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【Girasole Audio Lab】#2 CD棚のスペースが激変!薄型ケース活用法と、破れがちな紙ジャケを美しく維持するコツ

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賢妻がもたらした、CDラックの奇蹟 20年以上も前のこと、よく新聞に折り込まれている、おしゃれ家具の通販案内に良さそうなCDラックを見つけた。 そのCDラックは700枚ほどの収納が可能だと謳っていた。 当時400枚くらいのCDを所有していていて、カラーボックス的な家具に、前後二段に並べて置いたCDが毎回探すたびにカオス状態になるのが悩みであった。 恐る恐る奥サマに、これ買ってみてもいいかなあ、と切り出すと、うーん、と一頻り考え、じゃあ二つ買おう、と彼女は言った。 収納力と現在の所有枚数で計算すれば、当然一つで十分なはずだが、「その収納力を超えた時、都合よくこの商品をもう一つ買えるように折込チラシが入ってくるわけないじゃない」と、言われてみればまったくおっしゃる通りなのである。 そして25年ほど経った現在、部屋ではこのようになっている。 二つ買っておいてよかったー、なのである。 一つ目のCD棚が早々に溢れ、二つ目のCD棚の荷を解き、組み立てを始めた時、20年前の妻の言葉を思い出し、「賢妻」というイメージが実体を伴って、私の中に認識された。 それ以降神のお告げを聞くように妻の言葉に従って生きている。とは、少し大袈裟な物言いだが、実態は、このふた竿のCD棚に収まっている現状も様々な工夫と果てしない作業によって支えられているのであって、本稿の本題は、その工夫についてなのであった。 本題に入る。 増え続けるCDをスマートに!薄型収納ケース 配信は時代的にそうだろうが、あろうことかレガシーメディアであるヴィニール・レコードの売り上げまでが伸びに伸びて、CDの売り上げを凌駕しているというではないか。それなのに、なぜ私の家では、繰り返しリマスターされ、愛情をたっぷり注がれた魅力的な紙ジャケの発売が続き、手当たり次第の購入をしなくなった今でも、CDの増殖が続いているのだろう。 それはひとえに、人は自分が見たいものを見て生きているからで、アンテナびんびんに張り巡らしていれば、勝手にCDだって増えていくというものだ。 しかし賢妻の言うことはどこまでも正しく、同じ製品が買えないから、という以前に、これ以上CD買って、いったいいつ聴くんだ?というところまで来ている。そこで収納そのものにメスを入れることにした。 KOKUYOさんのメディアパスをはじめとする12cmメディア用の薄型ケースが、その...

【Girasole Audio Lab】#1 さらば真空管、デジタルオーディオとアナログプレーヤー

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 2007年から愛用してきたMcIntosh C2200 & MC275ペアは、またしても「ボンっ!!」という嫌な音を立てて真空管が飛んだ。 ここ最近の視聴会では、デジタルアンプの音が好印象で、しかも子供の頃憧れていたテクニクスが近年いい感じの復活を遂げている。 私ごとだが、還暦に届いたのを機に仕事から引退してみたので、この機にオーディオの入れ替えを目論んだ。 条件の最優先事項はSACDの再生環境だった。 ジャズ、クラシックでシングルレイヤーの盤を数枚持っていること、さらに不確かな情報だが海外ではあまりラインナップされていないSACDの再生装置の開発がいつ終了してもおかしくないことから、最後のSACDプレーヤーとしてテクニクス機が良さそうに見えたのです。 これに併せてテクニクスの新プリメインアンプがデジタル仕様なのが良い。そして今どきのVUメータも嬉しいじゃないですか。 ここまできたらレコードプレーヤはもちろんテクニクスと行きたいところなのですが、DENONさんが魂込めて作ったやに見える、新モデルが良さそうすぎてついこちらを発注してしまったのですなー。 型番DP-3000NEと、伝統のエースナンバー3000番を奢られているのも嬉しい。 せっかくのDENONですからカートリッジもDL103を。 なんとテクニクスアンプはリモコンで、MC/MMの切り替えができるんですよ。 この新しい機器は、いくら長く聴いていてもまったく熱くならないのが安心です。 また電源系も含めほとんどの操作を一つのリモコンで操作できるのも、実に快適。 DENONのプレーヤは単独の電源スイッチがなく、ターンテーブルの回転を止めると電源が同時に落ちるようになっていて、これまた実に合理的。 なんか新しい機器はいろいろ快適ですわ。

【マルタの鷹】ハードボイルドの原点にして最高峰!ダシール・ハメットが非情な街に打ち立てた「探偵小説の聖典」

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はじめに:偏見を剥ぎ取った先に現れる、もう一つの「不都合な真実」 前回の記事 では、ベッドの上の名探偵が歴史の嘘を暴く『時の娘』をご紹介しました。あちらが「理性と検証」によって過去の真実を導き出す物語だとしたら、今回ご紹介する作品は、嘘と欲望が渦巻く現代のストリートで、「非情な現実」をそのまま突きつける究極のミステリです。 それこそが、ハードボイルド小説の不朽の名作、ダシール・ハメットの『マルタの鷹(The Maltese Falcon)』です。 謎解きの洗練さを競っていた当時のミステリ界に泥臭い現実を突きつけ、ジャンルそのものを根底から変えてしまった本作の本質を、いくつかの角度から紐解いていきましょう。 1. 作者ダシール・ハメットとは?――本物の「元・探偵」が描いたリアル 作者のダシール・ハメット(1894〜1961)は、アメリカのミステリ史において「ハードボイルドの始祖」と称される伝説的な作家です。 彼の描く世界が圧倒的なリアリティを持つ最大の理由は、彼自身がかつてアメリカの高名な「ピンカートン探偵社」の私立探偵(調査員)として生計を立てていたことにあります。 汗と血の匂いがする犯罪現場、悪党たちの狡猾な心理、そして権力や金で動く社会の裏側を、ハメットは自らの目で見てきました。病(結核)によって探偵業を退いたのち、彼はそのリアルな経験を小説に昇華させ、それまでのパズル的なミステリにはなかった「現実の犯罪と人間の剥き出しの欲望」を描き出すことに成功したのです。 2. 『マルタの鷹』のあらすじ:欲望を煮詰めた「黄金の鷹」を巡る血の争奪戦 サンフランシスコで私立探偵事務所を営むサム・スペードのもとに、ワンダリーと名乗る謎めいた美しい女性が訪れます。彼女の依頼は、駆け落ちした妹を連れ戻してほしいというものでした。 しかし、依頼を引き受けて尾行に赴いたスペードの相棒アーチャーが、その夜、何者かに至近距離から射殺されてしまいます。さらに、尾行対象だった男も遺体で発見され、スペード自身が警察から容疑者として疑われる事態に陥ります。 消えたワンダリー(本名ブリジッド)を追うスペードの前に、次々と現れる怪しげな悪党たち。彼らの目的はただ一つ、かつてマルタ騎士団が皇帝に献上したとされる、天文学的な価値を持つ宝石散りばめた黄金の彫像「マルタの鷹」でした。 嘘に嘘を重ねる絶世の美女、...

【名盤考察】フィル・コリンズ『No Jacket Required』徹底解剖|80年代ポップ・ロックの頂点を極めたメガヒット作の真実

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80年代ポップスの絶対王者:フィル・コリンズというモンスター 1980年代の音楽シーンにおいて、フィル・コリンズ(Phil Collins)ほど巨大な成功を収めたアーティストは他にいない。プログレッシブ・ロック・バンド「ジェネシス(Genesis)」のドラマー、そしてボーカリストとして世界的なキャリアを築きながら、ソロ活動でも驚異的なヒットを連発した。 かつては離婚の痛手や内省的な感情を泥臭く、あるいはシリアスに表現していた彼であったが、1985年にリリースされた3枚目のソロ・アルバム『No Jacket Required』にいたって、その音楽性は完全にポップ・ミュージックの王道へとシフトする。本作は全米・全英チャートで1位を獲得しただけでなく、世界中で2500万枚以上のセールスを記録し、グラミー賞の最高賞である「最優秀アルバム賞」を受賞した。まさに彼が「ポップス界の最も意外なスーパースター」としての地位を不動のものにした記念碑的作品である。 音楽的特徴:デジタル・クランチと煌びやかなダンス・ビートの融合 本作『No Jacket Required』の最大の音楽的特徴は、それまでの内省的な「失恋ソングの箱」から脱却し、アップテンポでダンス指向のサウンドを大胆に取り入れた点にある。 最大の特徴は、当時最先端だったドラムマシンによるエレクトロニック・パーカッションと、きらびやかなシンセサイザーの多用である。さらに、彼の代名詞でもある「ゲート・リバーブ」を効かせた重厚なドラム・サウンドと、ファンキーに鳴り響くホーン・セクションが完璧に融合している。一見すると80年代的な過剰さを持つポップ・アートでありながら、フィル・コリンズの卓越したメロディ・センスとダイナミックなボーカル、そしてヒュー・パジャム(Hugh Padgham)による研ぎ澄まされたプロデュース・ワークによって、時代の最先端を行く洗練されたサウンドスケープへと昇華されている。 主要楽曲の分析:全米を震撼させた珠玉のトラック 1. 「Sussudio」 アルバムのオープニングを飾る、きらびやかでファンキーなダンス・ナンバーである。プリンス(Prince)の音楽性に強い影響を受け、即興のドラムマシン・ビートから生まれたとされるこの曲は、意味を持たない「ススーディオ」という言葉の響きそのものを中毒性のあるフックに昇華...

【時の娘】ベッドの上の名探偵が歴史を覆す!ジョセフィン・テイが挑んだ「史上最も美しい」安楽椅子ミステリの本質

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はじめに:歴史の「常識」を疑う、究極の安楽椅子(寝台?)ミステリ 先行するミステリの傑作群にみられるように、偏見の眼鏡を外して世界を見つめ直す重要性は、ミステリにおいて不変のテーマです。 今回ご紹介するのは、その「常識や偏見を疑う」という行為を、フィクションの枠を超えて歴史そのものへと向けた不朽の名作、ジョセフィン・テイの『時の娘(The Daughter of Time)』です。 本作は、ミステリのジャンルにおいて「安楽椅子ミステリ(アームチェア・ディテクティブ)」の最高峰と称されると同時に、歴史の闇に光を当てた異色作として、いまなお世界中で読み継がれています。 1. 作者ジョセフィン・テイとは?――異色の足跡を残した孤高の才女 作者のジョセフィン・テイ(本名:エリザベス・マッキントッシュ、1896〜1952)は、スコットランド生まれの女性作家です。熱狂的なブームを巻き起こしたアガサ・クリスティやエルキュール・ポアロのような華やかさとは一線を画し、生涯で遺したミステリ長編はわずか8編。しかし、その一作一作が極めて高い完成度を誇ります。 彼女は「ゴードン・ダヴィオット」という名義で劇作家としても成功を収めており、その優れた人間観察眼と劇的な構成力が、ミステリ小説のキャラクター造形や巧みな対話劇にも遺憾なく発揮されています。 テイが描く探偵、ロンドン警視庁のアラン・グラント警部はいわゆる「超人」ではありません。直感に頼りつつも、地道な捜査と心理分析を重んじる人間味あふれるキャラクターであり、それが本作の特異な設定を支える重要な要素となっています。 2. 『時の娘』のあらすじ:ベッドの上で挑む「500年前の殺人事件」 ロンドン警視庁の高名な刑事アラン・グラントは、犯人を追跡中に足場から転落し、脚を骨折して入院生活を余儀なくされていました。天井のひび割れを数えるだけの日々に退屈しきっていた彼のもとに、知人の女優が「退屈しのぎのパズル」として、歴史上の人物の肖像画や写真を何枚か持ってきます。 グラントは、人の顔からその人物の職業や性質を見抜く「相貌論」の達人でした。そんな彼が、ある一枚の肖像画に目を留めます。 そこには、繊細で、思慮深く、どこか哀愁を帯びた「良識ある人物」の顔が描かれていました。聖人のようにも見えるその男の正体を知り、グラントは驚愕します。それこそが、イギリ...

【名盤考察】パーシー・スレッジ『The Best of Percy Sledge』徹底解剖|サザン・ソウルの真髄を宿したアトランティック初期の傑作コンピレーション

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 サザン・ソウル界の至宝:パーシー・スレッジという不世出のシンガー 1960年代半ば、アメリカの音楽シーンではモータウンに代表される洗練されたR&Bが席巻する一方で、南部ではより泥臭く、ゴスペルの情熱をそのまま世俗の愛へと昇華させた「サザン・ソウル(ディープ・ソウル)」が産声を上げていた。その黎明期において、唯一無二の存在感を放ったのがパーシー・スレッジ(Percy Sledge)である。 1966年のデビュー曲「男が女を愛する時(When a Man Loves a Woman)」が全米1位を獲得し、一躍世界のトップスターとなった彼は、涙を誘うような極上のハスキーボイスと、感情を剥き出しにする圧倒的なボーカル表現で聴き手を魅了した。単なる流行のポップ・シンガーの枠に収まらず、アラバマ州マッスル・ショールズのフェイム・スタジオの腕利きミュージシャンたちと紡ぎ出したアーシーなサウンドは、今なお時代を超えて愛され続けている。 音楽的特徴:南部マッスル・ショールズの熱気とアトランティック・レコードの洗練 1969年にアトランティック(Atlantic)レーベルからリリースされた本作『The Best of Percy Sledge (SD 8210)』は、彼のキャリア初期の黄金期を凝縮した、サザン・ソウル史上屈指のベスト・アルバムである。 本作の最大の音楽的特徴は、マッスル・ショールズならではの、重厚でタメの効いたリズム・セクションと、鳴り響くホーン・セクションが、ポールの人間味溢れる生々しいボーカルと完璧な融合を見せている点にある。一見すると粗削りで素朴な南部サウンドでありながら、アトランティックの洗練されたプロデュース・ワークによって、ポップスとしての高い完成度とソウル・ミュージックとしての熱量が奇跡的なバランスで同居している。 また、単にヒット曲を並べただけでなく、カントリー・ミュージックの楽曲を大胆にソウルへと翻訳するポールの類まれな「解釈力」が随所に発揮されており、彼のシンガーとしての骨太な精神性がアルバム全体を貫いている。 主要楽曲の分析:時代の空気を凝縮した珠玉のトラック 1. 「When a Man Loves a Woman(男が女を愛する時)」 言わずと知れたパーシー・スレッジの代表曲であり、サザン・ソウルをメインストリームへと押し上げ...

【ブラウン神父】「童心」から「無垢」へ――『ブラウン神父の無垢なる事件簿』が暴く、人間の業と近代の歪み

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 はじめに:なぜ今、ブラウン神父の「無垢」を問い直すのか? シャーロック・ホームズと並び、ミステリ史上最も愛される名探偵の一人、ブラウン神父。ギルバート・キース・チェスタトンが1911年に生み出したこの丸顔の小柄な司祭は、一見するとおっとりしていて、世間知らずのように見えます。 ハヤカワ文庫から刊行されている新訳版『ブラウン神父の無垢なる事件簿』。かつて日本では『ブラウン神父の童心』『ブラウン神父の無知』とも訳されてきた第1短編集の原題は“The Innocence of Father Brown”。 この「INNOCENCE」という言葉が指しているのは、決して「子供のような無邪気さ」や「世間知らず」ではありません。今回は、作品内の事例や時代背景から、ブラウン神父の本質に迫ります。 1. 「無垢(INNOCENCE)」の真意:彼はなぜ「悪」を知り尽くしているのか かつての「童心」という訳は、彼の風貌やコミカルな挙動に引っ張られたものでした。しかし、作中を精読すると、彼の「無垢」の正体が「罪の汚れなき本質(=偏見や欲望に曇らされていない眼)」であることが分かります。 【作中事例】『見えない男』『青い十字架』 例えば、有名な『見えない男』において、誰もが「誰も犯行現場に近づいていない」と証言する中、神父だけは「精神的な盲点」となっている郵便配達員の存在に気づきます。 また、シリーズ第1作『青い十字架』で、大泥棒フランボウが「司祭のふり」をして神父を騙そうとした際、神父はフランボウの「カトリックの教義(理性)を貶める発言」から偽物であることを見破ります。 「人間が泥にまみれるのを聞くのが、わたしの仕事ですからね」 手口や動機を見抜けるのは、彼が懺悔室で無数の人間の罪悪やドロドロした欲望を聞き続けてきたからです。誰よりも人間の「悪」を知り尽くしている。にもかかわらず、自身は決してその悪に染まらない。この「悪の深淵を知りながら、己の魂は清濁の彼方にある」状態こそが「INNOCENCE(無垢)」なのです。 2. カトリック的「わからなさ」を隠れ蓑にした、極上の反転トリック 全5冊にわたる短編集を貫くチェスタトンの妙技は、「カトリック言説の難解さ・宗教的な先入観」を読者に対する煙幕(ミスディレクション)として利用している点にあります。 プロテスタント文化圏や現代の私たちが...