2026年4月24日金曜日

撮り溜め映画鑑賞レポ:『昼下がりの情事』

 オードリー・ヘプバーン、ゲイリー・クーパーの『昼下がりの情事』もNHKからの録画で視聴。

タイトルからロマンティックな展開をイメージしていたが、ヘプバーンのキレキレのコメディエンヌっぷりが光る名作であった。
ヘプバーン作品はどれもいいが、極めて個人的な嗜好としてファッションが素晴らしい『サブリナ』、コンパクトで文句なく楽しめる名コメディー『おしゃれ泥棒』、ミステリーとしてもよく出来ている『シャレード』あたりがお気に入り。
大傑作『ティファニーで朝食を』にはあえて本稿では触れないが、たぶん一番好きで一番観てるのが『暗くなるまで待って』
関係あるかわからないが、北海道出身でわれわれの世代よりも少しだけ先輩になるHAN-NAというロックバンドのデビューシングルが『暗くなるまでまって』というタイトルで、何かの機会に演奏を聴いて、いい曲だなあとずっと思っていた。
のちにヘプバーンの『暗くなるまで待って』に出会うわけだが、つまり最初からこれは自分にとって少しだけ特別な映画で、秀逸なタイトルの意味合いも映画、楽曲双方にとっての理解が深まっていった。



撮り溜め映画鑑賞レポ:『ニュー・シネマ・パラダイス インターナショナル版』

 NHK-BSで今回放映された『ニュー・シネマ・パラダイス』は、最初の劇場公開版と同じ123分の「インターナショナル版」だった。

DVDで観た「完全版」では、追加された彼女のその後と再会のシーンに激しく心が揺さぶられたが、その感情と「あの」ラストシーンとの整合が自分の中ではうまく処理できず、複雑な鑑賞となった。
今回改めて観たオリジナル版は、全てがラストシーンに向けて織り上げられた見事なタペスタリーのようで、最初から最後まで泣き通し、ラストでは大決壊、今これを書いていても泣けてくる。



撮り溜め映画鑑賞レポ:『パピヨン』

 モンテ=クリスト伯(巌窟王)の影響で脱獄モノはかなり好きなジャンルなんだが、1973年の映画『パピヨン』はまだ観ていなかった。

スティーブ・マックィーンとダスティン・ホフマンの迫真の名演に引き摺り回され、ラストのダイブ一閃にまるで自分が脱獄に成功したような気分になった。
エンドロールで、映画の舞台になった漫画みたいな劣悪監獄が実際に存在したと知ってこれもびっくり。
欧州は法の精神の先進国だと思っていたが、やはり人間のやることはそう変わらない、ということか。
2019年にチャーリー・ハナムとラミ・マレックでリメイクされているらしい。



撮り溜め映画鑑賞レポ:『ひまわり』

 映画好きなら誰でも知ってる『ひまわり』ですが、あまりの「名画」感に気圧されてなんとなく観そびれていました。

NHK-BSで放送されたのを好機とみて鑑賞に至りました。
いやーまいった。
カメラによって切り取られたすべての瞬間が美しい。
会社員時代に何度か行ったイタリア旅行で、滞在地のフィレンツェからシエナに向かう電車から見えた一面のひまわり畑の印象が強かったせいか、この映画が紹介される度に使われるひまわり畑の壮大な光景もイタリアなんだとばかり(イタリア映画だしね)思い込んでいたが、実際はウクライナの風景で、それがこの映画のキーになっている。
マルチェロ・マストロヤンニは、『甘い生活』での役どころとほぼ同じ、優柔不断で弱い男を演じていた。
まったく他人事ではなく、芯の強さではソフィア・ローレン演じるナポリ娘ジョバンナといい勝負をするだろう我が賢妻を大事にしなくては、と強く心に誓った。



撮り溜め映画鑑賞レポ:『夜の大捜査線』

 NHKは番組編成において、時々気の利いた演出をする。

映画『夜の大捜査線』の放送に合わせて、クインシー・ジョーンズが音楽業界に与えた衝撃についてのドキュメンタリー(アメリカ製作)を放送した。
『夜の大捜査線』全編に流れるクインシー・ジョーンズの都会的なセンスが、この映画に描かれるアメリカ南部の黒人差別の苦々しさをペーソスに変換する役割を果たしていると感じられたのは、事前にこのドキュメンタリーを観ていたからだろう。
『踊る大捜査線』が、クライム・サスペンスの名作として知られるこの映画のタイトルからインスパイアされた(「踊る」は『踊る大紐育』から)ことはよく知られているが、今まで実際に観る機会はなかった。
対立する立場の警官たちが最後に友情を育んでいくラストの胸熱シーンは、多少ベタではあるがやはりエンタメはこうでなきゃ、という満足感がある。
続編もあるようなので楽しみ。

撮り溜め映画鑑賞レポ:『フォード VS フェラーリ』


『フォード VS フェラーリ』は、少年時代『サーキットの狼』に夢中になった自分にとっては、どうしても劇場で観たかった映画だが、ちょうど激務の渦中にいて観られなかった。
 NHK-BSで放送してくれたおかげで、やっと鑑賞できたが家の小さなテレビでもなかなかどうして楽しめる作品であった。
ドラマを象徴するシーンとして、経営者風を吹かせて現場をかき回すヘンリー・フォード2世をGT40に乗せて現実を見せつける場面があるが、子供のように泣き喚くトレイシー・レッツの熱演に溜飲を下げ、そしてこんなことに溜飲を下げた自分が少し恥ずかしくなった。
実際のヘンリー・フォード2世も毀誉褒貶ある人物であったが、個人的には好きな経営者の一人。伝統あるフォード社の姿を大きく変革した名経営者だったと思う。
そのうちの一手がフェラーリの買収であったが、その挫折に至る道筋がこの映画の本題。
僕は企業再生の映画として観た。



2026年4月22日水曜日

『フランケンシュタイン』光文社古典新訳文庫で再読

本棚の整理をしている。

あれも読みたい、これも読みたいと買い続けた本が本棚から溢れる度に、メルカリやらブックオフやらで処分してきたが、そもそも何列にも重ねて押し込んでいる奥の方の本はずっと手付かずのままだった。
またしても決壊した本棚に意を決して、奥の奥まで捜索対象を広げてみたところ、そうだこんな本もあんな本も持ってたなあと再読の誘惑が燎原の火のように襲いかかってきて、今回は『フランケンシュタイン』を再読することに。

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10年ほど前の古層からの掘り出し本である。
冒頭からまったく記憶になく、新鮮な驚きのままに最後まで駆け抜けた。
むしろ教訓的な要素はすでに心得ていたわけで、今回の読書では純粋な文学的喜びが心を占めていた。
再読の醍醐味です。






復刊ドットコムの大仕事『新・幻魔大戦<完全版>』がすごい!

 (たぶん)中学生の頃だったと思う。

小遣いを貰うと、近所にあった長内書店という小さな小さな書店に行って角川文庫の『幻魔大戦』(全20巻)を一冊づつ買うのが楽しみだった。

角川版が完結した後、徳間ノベルズおよび徳間文庫で『真幻魔大戦』として書き紡がれたものも、社会人になってからも引き続き読んでいた。
生活環境が幾度か変わるたびに、いろんなものをなくしてきたが、幻魔大戦の膨大なコレクションもその一つだった。
ふと思い出してAmazonを覗いてみると、『新・幻魔大戦<完全版>』と銘打って、何やら愛情たっぷりに編集されたものが出版されているではありませんか!

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1967年少年マガジン誌で連載開始された石ノ森版(当時は石森)の漫画はエンディングが描かれないまま突然の打ち切りとなり、別媒体で新規構想のもと続編が描かれていた。その続編パートと平井和正先生が別に書き続けた原作小説が時系列に沿って収録されているという資料性の高いもの。
当時の出版社事情も含め、興味深く読み進めている。




『DUNE/デューン 砂の惑星』映画で好きになった人、原作もぜひ!

 2021年、2024年と前後半に分けての映画公開となった『DUNE/デューン 砂の惑星』

この映画がヒットしたおかげで、入手困難だった続編『砂漠の救世主』が雰囲気のある装丁で復刊した。
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出版された23年に入手、多くの積読本に埋もれていたが、やっと順番が回ってきたぞ。
大学生の頃、古本屋で入手して読んでいたが、やはり今時の新訳はいい。
かつての直訳風のものは、それをやっているのが誰なのか迷子になることが多々あったが、充分に日本語の文脈に配慮された文体で、短い物語ではないがあっという間の読了となった。
新訳版では最終巻となる『砂丘の子供たち』も、もちろん入手済みである。


幾田りら『Laugh』から放射される『ぷらそにか』の熱量がすごい!

 2017年頃、YouTubeでよく『ぷらそにか』というユニットを観ていた。

若い人たちの歌のうまさというものが、我々の知っているそれとは少し意味合いの違うものになったんだな、と感じさせるユニットだった。
YOASOBIが出てきて、幾田りらという人の歌のうまさに驚いていたら、当時の『ぷらそにか』に参加していたと聞いて納得頻り。
ファーストソロは通勤時や入浴時の最愛聴盤であった。
セカンドソロはCDで購入して、昨日届いた。

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本作には古巣『ぷらそにか』との共演曲が収録されていて、その『ぷらそにか』の熱量がすごい!
実写版『パリピ孔明』主演の上白石萌歌に書き下ろした主題歌『DREAMER』のセルフカバーもアレンジも含め、めずらしくエモーショナル方向に振り切った素晴らしい仕上がりで、この楽曲の真の姿を見た気がして、内緒だがちょっと泣いた。

光文社古典新訳文庫の『モンテ・クリスト伯』が素晴らしい

初めて『巌窟王』を読んだのは、小学校高学年の頃、父が買ってくれた「少年少女世界の名作」という子供向けの全集に収録されたものだった。

特に父自身が子供の頃感動した作品として、『あゝ無情(レ・ミゼラブル)』とともに勧めてくれた一編で、特別な思い入れのある作品だ。
その『巌窟王』が、昨年『モンテ・クリスト伯』として映画が公開され、光文社古典新訳文庫でも原典新訳版の刊行が進んでいる。
全6巻で最終巻の刊行は28年8月までかかるらしい。

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小学生の時に読んだものとはまるでボリュームが違うわけだが、どの一文も躍動していて、長い物語を読んでいる感じがしない。
翌日続きを読み始めても、それまでにエドモン・ダンテスの身に降りかかったあれやこれやが鮮やかに思い出され、すぐにその世界に没入させられる。
まさに文豪の名作。
色褪せない、生涯をともに歩む物語となりそうだ。

2026年4月20日月曜日

『ナイアガラトライアングル vol.1』と『Ring-a-Bell』の両デラックスエディションは同日に届いちゃったら必然的に一日中大瀧漬け

 3/21同日発売となった『ナイアガラトライアングル vol.1』と大瀧詠一プロデュースの大名盤、渡辺満里奈『Ring-a-Bell』の両デラックスエディションは当然同日に届く訳で、必然的に一日中大瀧漬けである。




『ナイアガラトライアングル vol.1』には、一人でカラオケスナックに行くと、この曲を歌う頻度がもっとも高い伊藤銀次先生の『幸せにさよなら』が収録されている。
やっぱりいい曲だ。
ミュージシャンの先輩に教えてもらって愛聴盤となった渡辺満里奈さんの『Ring-a-Bell』は発売30周年、渡辺満里奈デビュー40周年の記念盤。
オリジナル盤には収録されていなかった大貫妙子作『高い空遠い街』が追加されていて、これがまた名曲だったり、佐野元春作の『ダンスが終わる前に』もやっぱりいい曲で、どう聴いても名盤なんだが、ブックレットに当時の写真がかなり追加されていて、本当に買ってよかったと思わせる企画だ。






ミスチルとコールドプレイと古い心の傷跡と

ミスチルの新譜は、一度集中して全編を聴くことにしている。もちろん今回の『産声』も。

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『Again』で聴ける小林武史渾身のピアノが嬉しい。
原点回帰的な楽曲『Nowhere Man』でも小林らしい推進力あるピアノが聴けて、古いファンにはたまらんプレゼントだ。
珍しく『Saturday』という楽曲で、シカゴの『Saturday in the Park』によく似たイントロを添えるという洒落を効かせている。
5曲目に配された『Glastonbury』は、「2002年のグラストンベリー / YouTubeでチラ見 / クリスは絶好調」というなんとも気になるフレーズで始まる。
調べてみるとやはりコールドプレイのクリス・マーティンのことであった。
まだ東京で働いていた頃、コールドプレイを録音したMDをウォークマンでよく聴いていた。
札幌に移住して古い友人と再会した時、コールドプレイが好きなんてセンス悪いな、と言われて深く傷ついたことは一生忘れないと思うが、『Glastonbury』を聴いて少し救われたような気がした。