2013年5月8日水曜日

こんな夜にはコステロを聴いて

例年にない寒さが続き、なかなか春が訪れてくれなかった札幌に、やっと少しだけ暖かい日がさした今日一日を締めくくるのに聴きたい音楽はこれしかないですな。
エルヴィス・コステロ:ブルータル・ユース。

社会人になって5年目の1994年、CDショップの試聴コーナーで、ちょっと興奮気味の店員のPOPに背中を押されてこのエルヴィス・コステロのブルータル・ユースというアルバムを聴いたのでした。
有名なアーティストだったけど、なぜか聴く機会がなかったのですよ。
しかし、一聴、すごい声だ!と思わずのけぞってしまい、即購入。


その後ほとんどのアルバムを買い揃えた今でもコステロで一番好きなアルバム。
6曲目のYou Tripped At Every Stepを聴くと、いつだってその繊細なメロディと精緻に構成された楽曲の細部のいちいちに魂を奪われて、体が動かなくなってただ聴き入る。
10曲目のLondon's Brilliant Paradeでは、僕とロック・ミュージックの出会いであったBay City Rollersを思い出させる古き良きブリティッシュ・ポップの薫りがして、胸がキュンキュンして悶えるのみ。

そして、このアルバムのプロデューサーはミッチェル・フルーム。ここ重要。
その後大好きになったロン・セクスミスでミッチェル・フルーム・プロデュースにハズレ無しの神話が自分的には確定してマス。

で、エルヴィス・コステロのアルバムをファーストから買い揃えるわけだが、最初に買ったファースト・アルバム、マイ・エイム・イズ・トゥルーがまたすごい。


間違いなくこの2枚が僕にとってのコステロズ・ベスト・トゥー。
ことに5曲めのアリソンは、切なメロディ満載の大傑作で、この曲のサビの最後の一節がアルバム・タイトルになっておるのです。

このアリソンという曲、あのリンダ・ロンシュタットもミス・アメリカというアルバムでカバーしておりまして、ちょっとイメージ違うかな、と思ったら意外とハマってます。サビのメロディにかぶせてイヤに印象的なアルト・サキソフォンが聴こえて、見事なソロまで入ってくる。これは、と思って調べるとなんとデヴィッド・サンボーンさんじゃありませんか。豪勢ですな。

あとニール・ヤングのブリッジ・スクール・コンサートというライブに出演したコステロとニール・ヤングのハモってそうでハモらない、ハモらないのにかっこいいデュエットによるアリソンもなかなかのものでした。

コステロ先生におかれましては、少し前にクラシックの世界的に高名なメゾ・ソプラノであらせられるオッターさんとデュエットをおやりになったり、ダイアナ・クラールと結婚したからではないでしょうが、ジャズ・オリエンテッドな、らしくないヒットアルバム「ノース」と、バレエ音楽「マイ・フレーム・バーンズ・ブルー」をグラモフォン(!)からリリースされたりと幅広い活動をされた後、何枚かインポスターズという新バンドでロック・アルバムを出されましたが、それは、なんというかピリっとしませんでしたな。

しかし、さすがはコステロ先生。
ディラン先生の完全なカントリー・ロック路線での大復活に歩調を合わせるように、「Secret, Profane & Sugar Cane」でまずはカントリーで軽いジャブ。昔の胸キュンメロディーが復活しててとてもよかった。と思ったらセルフ・カバーも入ってますね。
そして!ついに!あのヒネたポップのコステロさんが帰ってきた「National Ransom」!
これこれ。これですよ。
というわけで、今夜は少し夜更かしして、もう一枚聴いて寝ますか。



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