サックスのブランフォード・マルサリス、キーボードのケニー・カークランド、ベースのダリル・ジョーンズ、ドラムスのオマー・ハキムといった、当時ジャズ・シーンで頭角を現しつつあったプレイヤーが参加している。 従来のポリスにあった空間を活かしたアンサンブルやレゲエ調のリズム解釈を残しつつも、緻密なコード展開やしなやかなリズム・セクションがレイヤーされている。過度なジャズの即興性を前面に出すのではなく、ポップ・ミュージックの楽曲構造の中にジャズのコード感やアプローチを組み込んだスタジオ・ワークが見られる。 主要楽曲の分析:ソロ活動の方向性を示すトラック If You Love Somebody Set Them Free アルバムのオープニングおよび先行シングルとしてリリースされたトラックである。ダンス・ビートを基調としたアップテンポなリズムに乗せて、キャッチーなリフレインとバック・ヴォーカルのレイヤーが配置されている。自由と執着をテーマにした歌詞構造と、軽快なベースラインが楽曲を推進する。 Love Is The Seventh Wave ポリス時代に通底するレゲ...