2023年1月28日土曜日

レコード棚を総浚い :『Billy Joel / 52ND STREET』

大ヒットとなった『THE STRANGER』に続き、フィル・ラモーンとタッグを組んだ78年の6thアルバム。

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昔ボーカルスクールに通っていた頃、最初の課題曲が『オネスティ』だった。
自信たっぷりに派手な抑揚をつけて「If you search for tenderness・・・」と歌いだした僕を制して先生は、「優しさを探しているような人に向けて歌っていることを意識して」と言った。
<歌う>ということを根本的に問われた衝撃。
生涯忘れることない教訓だ。

そういう意味でも自分にとってこの『52ND STREET』は完全に『オネスティ』のアルバムで、日本のヒットチャートでもそのように受け止められていると思うが、本国アメリカでは『マイ・ライフ』の評価の方が圧倒的に高いようだ。
アルバム『THE STRANGER』における『素顔のままで』とシングル『ストレンジャー』のような逆転現象が、このアルバムでも起こっていて興味深い。


本稿を起こすにあたって、再度聴いてみて驚いたのが、当時はまったく気づかなかったフレディ・ハバート(tp)の存在感だ。
なんと言ってもジャズ入門のために何度聴いたかわからないオリヴァー・ネルソン『Blues & The Abstract Truth』収録の名曲『Stolen Moments』におけるハバートの劇的に空気感を変えてしまうソロプレイ(そしてそれに続くエリック・ドルフィーのフルートったら!)は心に深く刻まれている。
そしてその空気感は本アルバムの参加曲『ザンジバル』でも再現されている。

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