昨日の疲れが少し残る朝、あるいは大切な決断を控えた朝。 コーヒーを淹れる前に、レコード棚から一枚の厚みのあるジャケットを取り出す。
The Allman Brothers Band(オールマン・ブラザーズ・バンド)。 1971年にニューヨークのフィルモア・イーストで録音されたこのライブ盤は、音楽史において「ライブ・アルバムの最高峰」と称される金字塔だ。
50年以上前の録音だが、この盤に刻まれた「圧倒的な生命力」が、まっさらな朝の意識を鮮やかに覚醒させてくれる。
![]() |
| Amazon商品ページLink |
ブルースの魂を繋ぐ「Statesboro Blues」の系譜
このアルバムの幕開けを飾る『Statesboro Blues』。針を落とした瞬間に鳴り響くスライドギターの音色は、何度聴いても鳥肌ものだ。
この曲の背景には興味深い歴史がある。
このタジ・マハル版でジェシ・エド・デイヴィスが弾いたスライドギターこそが、リーダーのデュアン・オールマンを「ギタリストとして燃え上がらせた」決定的なトリガーだったと聞く。彼らがルーツを敬愛し、自分たちの血肉に変えていくプロセス。その熱量が、この冒頭の数秒に凝縮されているのだろう。
ロック史を塗り替えた「ツイン・ドラム&ツイン・リード」
オールマン・ブラザーズ・バンドの立ち位置を語る上で欠かせないのが、その独創的な編成。
- 即興演奏の極致
天才デュアン・オールマンの、高度で長いインプロヴィゼーション(即興)はジャズのような難解さではなく、どこまでもメロディアスだ。- 南部の誇り
カントリー、ブルース、ジャズを融合させて「サザン・ロック」というジャンルを確立してしまった。彼らがただの「ロックバンド」ではなく、全員が卓越した技術を持つ「音楽家集団」だったからだろう。
20分を超える『Whipping Post』の中で、彼らが単なる演奏を超えて、精神的な対話をしているような気がしてしまうのは、まあ気のせいかもしれないが。
伝説に続く悲劇と、受け継がれる意志
このアルバムで頂点を極めた直後、バンドが大きな悲劇に見舞われるのだからロックの神様も非情なことをする。
1971年10月、リーダーであり天才ギタリストのデュアン・オールマンがバイク事故で急逝。
そのわずか1年後、ベーシストのベリー・オークリーも近くの場所で同じく命を落とした。
それでも、オールマンズは歩みを止めない。
ヴォーカルのグレッグ・オールマンは、兄デュアンの遺志を継ぎ、40年以上にわたってバンドを守り続けた。
2024年にはディッキー・ベッツもこの世を去ったが、彼らが遺した「自由な音楽精神」は、デレク・トラックスを筆頭に、現代のバンド・シーンに今も脈々と受け継がれていると思う。



0 件のコメント:
コメントを投稿