先日、最近なにかとオーディオやクラシック音楽のことについて教えていただいている先輩のおうちにお邪魔して、「平行法」というスピーカーセッティングの実際の音を聴かせていただいた。
たいていの場合、生活の場でもある部屋では、スピーカーは壁の近くにセットされていると思う。
オーディオのセッティングに詳しい人は、後ろの壁から一定の距離をおくと、音の広がりが良くなることを知っているだろう。
平行法というのは、その考え方を一歩推し進めたもので、スピーカーを部屋の中ほどまで持ってきて、かつスピーカーを内振りにせず、音の放出線を並行にして部屋全体の前と後ろの全部を使って部屋のエアボリューム全体を震わせようという試みである。
一般に音響のことを考えると長方形の部屋の長辺側にスピーカーをセットするのが有利である。短辺側に置くと定在波の関係で低音部分に欠落が生じるからだ。
しかし、日本の家屋の条件では、だいたい短辺側に置いて、部屋の長い方を使って音楽を聴くことになるのではないか。
そして、この「平行法」はそのような住環境への福音なのである。
一般に音響のことを考えると長方形の部屋の長辺側にスピーカーをセットするのが有利である。短辺側に置くと定在波の関係で低音部分に欠落が生じるからだ。
しかし、日本の家屋の条件では、だいたい短辺側に置いて、部屋の長い方を使って音楽を聴くことになるのではないか。
そして、この「平行法」はそのような住環境への福音なのである。
先輩のおうちの音は、本当に今まで聴いたこともないような臨場感で、スピーカーの遙か後方でティンパニが鳴り響いたのには本当に驚いた。
どうして前を向いて鳴っている筈のスピーカーの後ろから音がするのだ?
自分の部屋でも試してみたかったが、あいにく手持ちのケーブルが短く、スピーカーを移動するのは無理だった。
見かねたのか、件の先輩、余ってるスピーカーケーブルがあるから貸してあげるよ、とおっしゃる。
有難くお借りして、今夜実験と相成った。
お借りしてみると、ケーブルは「伝説の」という形容詞がよく似合うウェスタン・エレクトリック製。キャリアが長いってこういうことなんだよね。
さっそく自分のケーブルを外し、スピーカーを部屋のちょうど1/3あたりに持ってくる。もともと部屋のちょうど真ん中に収納家具があるのと、1/3のところに置くと、本棚前の作業用の椅子のところとちょうど1/2の距離になるのだ。
下の写真が、今までのセッティング。
左下に見えているソファ・チェアで聴くようになっている。
下の写真が、今までのセッティング。
左下に見えているソファ・チェアで聴くようになっている。
それをこのようにしたわけだ。
こうなるともう、ソファはスピーカーの真横といってもいいほどの距離で、とうていここでは聴けないので、この後ろにあるPCデスクの椅子で聴くことにしたわけだ。
ケーブルをつなぎ直し、聴き慣れたコパチンスカヤのベートヴェン・ヴァイオリン協奏曲をかける。
ぐいっとボリュームを上げると、いとも簡単に先輩の家で出会った魔法が再現され、部屋の一番奥までサウンドステージが広がる。
これホント何度聴いても不思議なんだよなあ。
自分の目の前1.5mくらいのところに確かにスピーカーはあるのに、音は3m先から聴こえてくるんだから。
しかし、これ試しに聴いてるうちはいいけれど、今のこの部屋ではこのまま生活するのは無理なので、この環境を実現するためにはいろいろ考え直さなくてはならない。
本を読むこと。
音楽を聴くこと。
楽器を演奏したり、歌を作ること。
この中のどれを犠牲にできるだろうか。
悩ましい。
しかし悩んでしまうくらい、この音が凄いのだ。
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