2020年5月9日土曜日

やっぱフィジカルメディアはいいなあ CDで大散財の巻

ここのところ、またCDを買い漁っている。

タワレコが営業自粛中だからって、Amazonなんて見てたら、初回限定盤があと何枚とか出てるじゃない。
そうすると、あ、これは買っとかなきゃなんて、どんどんカートに入れて、いつの間にか大散財ですよ。

でもまあ、届いて見ればやっぱりフィジカルメディアはいい。
サブスクで聴いていると、なんとなく「ありがたみ」がない。
まあ、メインオーディオに、デジタルファイル用の機材を追加するほどの財力がないだけなんですけどね・・

今日は、今回届いたCDたちをご紹介しようかと。


上から、買いそびれていたデヴィッド・ボウイのベスト。そして次も買いそびれていた永ちゃんのオールタイムベストの2。そしてこれは、欲しかったが、オリジナルアルバム全部持ってるのに、ベスト盤買うのはどうかと迷っていたaikoさんのオールシングル&カップリングの企画盤。スカパラのベストと続いて、最後がJUJUさんのベスト。

そうです。
全部ベスト盤です。

それぞれ、紹介していきますね。
まずは、ボウイから。

ビートルズでよく知られるParlophoneレーベルが編んだベスト盤で、CD3枚組。
開くとこうなります。


そしてそれぞれのサイドにジュエルケースが入っているという。

ボリュームのあるブックレットはケースに収納できません。
CDラックに並べておくと傷がついたりするので、これはちょっと困っちゃいますね。


続いて永ちゃんのオールタイムベスト2です。

オールタイムベスト1の方は、発売時に買ってたんですが、肝心中の肝心曲「時間よ止まれ」がオリジナルバージョンじゃなくて、もう本当にガッカリしちゃったんですよね。
2の企画が発表された時、「時間よ止まれ」オリジナルバージョンで収録ってなったら、もう喜んで買ったんですけどね。

でもまあ、CD棚の背を見るたびに、1の隣に2がない、という不完全な感じが我慢できず、ついに買ってしまいました。(こんな気持ちわかるかなあ)


さてさて、今日の本題ですよ。
aikoさんですよ。

気になってはいたんですよ。設えの良さそうなボックス企画だし。
でもね。
僕はaikoというアーティストのルックス、ファッションのようなものの全体で気に入っているので、この子供時代のメインビジュアルがちょっと購入を躊躇わせていたんですよ。
でもそれは大きな間違いでした。

箱を開けたら・・

これだもの!!
もっと早く買っておけばよかった!

中面も・・
これですよ!!

ブックレットもちょっと見せちゃう。

これが80Pですよ!
安い・・安すぎる・・・

僕と同じように、オリジナルアルバム全部持ってるしなあ・・という人もファンならば買うべし。
間違いない。


いささか興奮してしまいました。
失礼。

続いてスカパラのベストです。

ジャケ絵が大友克洋ってのが嬉しいなあ。
関係ないけど、クラプトンのPILGRIMのジャケ絵が庵野さんだって知ったときも、なぜか嬉しかったな。

このベスト、主にゲストを迎えてのボーカル曲とインスト曲で盤が分かれているという好企画盤です。
そして1曲目のゲストボーカルがaikoさんなんですよ。
ふふふ(バカ)
まあ買うしかないですよね。


最後がJUJUさんの、なんと4枚組CD+DVDの5枚組ボックスです。
豪華だ。

CDとDVDのケースが分かれてます。

今回初めてJUJUさんのMVを観たんですが、「東京」がヤバイ。

地方の理容室で、男手ひとつで育てた娘に跡を継いで欲しくて、地元の美容学校のパンフレットを渡したら、娘は東京の美容学校(山野でした)に出願してしまうんですね。
その日から親子は口もきかなくなってしまう。
もうこの辺りで娘を持つ身の私の気持ちがざわつき始めるわけですが、どうやらお父さんが病気らしいと示唆されるあたりから悪い予感が急速に募って・・

もう最後はテレビ見ながら大号泣ですわ。
音楽面では、キャリアの全体を俯瞰することで、やはり川口大輔の貢献度を再度実感いたしました。
中島美嘉もそうですが、提供楽曲は多くないのにターニングポイントを作っちゃう人ですね。


2020年5月6日水曜日

【音楽エッセイ】ファーストアルバムの「魔法」|ノラ・ジョーンズが教えてくれた、エイモス・リー奇跡の一枚

音楽ファンの間で、ファーストアルバムには特別な魔法が宿っていると語られることが多い。世に出たいという切実な情熱、そしてそれを形にするための絶妙な抑制。そのコントラストが奇跡的なバランスで収められた名盤が、シンガロング系の楽曲が増えた後年の作品よりも瑞々しく輝き続けることは少なくない。
特大級の代表格と言えるのが、エイモス・リー(Amos Lee)が2005年に発表したセルフタイトルのデビューアルバム『Amos Lee』である。




エイモス・リーのキャリア:名門ブルーノートが認めた遅咲きの天才

日本の音楽ファンの多くは、ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)経由、あるいはシンガーソングライター秦基博の推薦によってエイモス・リーの存在を知ったのではないだろうか。

1977年、アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアに出生したエイモス・リー(本名:ライアン・アンソニー・マッサーロ)の経歴は、ミュージシャンとしては少し異色である。
サウスカロライナ大学で英文学を学んだ後、一度は英語教師として教壇に立っていた。
しかし、音楽への情熱を断ち切れずに教職を辞し、本格的な音楽活動へと舵を切ることになる。
彼の才能はすぐに開花し、ジャズの名門レーベルであるブルーノート・レコード(Blue Note Records)との契約を勝ち取る。

2004年にはノラ・ジョーンズの欧米ツアー、翌2005年にはボブ・ディランの全米ツアーのオープニング・アクトに抜擢されるなど、デビュー前から大物アーティストたちにその実力を認められていた。

デビューアルバム『Amos Lee』に宿る情熱と抑制の美学

2005年3月にリリースされたファーストアルバム『Amos Lee』は、ノラ・ジョーンズがピアノとヴォーカルで参加したことでも大きな話題を呼んだ。

このアルバムの最大の魅力は、何よりも抑制の効いた、しかし他のどこにもない唯一無二の歌声と、耳元で語りかけるようなメロディにある。フォークやソウル、ジャズを絶妙にブレンドしたアコースティックなサウンドは、入手直後から自身の店で何度も繰り返し流し、誰彼問わずに勧めたくなるほどの完成度を誇っていた。

思えば、アデル(Adele)の静謐なファーストアルバム『19』が持っていた空気感と、エイモスのファーストアルバムは非常によく似ている。ここには、人生の後半期を迎えた大人の心に深く染み渡る「情熱と抑制のコントラスト」が確かにある。

セカンドアルバム『Supply and Demand』で見せた<POP>への目配り

ファーストアルバムの魔法に魅了された者としては、程なくリリースされたセカンドアルバム『Supply and Demand(サプライ・アンド・ディマンド)』(2006年)も迷わず入手した。しかし、そこにあったのは、<POP>への目配りとでも言うべき変化だった。

前作で最大の美点と感じていた「抑制」は、失われてしまったように感じた。
何しろ1曲目のタイトルが『Shout Out Loud(シャウト・アウト・ラウド)』であり、スタジアムで響くようなシンガロング系の「ラララコーラス」まで導入されていた。こちらとしては「あらら」と思わざるを得ない。

アーティストとしてのスケール感や大衆性は増したのかもしれないが、ファーストアルバムのあの密室的な静けさと切実さを愛した身としては、どうしても手が伸びにくくなり、結局そのCDは棚の奥に収まったままになってしまった。

ファーストアルバムにしか存在しない「奇跡」

エイモス・リーはその後、2011年のアルバム『Mission Bell』で、これまた手のひらを返したようなアコースティック回帰を見せ(これも名盤です!)、ビルボード100の1位を獲得したりした。



その後も順調に作品を発表し、アメリカを代表する本格派シンガーソングライターとしての地位を確固たるものにしていった。

しかし、洗練された後年の作品を聴けば聴くほど、あの2005年のファーストアルバムに閉じ込められていた「言葉にできない魔法」が愛おしくなる。
きっとそれは、教師を辞めて音楽に全てを賭けた一人の男の、最初で最後の純粋な衝動が記録されているからなんだろうな。


エイモス・リー
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2020年5月4日月曜日

【音楽エッセイ】「星屑の」ギタリストが紡ぐ極上のブルース。エイモス・ギャレットのボーカル名盤『Get Way Back』を聴く

音楽ファンの間で「ポピュラーソング史上、最も洗練されたギターソロの一つ」として語り継がれる名演がある。
スティーヴィー・ワンダーが「これまでに聴いた中で最高のギターソロ」と絶賛したとも言われる、マリア・マルダーの代表曲「真夜中のオアシス(Midnight at the Oasis)」の、あの流麗なソロだ。



そのソロを弾いているのが、今回紹介するギタリスト兼ボーカリスト、エイモス・ギャレット(Amos Garrett)である。




日本では決して誰もが知る大衆的スターとは言えないが、彼の生み出すトーンは、日本の音楽シーン(とりわけシティポップやルーツロック系ギタリスト)にも多大な影響を与えてきた。
今回は、彼の代名詞である「星屑のギター」の魅力に触れつつ、彼の渋い歌声が堪能できる隠れた名盤『Get Way Back』を紐解いていく。

唯一無二の職人、エイモス・ギャレットの足跡


エイモス・ギャレットのギタープレイは、よく「星屑の(Stardust)」と形容される。 滑らかなグリッサンド(弦を滑らせて音を連続的に変化させる技法)と、弦を巧みに引っ張るチョーキングを組み合わせた独特のベンディング技術。そして、一音一音が星のようにきらめき、歯切れよく飛び回るパッセージ。これらが緻密に絡み合うスタイルは、一聴しただけで彼だと分かる唯一無二のシグニチャーサウンドだ。

彼のキャリアは多岐にわたる。
イアン&シルヴィアの「グレート・スペックルド・バード」:1960年代末、カントリーロックの先駆けとなったバンドに参加。
ポール・バターフィールズ・ベター・デイズ:ブルースハーモニカの巨匠ポール・バターフィールド率いる伝説的グループに参加。アルバム『Better Days』などで、渋いルーツミュージックに華やかな彩りを添えた。
数々の名盤への客演:マリア・マルダーをはじめ、ジェフ・マルダー、エミルー・ハリス、ボニー・レイット、さらには日本の森山良子のアルバムにまで、その極上のギタープレイを提供している。

『Get Way Back』|ブルースの巨人、パーシー・メイフィールドについて


今回スポットを当てるアルバム『Get Way Back』は、エイモス・ギャレットがR&B/ブルース界の偉大なシンガーソングライター、パーシー・メイフィールド(Percy Mayfield)に捧げたトリビュートアルバムである。

パーシー・メイフィールドは、1950年代に「Please Send Me Someone to Love(愛してくれる人を誰か)」などの大ヒットを放ったブルースシンガーだ。
しかし、キャリアの絶頂期に凄惨な自動車事故に遭い、顔面に大怪我を負ってしまう。以降は表舞台に立つ回数を減らし、主にソングライターとしてその才能を発揮した。

彼の最大の功績の一つが、レイ・チャールズへの楽曲提供である。
レイの代表曲として誰もが知る「Hit the Road Jack(旅立てジャック)」は、パーシーが書いた作品だ。

彼の作る楽曲は、単なるブルースの枠に収まらない、都会的で洗練されたメロディと、深く詩的な歌詞(時に「ブルースの詩人」とも称される)を特徴としていた。

エイモス・ギャレットが所属していたポール・バターフィールズ・ベター・デイズでも、パーシーの「Please Send Me Someone to Love」をカバーしており、エイモスにとってパーシーの楽曲は、長年温め続けてきた特別なルーツだったと言える。

ギタリストの枠を超えた、ヴォーカリストとしての渋い魅力


アルバム『Get Way Back』の最大の聴きどころは、エイモスの「ギタリスト」としてだけでなく、「ヴォーカリスト」としての圧倒的な存在感にある。

アルバム『Get Way Back』の聴きどころ 

本作で聴けるエイモスの歌声は、お腹の底から響くような深い低音。非常に渋く、包容力のある喉を披露しており、パーシー・メイフィールドが持つ都会的で少し哀愁を帯びた楽曲の世界観に、これ以上ないほどマッチしている。

もちろん、ファンが期待する「星屑ギター」も随所で炸裂している。 特に4曲目に収録されている「NEVER SAY NAW」でのギターソロは必聴だ。あの「真夜中のオアシス」で世界を魅了したフレーズワークを彷彿とさせる、流れるような名演を堪能することができる。

ルーツミュージックの深淵に触れる一枚


エイモス・ギャレットの『Get Way Back』は、単なるカバーアルバムではない。
パーシー・メイフィールドという偉大な先達へのリスペクトと、エイモス自身の代名詞であるギター、そして渋み溢れるボーカルが見事に融合した、大人のためのグッドタイム・ミュージックである。

「真夜中のオアシス」のギターソロにハッとした経験がある音楽ファンなら、このアルバムに流れるレイドバックした心地よい空気感に、間違いなく魅了されるはずだ。

ゲット・ウェイ・バック:トリビュート・トゥ・パーシー・メイフィールド
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