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「このギタリストが、まさかこんな音を鳴らすなんて」
レコードをターンテーブルに乗せた瞬間、そんな心地よい裏切りに遭うことがある。今回棚から取り出したのは、エイドリアン・ガーヴィッツが1979年に放ったソロ名作、『Sweet Vendetta(甘い復讐)』だ。
ハードロックの猛者が辿り着いた「洗練」
エイドリアン・ガーヴィッツの名を聞いて、伝説のドラマー、ジンジャー・ベイカー率いる「ベイカー・ガーヴィッツ・アーミー」を思い出す人は、筋金入りのロック・ファンだろう。
プログレ系ハードロックの荒波にいた彼が、一転してアーバンなAORの世界へ舵を切ったのが本作である。1978年にローリング・ストーンズが『女たち(Some Girls)』でディスコへの回答を示したが、本作はそれとはまた違う、「ディスコとAORの最大公約数」を鮮やかに射抜いたサウンドが特徴だ。
TOTOの精鋭たちが創り出した「鉄壁のグルーヴ」
このアルバムのクオリティを担保しているのは、バックを固める超豪華なミュージシャンたちだ。
- ジェフ・ポーカロ / スティーヴ・ポーカロ(Drums / Keyboards)
- デヴィッド・ペイチ(Keyboards)
- デヴィッド・ハンゲイト(Bass)
まさに全盛期のTOTOの面々である。
エイドリアン自身も、ここでは技巧派リードギターをあえて封印気味にし、ファルセットを多用したボーカリストとして振る舞っている。彼らが生み出すタイトで粘り気のあるリズムは、今聴いても全く色褪せることがない。
舞台裏の記憶
余談だが、本作のライナーノーツを担当された湯川れい子先生とは、かつて仕事でロサンゼルスやラスベガスをご一緒したことがある。当時、外界との接触を絶っていたセリーヌ・ディオンの楽屋をさらりと訪問される先生の姿を見て、大物ミュージシャンたちとの絆の深さを肌で感じたものだ。そんな先生が「ジェフ・ポーカロと電話で話した」と記すライナーを読み返すと、当時のシーンの熱量が伝わってくる。
【音楽理論的考察】AOR的な「甘い罠」の構造
本作のタイトル曲やリード曲に見られるのは、緻密に計算されたコード・ヴォイシングだ。
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