2015年11月15日日曜日

2015年、今年もCAVIN大阪屋のハイエンド試聴会に行ってみた

今日は、年に一度のハイエンド・オーディオ試聴会に出かけた。
毎年北海道最大のオーディオ専門店であるCAVIN大阪屋さんが主催する試聴会である。

出展される機器は数百万円から数千万円というレンジの商品で、こういう話をするとよく、「車が買えちゃうじゃないですか!」と驚かれたりするのだが、その比較がいつも僕にはもうひとつピンとこない。

僕は車を運転するのが苦痛だし、スピードが怖い。
だからなるべくサイズも出力も小さな車を好む。
新車を「馴らし」て乗るのが面倒だから中古車にしか乗ったことがない。

でも音楽を聴くなら、できるだけ演奏者の感情まで読み取れるような機械で聴きたいと思う。
まあ確かに1300万円のアンプって一体誰が買うんだろうとは思う。
でもそこにしかない価値があるということはわかる。
フェラーリを買う人の気持ちはわかる、というのと同程度に。

今店で鳴っているのが8万円のアンプで、修理中の真空管アンプが40万円、部屋で鳴っているマッキンがプリ+パワーで165万円。
それぞれにいい音が鳴る。いや、鳴らしている。
価格ではなく、それぞれの機器が持つ価値と自分のライフスタイルのすり合わせがこの趣味の中核だと思う。

ある種の人たちにとって、音楽とライフスタイルは密接に関連していて、時にライフスタイルに合った音楽をチョイスして聴くことを超えて、逆に音楽によってライフスタイルが規定されていくようなことがある。

そしてそこまで強力な音楽には必ずどこかに人の感情がこもっているはずで、それを最大限まで引き出せるツールにやはり関心がある。

それが買えもしないのに、ハイエンド機の試聴会に毎年いそいそと出かけていく理由(言い訳)だ。


さて今年の試聴会では例年評判の悪い課題曲制が廃止されたが、一出展者の持ち時間が30分に短縮された。出展者が増えたことが原因だからそれ自体はいいことだと思う。
しかしなぜか、多くの出展者のかける曲がクラシック曲と和太鼓に類型化してしまったことは残念なことだ。
かけたい曲が無いなら課題曲制に文句なんか言わなきゃいいのに。

そんな中でいつも抜群の選曲センスで僕をうならせるデモンストレータがいる。
今年も、エバ・キャサディのイエスタデイのカバーに心ごと持って行かれた。
(↓このアルバムに入っているそうです)

American Tune
American Tune
posted with amazlet at 15.11.15
Eva Cassidy
Blix Street (2003-08-12)
売り上げランキング: 125,070

そしてジプシー・キングスのギタリストのソロアルバムだと言ってかけたCDが滅法カッコよかったが、確か「デイヴィッド・ベッカムならぬ」と紹介していたので調べてみたがそれらしいメンバーはいない。誰か思い当たるフシはありませんか。

今年の試聴会で、最も高価なスピーカーは、このソナス・ファベール「LILIUM」だっただろうと思う。

お値段880万円也
音を聴いてみると、そのお値段に比例した実に雄大な音が出てきた。
たっぷりした低音がその広大な音場を作っているのだと思うが、困ったことにどんな音楽も大きなホールで聴いているような気分になってしまう。
ある意味不器用で一本気なスピーカーである。

一番心に残る音を奏でたのはVIVID AUDIOという南アフリカの会社が作ったG3 GIYAというスピーカーとそれを駆動したアインシュタインのアンプだった。


奇妙な形をしたスピーカーだが、鳴り出すと周囲全体の空気を震わせてスピーカーが発音しているようには聴こえない。まったくその存在を消してしまう。
不思議なスピーカーだ。

そのデモで最初にかかったレコードがこれ。

Sinatra-Basie - An Historic Musical First

Reprise Records
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とにかくこのレコードでのベイシー・オーケストラの威勢の良さには完全にやられた。
こういう素晴らしい音源に出会えるのも試聴会の楽しみのひとつだ。

いつものように、ウィルソン・オーディオのスピーカーも素晴らしかったし、マジコが今回持ってきたQ1という新作も素敵だった。マジコの持っている音の「色」が僕は本当に好きだ。

逆に言えば、たくさんのデモを聴いたが結局この、VIVID AUDIO、ウィルソン、マジコの三社のスピーカーに敵わなかった。

あるデモでは、スピーカーの逆起電圧を逃がす装置で使用前、使用後の聴き較べをやっていたが、はっきり言って元の音がそうでもないので、いくらも変わったようには聴こえない。
別のデモでは、デジタル音源の44.1khz、96khz、192khzの聴き較べをやっていたが、これもまた同じ理由で、別にどれでもいいよというくらいの違いしかなかった。
使っている楽曲も心に残らないものだった。

そしてこのようなデモをする人は、30分という時間のほとんどを使って自慢話をしゃべっていたっけ。
曰く、ブランド志向の強い日本では無名でも欧州では高い評価を得ているとか、大企業ではできない誠意ある製品作りと値付けをしているとか。
自慢話と音の心への浸透度は反比例するようだよ。

そういえば、VIVID AUDIO、ウィルソン、マジコのデモンストレータさんたちは、それぞれに実に素敵な楽曲をチョイスしていた。
音楽が好きでしょうがないって感じで仕事をしてて、その感じに強く共感した。
いつかご縁があればそういう人たちが売る製品と生活をしてみたいものだ。

また今日は特別枠でB&W社の800ラインの新製品発表会があったが、これこそまさに別格であったので、別枠でご紹介したいと思う。

5 件のコメント:

  1. 同行させてもらった
    cmbktmです
    昨日はお疲れ様でした
    David Bucklinghum
    でしたよ
    アルバムはViewのようです。

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    1. 先日はありがとうございました。とても楽しかったです。
      そうだ、バッキンガムでしたね。ありがとうございます。探してみます!
      また機会があればぜひ、ご一緒させてください。

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    2. 今度、一緒にcmbkrmさんちに聴きに行きましょう!!
      うちのSACDマルチで聴くイエスタデイ ワンスモアも、マジコよりいかったぞ(笑)
      富士通、AVアンプなんだし、マルチでデモやってほしかったなあ〜。なんか10年前が懐かしいなあ。今でも絶対うけると思うんだけどなあ・・・。

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    3. 僕はイエスタデイ・ワンスモア、家で聴いたら、確かにああいうリバーブで今まで何を聴いてたんだろう、という感じでした。
      富士通〜っ良いスピーカーなのに、デモンストレータが使いこなせてなかったですよね。マルチで聴きたかった・・

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