2015年11月29日日曜日

EvergreenとForeverのあわい〜My Little Lover「re:evergreen」によせて

予約して楽しみに待っていたCDが届いた。
My Little Loverのre:evergreen

re:evergreen
re:evergreen
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My Little Lover
トイズファクトリー (2015-11-25)
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90年代、狂ったようにカラオケボックスに行っていた。
バブルの最中も、ハジけたあとも仕事は山のようにあって、深夜まで仕事をしてハイになったまま酒を呑んで歌った。
僕のアシスタントをしてくれていた人が歌う「白いカイト」が大好きだったから、せがんでよく歌ってもらった。
だから、今でも疲れた時には「白いカイト」が収録されているMy Little Loverのデビュー盤であるevergreenを聴いて、若さに任せて走り続けることのできたあの頃に想いを馳せていた。

20年を経てevergreenへの返信をするという記念盤のコンセプトを聞いては、これを入手しないという選択肢はすでにない。
evergreenをリプロデュースして併録するというのだからなおさらだ。

Re:と見て思い出すのは、2006年に出た寺尾聴さんのRe-Cool Reflectionsだ。
大ヒットアルバム「Reflections」を当時と同じメンバーでレコーディングし直した作品だが、これがもう痺れかえるくらいカッコよかったので、今回の企画にも大きな期待をしていたのだった。

Re-Cool Reflections
Re-Cool Reflections
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寺尾聰
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届いた新作re:evergreenを聴いてみて、予想以上の素晴らしさに驚いた。
まさに20年前の彼ら自身へのakkoからの返信がそこにあった。
本当にいい作品を作ったよね、今の自分もあの頃と変わっていないよ、という強い想いが楽曲の端々に滲んでいた。

併録されたevergreenのリプロデュース盤は、当時のakkoの歌はそのままにバックトラックに手を加えたもので、リアレンジではなく、リプロデュースなのである。
使用する楽器を変更したり、ミックスを変えたりして20年前のakkoの歌唱を現代の音楽として甦らせるというコンセプトなんだな。
だってevergreen=変わらないもの、なんだよ。
「変わらないものは、なにも変えられない」と佐野元春も言っている。

こうして聴いていると、ああ本当にevergreenな音楽を作ったんだなと思う。
存在そのものが永遠性を持つForeverではなく、時代の中で息づいていくevergreen。
またひとつ大切なことを音楽から教わった。

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