![]() |
| 画像クリックでAmazonの商品ページにリンクします |
今回の映像化で、『スター・ウォーズ』も『風の谷のナウシカ』も、この作品世界から非常に大きな影響を受けたんだなあと改めて認識できた。
![]() |
| 画像クリックでAmazonの商品ページにリンクします |
そこで今回ご紹介するのは、新進気鋭のピアニスト、尾城杏奈さんによる『スクリャービン・リサイタル I & II & III 』(TRITONレーベル)です。
それが聴いてびっくり、なんとも新しいスクリャービンなんだなあ。
スクリャービンの楽曲は、過去の巨匠の名演があるが故に、技巧的な難解さ、独特の「法悦感」や「神秘性」を求められますよね。
しかーし、尾城さんのアプローチは、曲の深淵にある「叫び」をも「美」に寄せていく現代の表現だったのです。
本作はSACD(Super Audio CD)としてリリースされており、空間の広がりや残響の消え際まで、鳥肌が立つほどのリアリティで収められています。
ブックレットの写真がモノクロなのが唯一の心残り(!)と言えるほど、彼女自身の美しさと音楽性の対比が、このアルバムの価値をさらに高めています。
スクリャービンはロシアの作曲家・ピアニストですが、その音楽はショパンの流れを汲む初期のロマンティックな作風から、後期の「神秘和音」を用いた独自の宗教的・宇宙的な世界観へもアプローチしていたようです。
スクリャービンのピアノ曲といえば、まず伝説的なホロヴィッツの名盤が思い浮かぶでしょう。しかし、あえて現代の録音、それも尾城さんのような次世代の解釈で聴くことで、スクリャービンが譜面に込めた「現代性」や「色彩感」が、ハイレゾの音像として鮮明に立ち上がります。
スクリャービンの音楽には難解さ故の壁がありますが、尾城さんの指先から放たれる繊細な一音一音が、異世界にあるような世界観を引き寄せているようです。
オーディオを趣味とする者にとって、良い演奏と良い録音の出会いは、まさに至福の瞬間です。
部屋の照明を落としてSACDを再生すれば、そこには美しきピアニストが紡ぐスクリャービンの情熱が現出しているはずです。
スクリャービン・リサイタルI〉 ピアノ・ソナタ全集 Vol.1 尾城 杏奈(ピアノ)
スクリャービン・リサイタルI〉 ピアノ・ソナタ全集 Vol.2 尾城 杏奈(ピアノ)
スクリャービン・リサイタルI〉 ピアノ・ソナタ全集 Vol.3 尾城 杏奈(ピアノ)
亡くなった原尞さんに導かれるようにして、ポケミス(ハヤカワ・ミステリ)版の『そして夜は蘇る』を手に取った。それをきっかけに、私はすっかりポケミスの持つ独特な装丁の美しさに夢中になってしまった。
幸いにも私が暮らす街には、今や貴重となった「ポケミスコーナー」を常設している大型書店がある。旧刊から新刊までが充実した棚を眺めてはニヤニヤするだけの日々に終止符を打つべく、先日、完全なる“ジャケ買い”で一冊の本を購入した。
それが、ジェイムズ・ケストレル著の『真珠湾の冬』(原題:Five Decembers / 山中朝晶 訳)だ。
本作は、2022年のエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長篇賞を受賞し、世界中のミステリファンを震撼させた歴史サスペンス巨編だ。
舞台は1941年11月のハワイ・ホノルル。アメリカ陸軍上がりの不器用な刑事ジョー・マグレディは、白人男性と日本人女性が惨殺された奇怪な猟奇殺人事件の捜査を命じられる。
わずかな手がかりを追い、ウェーク島を経て容疑者がイギリス領の香港へ向かったことを突き止めたマグレディは、すぐさま現地へと飛び立つ。しかし、彼が香港に降り立った直後、日本軍による真珠湾奇襲攻撃が勃発。世界は太平洋戦争の激動へと巻き込まれていく。
開戦により、敵地となった香港で日本軍に囚われ、やがて戦時下の東京へと流れ着くマグレディ。激動する歴史の渦に翻弄されながらも、彼は自らが奉じた刑事という職業への強い使命感を胸に、執念で連続殺人犯の行方を追い続ける――。
単なる犯人探しのミステリに留まらない、本作の凄まじい魅力を3つのポイントに絞って紹介する。
ハワイ、香港、そして日本。主人公マグレディの前に立ちはだかるのは、戦争という圧倒的な現実と、愛する人が待つ故郷との間に横たわる「太平洋の巨大な距離」だ。
自由を奪われ、世界の片隅に置き去りにされながらも、事件の真実だけを見つめ続ける彼の孤独な横顔が胸を締め付ける。
アメリカ人作家の手によって描かれる戦時下の日本や歴史的背景は、驚くほど真摯で重厚だ。声高に「リメンバー・パールハーバー」と叫ぶような単純なプロパガンダ小説ではない。
極限状態の中で主人公自身も手を汚さざるを得なくなる展開は、「戦争がいかに人間の運命を狂わせ、無垢な者を追い詰めるか」を鋭く描き出しており、この国に生きる私たち読者にも深く考えさせるものがある。
職務への身を焦がすほどの使命感ゆえに、マグレディが背負わなければならなかった喪失はあまりにも重く、どこまでもやるせない。
しかし、作者はこの重厚な物語の幕引きに、これ以上ないほどふさわしいラストを用意してくれた。読み進めるにつれて、我がことのように主人公の救いを求めるようになっていた私にとって、その結末はまさに「福音」そのものだった。
ぜひご自身でこの福音を噛み締めていただきたい。
真珠湾の冬 (ハヤカワ・ミステリ)
これほどの怪作を書き上げたジェイムズ・ケストレル(James Kestrel)とは、一体何者なのだろうか。
彼は、刑事事件の調査員など様々な職種を経験した後、現在は弁護士としても活動している異色の作家だ。その現場経験に裏打ちされたリアルな捜査描写と人間の心理描写が、本作のリアリティを支えている。
「これほどの筆力を持つ作家なら、他の作品も読みたい!」と思うのは当然だが、実は「ジェイムズ・ケストレル」という名義での長編邦訳作品は、現在のところこの『真珠湾の冬』のみとなっている。まさに、満を持して日本のミステリ界に投下された一撃必殺の傑作なのだ。
『真珠湾の冬』は、ページをめくる手が止まらなくなるサスペンスとしての面白さと、歴史の荒波に引き裂かれる人間のドラマが見事に融合した、本物の文学だ。
重く、苦しく、逃げ場のない読書体験をもたらす本ではあるが、心底この本に出会えてよかったと断言できる。
かつてポケミスが黄金期を築いた時代のような、重厚な翻訳ミステリの醍醐味がここには詰まっている。ミステリ好きはもちろん、歴史の波間に生きた人間の魂の彷徨を感じたいすべての人に、ぜひ手に取ってほしい。
| 画像クリックでAmazon商品ページにリンクします |
少し前に、北海道新聞のコラムでカフカの『掟の門前』が紹介されていた。
読んだことがなかったので、光文社古典新訳文庫で買ってみた。
| 画像クリックでAmazon商品ページにリンクします |
タイトルは『掟の前で』となっていた。
読めば、門前の方が内容に相応しい気がしたが、門自体が「思い込み」のメタファーであることを考えれば、『掟の前で』の翻訳意図も理解できる。
併録されている『アカデミーで報告する』も多様な解釈を許す短編で、『掟の前で』と併せて読むことで、カフカの人間あるいは社会に対しての基本的姿勢のようなものを、ぼんやりと形作っているように感じられた。
そしてその2篇を膠のように『変身』と繋ぎ止める『判決』。
この4篇でこの本は構成されている。
最も長い『変身』は何度も読んだ作品だが、今回もまた、以前とは全く異なる印象を残した。
直前、直後の読書、それまでの人生の経験。そういうもので本から感じ取る風景は全く異なるものになる。それが読書というものだと思う。
ところで、最近ニュースを騒がせているChatGPT。この優れたAIを使って読書感想文を書いた学生を処罰するというニュースが流れた。
カフカを読んで、しみじみとした人生の奥深さを覗き込んだ直後にこのようなニュースに接すると、まことにどうでも良いことに思える。
感想文に点数をつけて評価をすることが目的になっているからAIなんぞに書かれては困るのであって、教育の場での本当の目的は、読書感想文をクラスで共有して、人間の感性のしなやかさや、環境の違いによる考え方の相違を受け止める柔らかさを学ぶことだろう。
教育の世界にChatGPTが突きつけたのは、「評価」ができるような成果物はもうコンピュータで作れてしまう、ということだ。
そしてそのような「評価」を前提とした設問は、すでにビジネスの社会には存在せず、誰もみたことのない課題に、どんなものの力でも借りながら挑んでいくことが求められている。
そして、まさにその壁を、はるか1910年代に描いたのがカフカであった。本当に大切なことは、どのようにしてでも学べるものだ。初等・中等教育はそのための成功体験を人工的に体験できるシミュレーションの場として機能させて欲しいものだ。
これたぶん三回目の再読なんだけど、今回も今回もとっても新鮮な不思議さのまま、最後まで連れて行かれた。
ジョン・ディクスン・カーの『火刑法廷』
謎解きも複雑で、簡単には飲み込めない。
作者もそう思ってるんだろう、嘘だと思うならXページを見ろ、との注釈まで入っている。そして読んでも、納得するにはよくよく考えなければならず、時間がかかる。
カーの頭の中は一体どうなってるんだろう。
そしてラスト数ページの大仕掛けも、巻末の豊崎さんの解説を読んで、あっと気づいて、読み直して、寒気が走って、前回読んだ時も同じステップ踏んだな、と思い出す始末。
俺の頭の中もどうなってんだよ。
※ハヤカワの新訳版、表紙変わってますね。
G&Lギターの改造記第3回です。
今日は、ピックアップとブリッジ周りを。
G&LのASAT Classicにはオリジナル設計のMFDピックアップがついていて、ポールピースが各弦で調整できるようになっていました。
が、それゆえにテレキャスらしからぬナイーブなルックスになっていました。
今回の改造では、よりオリジナルに近い、FENDER社製 Pure Vintage '64 Telecaster Pickup Setをセレクトして、搭載しました。
お次はブリッジ。
テレキャスターの欠点として挙げられることが多い、3分割タイプのブリッジですが、逆に、それがテレキャスターらしいリジッドなサウンドを生み出していることもまた事実なわけで、今回各弦でオクターブ調整できる6分割タイプから、わざわざオリジナルに近い3分割タイプに戻しました。
信頼のGOTOH社製、BS-TC1 Chromeです。
なぜ GOTOHを選ぶかというと、もう一本のテレキャスターVanzandtのブリッジについていた芋ネジが長すぎて、弾くたびに右手の腹に引っかかって不快だったのです。
イライラに耐えかねて、自分でGOTOHのブリッジを買ってきて交換。スッキリ解決したため、今回もGOTOHさんを選びましたら。
そしたらなんと!G&Lはネックのジョイント位置がフェンダー系のテレキャスと少し違っていて、互換製品を使うと弦高調整との兼ね合いで、やっぱり芋ネジの頭が出てしまうのでした。
で、まあ芋ねじなんで探せばサイズはあるもので、Amazonでこれを見つけて、見事解決。
次回最終回は回路系です!
G&Lギターの改造記の第2回です。第1回はこちらから→『俺とG&L #1』
まずはペグ。
GOTOH ( ゴトー ) 社製のマグナムロックのペグ。
型番はSGS510Z-MG-A07-L6-Chrome
ポストに弦をくるくる何度も巻かなくても良いという優れものである。
裏面にはgotohを数字化した「510」の文字が。
弦交換は、作業としては楽になるが、弦のロックが甘いとチューニングが合わない。取説には書かれていないが、交換してくれた楽器屋の兄ちゃんが、コインで上のネジ締め込むと一発で合うよ、と教えてくれた。
お悩みの方、ぜひお試しを。
還暦を過ぎ、いつの間にか貪欲に新しい音楽を探すことはなくなった。 それでも、日々を生きていれば音楽に頼りたくなることはあるものだ。そんなとき聴きたくなるのは、アーティストたちの人生が垣間見える<アンソロジー>で、いくつか愛聴盤がある。 誰かの心無い言葉や、諍いに心に澱が募るよう...