2022年12月16日金曜日

レコード棚を総浚い:『ABBA / ARRIVAL』

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年末の恒例行事、レコード棚の整理。

洋楽はABC順、邦楽は五十音順。並べ替えるたびに「買ったきり眠っていた盤」に再会し、自分の移り気さを反省する。そんな中、「A」の棚の筆頭を飾るのが、スウェーデンが生んだ至宝、ABBA(アバ)の3rdアルバム『Arrival』だ。

世界を席巻したポップ・マシーン、ABBA

ABBAは、アグネッタ、ビョルン、ベニー、フリーダの4人による、ポップス史上最も成功したグループの一つだ。1974年のユーロビジョン・ソング・コンテストでの優勝を皮切りに、彼らは単なる「流行歌手」の枠を超え、緻密なアレンジと完璧なメロディを量産するポップ・マシーンとして世界を熱狂させた。

その彼らが1976年に発表したのが、この『Arrival』である。ヘリコプターのコックピットに座る4人のジャケットが象徴するように、彼らが音楽シーンの頂点へと「到着」したことを告げる金字塔的な作品だ。

「Dancing Queen」が世界に与えたインパクト

このアルバムを語る上で欠かせないのが、言わずと知れた名曲「Dancing Queen」だ。

この曲は、当時のディスコ・ブームに対するスウェーデンからの回答であり、全米・全英を含む世界数カ国のチャートで1位を記録。単なるダンス・ミュージックに留まらず、時代や国境を超えて愛される「ポップスの教科書」となった。

当時、スウェーデン国王カール16世グスタフの結婚披露宴でも演奏されたこの曲は、まさに「国民的、そして世界的なお祝いの歌」としての地位を確立したのである。

【音楽理論的考察】なぜ私たちは「Dancing Queen」に魔法をかけられるのか

改めてこの曲を聴き直すと、その構成の妙に驚かされる。

  • <不安定>から始まる物語

イントロでは華やかなサビのメロディが奏でられるが、歌い出しの瞬間、曲はドミナントコードへと展開する。実はこれ、曲の中で最も不安定なポイントから歌が始まることを意味している。


  • <解放>の瞬間

聴き手は無意識に「安定」を求める。その渇望がピークに達した瞬間、あの伝説のフレーズ “Dig in the Dancing Queen” が放たれる。ここでコードが解決し、圧倒的な多幸感と安定が訪れるのだ。


  • <魔法>の完成

“Friday night and the lights are low...” と物語が本格的に動き出す頃には、私たちはすでにABBAが仕掛けた完璧なコード進行の魔法に絡め取られている。

終わりに

先輩から譲り受けたこの1枚。一緒に頂いたベスト盤も素晴らしいが、アルバム『Arrival』として通して聴くと、当時の彼らの勢いと、ポップスに対する異常なまでの執着と愛情が伝わってくる。 



 

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