『Living in the USA』の熱狂、その先に
前作『Living in the USA』で50年代ロックンロールからR&B、ニューウェイヴまでを強烈なタイト・エッジで飲み込んだリンダ・ロンシュタット。その圧倒的な音楽的野心と時代の寵児としての勢いを、ぎゅっと1枚に凝縮したかのようなベスト・アルバムがこれ。
1980年にリリースされた『グレイテスト・ヒッツ Vol.2(原題:Greatest Hits Volume Two)』、当時の邦題が『ヒロイン』ってのは、ちょっとハマりすぎかも。
70年代後半のウエストコースト・ロックシーンを文字通り「ヒロイン」として駆け抜けた感じ、あるもんね。
ピーター・アッシャーとの黄金タッグがもたらした、完璧なトラックリスト
本作に収録されているのは、1970年代後半のリンダを支えたプロデューサー、ピーター・アッシャーとのオシゴトを象徴する名曲ばかり。ヒット曲が並んでるっていうより、アルバムごとの「圧倒の解釈力」がこれでもかと味わえる点が、このベスト盤の最大の魅力なんだろうね。
「It's So Easy」 / 「Blue Bayou」:アルバム『Simple Dreams(運命)』から選ばれたこれらの楽曲は、彼女のダイナミックな声の説得力と、バックを固めるLAの鉄壁のミュージシャンたちによる洗練されたアンサンブルが見事に融合していますね。
「Back in the U.S.A.」 / 「Alison」:『Living in the USA』からのナンバーも、ベスト盤の文脈で聴くと、時代性みたいなものを、どこか外側から眺めているような「超越」を感じてしまう。すごいな。
邦題『ヒロイン』に込められた、時代とのシンクロニシティ
原題はシンプルな『Volume Two』だけど、日本のレコード会社が冠した『ヒロイン』という邦題が、とてもいい。
星条旗を背負い、あるいはローラースケートを履いてポップ・カルチャーのアイコンとなったリンダ。しかしその本質は、どんなジャンルの楽曲であっても自らの歌声ひとつで「リンダ・ロンシュタットの音楽」として再定義してしまう、大袈裟に言えば孤高の表現者的な存在だったと思う。
激動の70年代末において、彼女は単に消費されるアイドルではなく、音楽シーンを牽引する文字通りの「主役=ヒロイン」であった、ということなんでしょう、きっと。
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