音楽の歴史には、実力がありながらも時代の波に埋もれ、後年になって「再発見」される名盤がいくつか存在する。 トム・キーンとジョン・キーンの兄弟を中心としたユニット、キーン(KEANE)が1981年に発表しアルバム『ドライヴィング・サタディ・ナイト(原題:KEANE)』は、まさにその筆頭と言える一枚ではないか。
豪華な布陣が支える極上のウエストコースト・サウンド
本作を語る上で欠かせないのが、当時のAOR・フュージョンシーンを象徴するミュージシャンたちの影響である。
デヴィッド・フォスターの影響
本作の録音前に制作されたシングルをプロデュースしてもらったデヴィッド・フォスターの影響は、今作をセルフプロデュースしたトム・キーンにも凝縮された形で反映されている。洗練されたアレンジと完璧なプロダクションは、ある種の奇蹟と言ってもきっと大袈裟ではないと思う。
鉄壁のドラムとギター
前述のシングル曲の録音に参加したジェフ・ポーカロ(ドラム)やジェイ・グレイドン(ギター)といった、当時のトップセッションマンたちからの影響も大きいだろうが、優れたセッションマンであるマーク・マウリンのシャープで熱いギター、トムの弟ジョン・キーンのタイトなドラミングもまったくもって只者ではない。
ヤングTOTOな演奏とサウンド
サウンドはヤングTOTOな趣。AOR的だが、楽曲と演奏には若いトムの情熱が迸る。
- 「Tryin' To Kill A Saturday Night」
レコードの日本発売時に邦題にもなったこの曲がなんと言っても素晴らしい。週末の夜の焦燥感と高揚感を、洗練されたポップ・センスで描き切っている。
- 「Kill Or Be Killed」
やるか、やられるか、という物騒な歌詞だが、歌唱も切実そのもの。ラストに展開される激しいギターソロもそれに負けていない。ラスト曲「Judy」もいいんだよなー。
卓越したコーラスワーク 兄弟ユニットならではの息の合ったハーモニーは、TOTOやエアプレイ(Airplay)にも通ずる爽快感をもたらしている。
時代を超えて愛される「幻」の輝き
長らく入手困難な「幻の名盤」として知られていた本作だが、日本ではCool Soundというレーベルが再発CDを出してくれた上に、さらにもっと「幻」だったセカンドも合わせてCD化してくれたのだから、これは世界に誇れる素晴らしい快挙だよ。
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