2023年1月10日火曜日

【不朽の名盤】ベイ・シティ・ローラーズ『青春に捧げるメロディー(Dedication)』を徹底解説



70年代、世界中に「タータン・ハリケーン」を巻き起こしたスコットランド出身のポップ・ロック・グループ、ベイ・シティ・ローラーズ(Bay City Rollers)。

アイドルとしての熱狂的な人気の陰で、彼らの音楽的評価は正当に下されてこなかった側面がある。しかし、1976年に発表された4thアルバム『青春に捧げるメロディー(原題:Dedication)』こそは、誰が何と言おうと「名盤」と呼ぶに相応しい一枚である。

音楽的転換点となったジミー・イエナーの起用

本作のクオリティを決定づけたのは、プロデューサーにジミー・イエナーを迎えたことだ。イエナーは、エリック・カルメン率いるラズベリーズを育て上げた、パワー・ポップの真髄を知る人物である。

この起用により、単なるティーン・アイドル歌謡の枠を超え、厚みのあるプロダクションと洗練されたアレンジが施された。アルバムの幕開けを飾るのが、ラズベリーズの名曲「レッツ・プリテンド(Let's Pretend)」のカヴァーである点からも、制作陣の明確な意図が読み取れる。


卓越した選曲センス:カヴァー曲の妙味

本作を語る上で欠かせないのが、ジミー・イエナーのセンスが光るカヴァー曲の選曲である。

  • 「二人だけのデート(I Only Want to Be with You)」

ダスティ・スプリングフィールドのヒット曲を、瑞々しいギター・ポップへと昇華させた。

  • 「イエスタデイズ・ヒーロー(Yesterday's Hero)」

オーストラリアのジョン・ポール・ヤングの楽曲。この渋い選曲がアルバムに絶妙なアクセントを加えている。

  • 「ドント・ウォーリー・ベイビー(Don't Worry Baby)」

山下達郎氏をはじめ、多くの音楽家をも魅了するビーチ・ボーイズの名曲。彼らの卓越したコーラスワークが存分に発揮された素晴らしい仕上がりだ。


メンバーの個性が光るオリジナル楽曲

カヴァー曲が脚光を浴びがちだが、オリジナル曲の質も極めて高い。

特に、バンドの音楽的支柱であるエリック・フォークナーの資質が爆発した「ロックン・ローラー(Rock 'n' Roller)」は白眉である。彼のグラム・ロック的な趣味性が存分に反映されており、アイドルという虚像の裏にある、彼らの「ロック・バンド」としての本能を感じさせる。


色褪せないパワー・ポップの結晶

当時の熱狂を知る世代はもちろん、パワー・ポップや70sロックを愛する若いリスナーにも、先入観を捨てて聴いてほしい一枚だ。

彼らがこの『青春に捧げるメロディー』に刻んだ音は、半世紀近い時を経た今もなお、鮮やかな輝きを放ち続けている。

そう思う。



Dedication
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