2013年1月8日火曜日

久しぶりに中古レコードを買いに出かけた。

久しぶりに中古レコードを買いに出かけた。いつも行くのは狸小路7丁目のフレッシュエアーというお店。クラシックは極端に少ないが、ジャズ・ハードロック・プログレ・SSW・AOR・日本の古いロックやポップスなど、バランスが良く、手頃な価格で盤質の良いものが揃っている。
自分自身が成長していく過程でいろいろな音楽の存在に気付き、そのそれぞれから少なからぬ感銘を受けてきた。それは現在の音楽がどのように成立してきたのかという歴史を追っていて発見したもので、そうして培ってきた音楽の見方が、自分で曲を作る時の大事な指針になっているし、僕にとって音楽を聴くという行為そのものが、過ぎてきた日々のすべてで今の自分なのだということを再確認する大切な時間にもなっているのだ。
だから、こういうバランスの良い品ぞろえの店が有難いのである。

さて今回のお目当ては「ジャズ」だ。ここしばらく、まだ聴き始めて日の浅いクラシック音楽を集中的に聴いてきたのだが、ジャズギターが好きなのにレコードでは全然持っていないことに気がついたので、大好きなジム・ホールと初期のウェス・モンゴメリーを仕入れようと出かけた。

入店早々ジム・ホールのダイレクト・カッティング盤(演奏をテープに録らずにそのまま原盤にカッティングしていく方法)をいきなり発見!幸先いいぞ。
続いて名盤の誉高いウェス・モンゴメリーとウィントン・ケリーのハーフ・ノート・ライブが!欲しかったんだよなあ、これ。

二枚の戦利品を手にふと横を見ると、あれ、この間はなかったマイルズ・デイヴィスの「キリマンジャロの娘」があるぞ。
ジャズ史に残る重要盤「ビッチズ・ブリュー」への重要なステップとされる盤だが、なぜかアナログの入手が難しい一枚。確かにこれだけ他の盤の4倍くらいする。うーむ。
さらにこの時期のマイルズの音楽性が変化していく様子がわかる「マイルス・イン・ザ・スカイ」「マイルス・スマイルズ」も揃っているではないか。こうなるとお目当てはギターなどと言ってはいられないのだ。もうまとめていくしかないではないかあああ。大散財ではないかああああ。

本当は、エリック・アンダーソンの未CD化作品などの掘り出し物なんかもあったのだが、今回はあきらめて、ジャズのレコード5枚をまとめてレジに持って行き、大枚はたいて家路を急ぐ。
さっそく初めて聴くダイレクト・カッティング盤であるジム・ホールの「無言歌」を湿式クリーナーで磨いてターンテーブルに載せる。

ジム・ホール、45歳の時の来日に合わせてキングレコードのスタジオで、日本の印象を元に作曲したオリジナルなどを演奏し、それをダイレクトに原盤に刻み込むという企画だったようだ。
これは生々しい音だなあ。目の前で演奏しているみたいだ。二曲目のエコーという曲は新幹線の「こだま」に乗っている時に思いついた曲だそうだ。こだま、でエコーね。そのまんまだね。
このタイトルの気軽さが、このアルバム全体を貫くトーンになっていて、いつものちょっと冷たいくらいなクレバーさよりも、むしろ程よい緊迫感漂うプレイがこのアルバムの身上か。こういうのもいいですね。
それにしてもダイレクト・カッティング、なんと曲間もカッティングマシーンを止めることは出来ず、片面分吹き込むまで演奏を止めることが出来ないんだそうな。どうりでちょっと曲間長いのね。つまりスタジオ・ライブなわけで、そりゃ納得の張り詰めたプレイなのですな。30,000枚の限定プレスだったそうなので、中古レコード店で見かけたらぜひ救出してやってください。

3 件のコメント:

  1. 70年代まで、ダイレクト・カッティングを許される企画というのはステイタスだったと思います。「臨場感」と「音質の向上」を同時に実現できるかわり、ごまかしが効かない。ゆえに「ダイレクト・カッティング」とジャケット帯に謳うことは特にジャズにおいてミュージシャンの誇りだった。ファンもそれを望んでいた。現在の音楽シーンで近いものを探すと...Ustream中継は「臨場感」はあるが「音質」はお話にならず...。BSデジタルの生放送をホームシアターで視聴するのが近いかしら。なんだか味気ないねえ。やはり「音の振動」を「ギュリギュリと刻みつける」という物理的な行為が人間を興奮させるとしか思えない。

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    1. makoto1964さん、ライブを録画する、というのとは根本的に違う「興奮」がたしかにありますね。これほどピュアな魂の「記録」は他にないかもしれない。我々は利便と引換にいろんなものを失ってきたんですねえ。ダイレクト・カッティング探してみようと思います。

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  2. 初めまして。入手した「無言歌 ジム・ホール」を検索してお邪魔しました。
    3年前、アナログに復帰してからダイレクト・カッティング盤を買い求め、今では10枚以上になりましたが、「玉石混交」で良いモノは良いし、そうでないモノはイマイチと言うところですが、総じて生々しい録音が多い傾向です。

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