2018年12月9日日曜日

平成のエラリー・クイーンは健在でありました。

平成のエラリー・クイーンとまで呼ばれた青崎有吾のデビュー作『体育館の殺人』は、その呼び名に恥じぬ傑作ではあったが、頻繁に引用される賞味期限の短いサブカルネタが気になったものだった。

平成のエラリー・クイーンとサブカルチャーの賞味期限~「体育館の殺人」青崎有吾

その後、このシリーズが続刊されているのは知っていたのだが、なんとなく手が伸びずにいたが、思いがけず出先で時間があいて、飛び込んだ書店に食指の伸びる本が見当たらず、青崎の短篇集『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』が目についたので買ってみた。

相変わらずのサブカルネタ引用が多いが、今回はわかっているので気にならない。
もともと探偵役の少年の性格描写以外には引用そのものには大した意味がなかったのだ。それなら気にならないように書けばいいだけの話で、どんどん書き方もうまくなってるんだろう。

作品そのものも面白かったんだが、デビュー作『体育館の殺人』と、この短篇集の間には『水族館の殺人』が発刊されており、どうやら登場人物たちの過去についての記述があることがわかって、むしろそこが気になる。
シリーズもののミステリで登場人物の過去が気になるってのは、人物が書けているってことなんだろう。
それにその恋、どうなるのよ、ってのも気になるよね。

こりゃシリーズ追いかけるか、と思い直すきっかけになった。
というわけで、『水族館』とシリーズ最新刊にあたる『図書館の殺人』を一気読みしたのだった。

実は『水族館』を読み渋っていたのにはある訳があった。
帯に「今度は容疑者が11人」と書いてあったのだ。
告白すると、エラリー・クイーンの少しクドすぎる推理描写が僕は苦手なのだ。
読者への挑戦、フェアプレイのエラリーだからしょうがないんだが、ちょっとアレ、メンドくさいよね?

しかし今回読んでみて、平成のエラリー・クイーンはたいしたもんだ、丁寧に謎解きの道筋を書き込んでいるが、ちっとも面倒な感じがなかった。
いいね。

そして最新刊の『図書館の殺人』は、過去最大のボリュームを費やして、わりと大掛かりな殺人事件を構成してみせた意欲作となった。
謎解きも、天才的な洞察を見せながらも、だからこそ真相にたどり着く道筋が平坦でなく、悩み、発見していく過程が共有され、面白い。

現在は違うシリーズも手がけ始めたようだが、あの恋の行方も過去のいきさつもヒッジョーに気になるので、続刊を期待しております。

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