試聴会に行くといつも、デモの合間に小さな音でかけている時の方がよかったな、と思う。
そんな小音量派の僕が、愛してやまない現用システムの中核がMcIntoshのC2200真空管プリアンプと、MC275真空管パワーアンプだ。
理由?
まずは、もちろんカッコイイからなんだけど、ほかにもあって、それは昨今のプリアンプがシンプルすぎて、僕のリスニングスタイルを満足させてくれる製品がこれしかないからだ。
まずトーン・コントロールが無いのは困ってしまう。
僕は文章修行を、今の生活の最重要テーマに置いているが、机を壁に向けると文章が書けなくなる特異体質のため、部屋の長手方向に中心を向いて机を設置している。
その後ろに本棚、という配置。
自然オーディオシステムはその対面に設置されるため、結果的に音は長手方向に出て行く。
で、この配置で石井伸一郎氏のお作りになったシュミレーション・ソフトでこの部屋の周波数特性を出してみると、500Hz付近に大きなディップ(谷)が出来るのがわかる。
実際に聴いてみても、その通り。
でもそれは困るのだ。
僕は高校生の時初めて組んだバンドで、ベースが入ってきた時に「曲になる」魔法の瞬間を体験した。
大学生の時組んだバンドで初めて自作曲を演った時、ベースのフレーズを変えることが一番曲のイメージを変えるポイントだと知った。
だからいつも低音の動きを聴いている。
そこの量感が豊かでないと、音楽の構造が心に届いてこない。
だからアンプのトーンコントロールは常にベースが+2にセットされている。
それと、僕はアナログレコードもよく聴くわけだけど、試聴会なんかでもみんながやってるボリュームを絞りきって、針を落として、そしてボリュームをまた上げるってのにどうも抵抗がある。
だって最初のところ間に合ってないんだもの、みんな。
で、僕はアンプのミュートスイッチをリモコンで操作して、ミュート、針下ろす、ミュートオフ、とやってる。これなら一瞬でもとのボリュームに戻るからね。
今時、そういう化石のような多機能アンプをラインナップしてくれているMcIntoshだが、最新の機器はどんな音がするんだろうと、昨年は聴かなかったマッキンのデモにも参加してみたのだ。
うん、マッキンの音はすぐわかる。
僕が音楽をドライブする上で重要だと思っている中域から低域にかけての繋がりが密接で、音楽がカタマリになって飛んでくる感じ。
これは他のブランドにはない特徴だ。
変わってないね。
変わらないのはいいことだ。
楽器だって、音楽だって、もちろん人間だって、そんなに変わってはいないんだから。
それと復活したマッキンのスピーカーの音を今回初めて聴いた。
お世辞にも現代スピーカーなんて言えない、古色蒼然とした音だ。
昔からそうなんだが、中音域のユニットをたくさん搭載するのがマッキン流だ。
今回はじめてその理由を知った。
あの沢山のユニットは、実はそれぞれ微妙に違う方向を向いていて、広い定位面を作っているのだそうだ。
ちょっと頭の位置を変えただけで音が変わってしまうなんて弱っちい定位のスピーカーはダメなんだよ、っていう思想なんだそうだ。
そうだよ。そうなんだよ。
なんかおかしいよね。
音楽聞いてるのに頭動かしちゃいけないなんてさ。
ますますマッキンが好きになったよ。
まだしばらくはお世話になるつもりだから、よろしく頼むよ。
マッキンくん。
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