2022年12月19日月曜日

『LOST IN LOVE』前夜の輝き | エア・サプライ、豪州デビュー盤の意外な横顔

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「エア・サプライ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、あのどこまでも突き抜けるようなハイトーンボイスと、甘く切ないバラードの世界だろう。1980年に「Lost in Love」が全米で大ヒットし、一躍AOR界の頂点へと駆け上がった彼らだが、その成功の影には、母国オーストラリアで育まれた「もうひとつの原点」があった。


手元にあるのは、彼らが1976年に発表したセルフタイトルのデビューアルバム『AIR SUPPLY』(邦題:ストレンジャーズ・イン・ラヴ)。80年の全米進出後に再発された盤ということもあり、ファンにとっても興味深い一枚だろう。


爽やかなイメージを覆す「ディスコ」と「躍動感」

針を落として驚いたのは、後年の「バラードの貴公子」という固定観念を心地よく裏切ってくれる、その音楽性の幅広さだ。

  • 意外なディスコ・グルーヴ

80年代の彼らからは想像もつかないような、当時流行の兆しを見せていたディスコ・ビートを取り入れた楽曲。

  • グラハム・ラッセルの音楽的野心

今もなおバンドを支え続ける中心人物、グラハム・ラッセルの若き日の才気が溢れている。甘さの中にも、どこかロックのダイナミズムや、豪州の開放的な空気感が混ざり合っているのが新鮮だ。

 邦題と推し曲のミステリー

アルバムの邦題は『ストレンジャーズ・イン・ラヴ』。ジャケットにも大きくそのタイトルが冠されているため、てっきりこの曲がメインなのかと思いきや、当時のシングルカットは別の曲だったというのも面白いエピソードだ。

そのシングル曲「Love and Other Bruises」を聴いてみると、これがなかなかの佳曲。

後年の洗練されたAORスタイルへと繋がる瑞々しいメロディラインが、すでにこの時点で完成されていたことを物語っている。


結びとして:名盤のルーツを辿る旅

現在は残念ながらCDでの入手は難しいようだが、レコードの溝から流れてくる1976年の彼らの歌声は、決して古びてはいない。

小4でベイ・シティ・ローラーズに熱狂し、中1で甲斐バンドや佐野元春に出会ってきた自分にとって、こうした「名盤のルーツ」を辿る時間は、まさに至福のひとときであった。

「Lost in Love」で世界を席巻する4年前、オーストラリアの海風を感じさせるような彼らの初期衝動、大好物でございます。

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