2013年6月16日日曜日

映画『あの胸にもういちど』〜マリアンヌの黄色いヘッドライト

『あの胸にもういちど』はフランス耽美派の作家マンディアルグの小説「オートバイ」をジャック・カーディフが映画化した1968年の作品。


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レベッカを演じるのはローリング・ストーンズのミック・ジャガーの恋人で、当時22歳のマリアンヌ・フェイスフル。

64年にミックとキースが共作したデビュー・シングル「As Tears Go By(涙あふれて)」が全英1位を獲得。ポップ・アイコンとして一世を風靡した。


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この映画でマリアンヌ・フェイスフルは、素っ裸の上から黒いレザースーツをきゅううっと着て大型のバイクに乗り、サドルの上で跳ねながら疾走していく。
この時のマリアンヌ・フェイスフルが、初期ルパン三世の峰不二子のモデルであるのは、もはや定説だ。



Harley-DavidsonのFat Boyの美しいフォルムが彼女によく似合って、フランスでもこの映画の公開後、時ならぬハーレー・ブームが起きたという。

僕もこの映画でのハーレーは本当にかっこいいと思う。

僕は子供の頃「750ライダー」という漫画を読んでバイクに憧れて、いつかはナナハンに乗るぞ、と決めていた。
だが、長じてみるとどうやら自分には大きなバイクに乗る運動神経は無さそうだと気付き、自分以上にそれをよく知っている家族にも猛反対されてバイクに乗るのを断念したのだ。
そんな自分の夢を葬り去る鎮魂のために、ディアゴスティーニのハーレー・ファットボーイモデルの1/4模型を大枚はたいて注文して作成したことがある。
そのハーレーが出来上がった時、部屋を暗くしてライトを付けてみると、マリアンヌのファットボーイと同じようにライトが黄色く点灯して、感激した。



ところが、ディアゴスティーニの掲示板では、「バイクのライトが黄色いなんてありえない」とか「実車のファットボーイ・ユーザーだが、黄色いライトのハーレーは歴史的にも存在しない」などという流言飛語が飛び交って、せっかくカッコいい、その黄色のライトを白色に交換するのが大流行していたのである。
それ自体は個人の自由だと思うが、「交換するのが面倒だから黄色のままでいいや」と思うのと「マリアンヌのファットボーイと同じでカッコイイ」と思うのでは随分違うと思うので、僕はこの映画には感謝している。


さてそのマリアンヌ扮するレベッカが愛するドイツの大学教授ダニエルを演じたのがフランスのトップ・スター、アラン・ドロン。当時31歳。
この『あの胸にもういちど』では知的で冷酷なサディストを魅力的に演じている。

大学での授業で、結婚という概念にとらわれないフリーラブについての定義をドロン扮するダニエル教授と学生達が議論するシーンが出てくる。
それは愛のない欲望なんだ、とダニエルは結論付けている。

そして、レベッカはダニエルの元に向かうのは鳥の群れの本能のようなものだと言っている。もちろん新婚早々の若妻である自分が夫が寝ている間に恋人の元に向かうのはモラルに反するのは承知している。
しかしダニエルに逢いたいという感情を抑えることができず、その行動は本能、つまりダニエルの言う「愛のない欲望」に基づいたものであるということになる。

社会的に褒められた関係ではもちろんないわけだが、あまりにも美しいアラン・ドロンとマリアンヌ・フェイスフルによって演じられる、その不道徳は、それ故に現実感のない輝きを放っていて、眩しい。

だから、野暮な言葉で評論するのはやめて、その輝きに見蕩れようじゃないか。
ではどうぞ。







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