個人的には、このアルバムを聴くと「一つの時代」の終わりを感じて少し切ない気持ちになりますが、聴いてみれば完成度はなかなか。
削ぎ落とされた編成と「スティーヴ・ペリーの美学」
本作の最大の特徴は、バンド形態の変容です。ロス・ヴァロリー(B)とスティーヴ・スミス(Ds)が制作途中で離脱。実質的にスティーヴ・ペリー、ニール・ショーン、ジョナサン・ケインの3名体制で作り上げられた一枚です。
- 洗練を極めたプロダクション: 前作までのスタジアム・ロック的な「熱さ」は少し影を潜め、非常にクリアでタイトなサウンドに。
- スティーヴ・ペリーの主導: 彼のソウルフルな歌唱がこれまで以上に前面に押し出され、どこか彼のソロ作品に近い、都会的なAORの香りが漂います。
アルバムを彩る至極の楽曲たち
- 「Girl Can't Help It」: 幕開けを飾るこの曲の瑞々しさ!ジョナサン・ケインのメロディセンスが爆発しています。複雑なことはせず、ただただ「良い曲」を届けるという潔さを感じます。
- 「Be Good to Yourself」: 先行シングルとして大ヒットした、アルバム中最も「ジャーニーらしい」ポジティブなロックナンバー。ニール・ショーンのギターが唸りを上げ、沈んでいた気分を強引に引き上げてくれるような力強さがあります。
- 「I'll Be Alright Without You」: 切ない。とにかく切ないです。スティーヴ・ペリーのボーカルの「泣き」が頂点に達しており、夜のドライブで聴くと胸に刺さります。
- 「Suzanne」: 軽快なリズムに乗せたキャッチーなメロディ。80年代中盤の空気感をそのままパッケージしたような、非常に質の高いポップ・ロックです。
ラジオ世代に捧げた誠実なる音楽
モンスターバンドを維持し続けていくことは、とてつもなく難しいことなのでしょう。この後にバンドが長い休止期間に入ることを考えると、まさに「燃え尽きる直前の美しい閃光」のようなアルバムだったのかも。
「ラジオを聴いて育った世代(Raised on Radio)」というタイトルを纏った本作は、そのど真ん中にいた自分にとって、とても誠実な音楽に思えるのです。













