2016年3月12日土曜日

日本という国の転換点を描いた「許されざる者」という傑作


クリント・イーストウッドの「許されざる者」を観て、映画を見る目が変わった。それ以降、昔観た映画を見なおす度に、えっこんな映画だっけ、と思うようになった。
そんな「許されざる者」が日本映画にリメイクされてしかも撮影場所が北海道と聞いて、DVD出たら観ようと思っていたのだが、ロードショー時あまりに評判が悪かったので、観ないままになっていた。
昨日、たまたま目についたので借りてみたのだが、ナニコレ面白いじゃん。

船戸与一の「満州国演義」も、戦争に向かっていく日本を描きながら、結局「明治維新とは何だったのか」というポイントに収束していく。乙川優三郎の「脊梁山脈」もそうだった。
日本版「許されざる者」リメイクにも、この視点が巧妙に脚本化されていて見事だ。イングリッシュ・ボブのくだりを翻案した北大路エピソードは、当時の長州と薩摩の摩擦を描いて、このような小さな、あまりにも人間的な内実が、後に軍部の暴走という大事に繋がっていく事実を読んだ後では、非常に強いリアリティを感じる。アイヌ差別の実態もフィクションならではの明快さで切り取っていて深く頷かされた。

また映像の美しさ、音楽の素晴らしさにも心を揺さぶられた。

イーストウッド版と比較することは無意味だろう。枠組みは同じでも描こうとしたものはまったく異なっている。
それはラストを観ればわかる。
日本版では、十兵衛は姿を消し、五郎(柳楽優弥)となつめ(忽那汐里)が新しい生き場所を見つける。対してイーストウッド版はマーニー(イーストウッド)の人生が意外にも成功者として続いていくのだ。
人間の心は善と悪のような二分法では語れない。ふたつながら抱え込んで、答えのないまま生きていくしかない。成功しても失敗してもそれは偶然でしかない、というイーストウッド版の人間観と、日本という国の歴史の転換点を、北海道という辺境に生きた人たちの小さいが確かな生を通して描こうという試みの違いだ。


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2016年3月10日木曜日

Van ZandtのテレキャスターにGOTOHのIn Tuneサドルセットを導入してみた

突然だが、もう30年も前、学生時代に書いた曲をあらためて録音している。
最初の最初に書いた曲がこの「Identity Crisis」という曲だった。

いやー、恥ずかしいですな。
あまりの恥ずかしさに、歌詞を30年後の自分からのメッセージに変えてしまった。

とは言え、けっこう作業は楽しくて、まあライフワークみたいな感じで今までに書いた曲を残したり、まだまだ新しい曲も書いていこうと思った次第。
で、この作業中気になったのがギターの「サドル」だった。

僕のメインギターは、Van Zandtのテレキャスターで御茶ノ水のBIG BOSSで購入したものだ。




とても気に入っているが、購入当時からサドルのイモネジが右手の腹に刺さるのが気になっていた。




ね、飛び出してるでしょ。
お店の人は、「それがテレキャスターですから」と言って笑っていたので、そういうものか、と思っていたが、気になるものは気になるし、10年近く弾いてて慣れないんだから、やっぱりなんとかしようとネットを徘徊していて、サウンドハウスというお店でこいつを見つけた。
GOTOHのIn Tuneサドルセット。
これならイモネジが手に引っかかることがなさそうだ。

たいして高価なものでもなかったので、即ポチして、今日届いたのでさっそく取り付けてみた。
Amazonでも売ってました。値段も同じでした。

GOTOH★Fenderテレキャスター用ブリッジサドルBrass
説明を追加
おお!なんかカッチョいい。
イモネジの長さも適切だし、キレイに面取りされている。
思わず手をスリスリしちゃったよ。


で、これカッチョいいだけじゃなくて、オクターブチューニングにも配慮されている。
専門的な話なので、興味がある方はググってもらえばいいと思うが、テレキャスターというギターは伝統的に弦二本分まとめてひとつのサドルに載せちゃってるので、高音部にいくほど音痴になっちゃうのね。で、このGOTOH製のサドルにはそれを補正するように特殊な「溝」を彫ってあるのだ。

弦を張って、調整する。
愛用の弦はこちらのEVERLY B-52's


ALLOYという特殊な鋼線を使っているそうだが、Van Zandtのギターには標準で張られている弦なのだ。このパッケージに惚れて、張替え時にもこれを選んで買っていたが、数年前にパッケージが変更され味気ないものになってしまったので、まとめて大量に買っておいた。しかしとうとうこれが最後の1パック。
また新しい弦を探さなくては。

現行品はこれ。

Everly / エバリー 9210 エレキギター弦 B-52 Rockers
Everly
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弦を張って、開放弦の12フレットのハーモニクスと押弦した音が揃うようにサドルを下げていく。太い弦ほど大きく下げる必要がある。

何度か弦を緩めてはサドルを下げて、弦高とともに調整した。
いずれにしても完全には合わないので、耳でいいと判断したところまででいいのだ。

これで快適な録音ができそうだ。

2016年1月18日月曜日

【ライブレポート】佐野元春&THE COYOTE GRAND ROCKESTRA 2016/1/17 札幌市教育文化会館

佐野元春が2015年にリリースした「Blood Moon」が本当に素晴らしかったので、久しぶりにライブに出かけてみようという気になっていた。

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首尾よくチケットも入手できて、当日会場に行ってみると、前回入りが悪くてテレビ局の友人から招待券をもらって行ったコヨーテ・ツアーの時とは打って変わっての盛況。
満席に近い入りだった。
聴衆は正直だ。
やはり作品の出来が動員に大きく影響する。


前回は不意打ちの「グッドタイムス・バッドタイムス」でのオープニングで会場にいたすべてのオールドファンを泣かせたが、今回もやられた。
一曲目は「シュガータイム」

何かが間違ってるんだぜ、いつの頃からか
という印象的なブリッジが、この歌が書かれた80年代とは違う意味を持って立ち現れる。
そしてその変化が、僕らがここまでいろんなものに晒されて生きてきたんだ、ということを否応なく意識させて、やっぱりすっかり弱くなった涙腺が少し緩む。

そして歌は二曲目の「優しい闇」に進んでいく。


沖縄の基地問題に触れ、それを「柔らかいファシズムの元に生きる恋人たちの唄」(佐野元春Facebookより)に昇華したものだという。
デビュー以来一貫して、都会というしがらみに絡めとられながらも闊達に生きる恋人たちを描いてきた姿勢が、30年の時を超えたふたつの歌のメッセージを結び合わせる。
35周年の記念ツアーに相応しいセットリストの開幕だ。

中盤、最新アルバム「Blood Moon」からの曲を挟んで、35周年にあたっての言葉があった。
「みんなも35年の時を超えて、サバイブしてここにいる」と。
聴衆のそれぞれが、本当にいろんなことのあった自分の半生を振り返った瞬間だった。
そして「ジャスミンガール」

それはヤバイでしょ。
泣いちゃうでしょ。
と溢れてくる涙を拭っていると、隣から嗚咽の声が・・
けっこうみんな泣いてたと思う。

曲が終わると元春から「みんな、しんみりしちゃってるんじゃないの」と声がかかり、怒涛の80年代名曲シリーズへ。
かなりシンガロングしちゃったけど、他のコンサートのように気にならない。
だって凄いんだよ。客席のノリが。
久しぶりに手拍子が大きすぎてステージモニタが利かなくなっているのを見た。

ずい分昔、甲斐バンドの武道館の時、やっぱり手拍子が凄すぎてモニターが聞こえなくなって、甲斐さんが「みんな、ごめん、もう少し静かにしてくれる?」って言った時以来かな。


バンドのリズムというものは、誰かが主導権を持っている。
リズムだからといってドラマーが持っているとは限らない。
山下達郎さんのステージなら、達郎さんのギター(もし弾いていなくても)が。
ミスチルなら底抜けに明るくてパワフルなジェンのドラムが。
スピッツならシンプルなメロディの隙間をうねるように駆け抜けるアキヒロさんのベースが。

そして佐野元春のライブでは、明らかに「オーディエンス」がそのイニシアチブを持っている。
もちろんステージサイドでの音楽的リーダーシップというものはある。
佐野元春バンドでは代々、ギタリストがその役割を担って、オーケストラのコンマスのようにバンドをリードしてきた。
伊藤銀次さん、横内タケ、長田進、佐橋佳幸。
そして今回の深沼元昭も本当に素晴らしい演奏でバンドを引っ張っていた。(長田さんは札幌には来てくれませんでした)
ことにゴールドトップのレスポールを構えた時のあの無敵感はなんなんだろう。ホント聞き惚れるほどのいい音が出てた。

それでもホールを埋め尽くしたオーディエンスの熱量には敵わない。
僕の近くの席で周囲をリードしていたベテラン・ファンはもう手拍子のプロと言ってもいいだろう。
打ち姿の楽しそうな感じにほだされて、みんなその人に付いていってた。
たぶん随所にそういうベテランがいて、会場全体をアツくしていたんだろう。
みんなでこのステージの「演奏」を作っているという実感がとにかく楽しい。
来てよかった、と心の底から思えるコンサートでした。

2015年12月2日水曜日

P.F.スローンを歌ってよ

11月30日の北海道新聞夕刊に載った天辰保文さんのコラムで、11月15日にP.F.スローンが亡くなったと知った。
70歳だったと聞いて意外に若い人だったんだと驚いた。
伝説の音楽家だと思っていたから。

普通に暮らしていてニュースが流れてくるほどの知名度じゃない。
ほとんど無名と言ってもいい音楽家だが、この曲はみんな知ってるんじゃないか。
バリー・マクガイアの「明日なき世界」
この曲の作者がP.F.スローンだ。


多くの人がカバーしている名曲だが、清志郎先生と佐野元春のライブを貼っておいた。



高石ともやの訳詞だが、高石ともや版のクレジットには作曲バリー・マクガイアとある。
実は、これには訳がある。

ソングライターとしてヒット曲を量産しながらも、自身で歌いたいという夢を追いかけることにしたスローンを、ドル箱を失いたくない出版社は強く引き止める。
仕方なく、これまでの曲の著作権をすべて会社に譲渡するという契約で、押して歌手デビューを果たした、という経緯だ。

僕がP.F.スローンを知ったのは、友だちに勧められて聴いたRumerという女性シンガーが男性曲ばかりをカバーしたアルバムで、その一曲目がジミー・ウェッブの歌った「P.F.スローン」という曲だった。


ジミー・ウェッブは、著作権を放棄してまで歌手デビューしながら、直後大病をして大きなヒットを残せなかった彼への想いを「それはP.F.スローンの歌だから、誰も歌っちゃいけないよ」という歌詞に認(したた)めたのだ。
また、この歌には「誰もP.F.スローンのことを知らない」とも歌われている。
多くのヒット曲を書いたのに、著作権を失ったことを言っているのだろう。

でも多くの人がP.F.スローンの歌を歌って、その記憶が僕らのなかに残っている。
それはいいことだと思う。
清志郎の歌うこの曲を僕は、こんなきな臭い時代の匂いの中でいつも忘れずにいようと思うのだ。

2015年11月29日日曜日

EvergreenとForeverのあわい〜My Little Lover「re:evergreen」によせて

予約して楽しみに待っていたCDが届いた。
My Little Loverのre:evergreen

re:evergreen
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My Little Lover
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90年代、狂ったようにカラオケボックスに行っていた。
バブルの最中も、ハジけたあとも仕事は山のようにあって、深夜まで仕事をしてハイになったまま酒を呑んで歌った。
僕のアシスタントをしてくれていた人が歌う「白いカイト」が大好きだったから、せがんでよく歌ってもらった。
だから、今でも疲れた時には「白いカイト」が収録されているMy Little Loverのデビュー盤であるevergreenを聴いて、若さに任せて走り続けることのできたあの頃に想いを馳せていた。

20年を経てevergreenへの返信をするという記念盤のコンセプトを聞いては、これを入手しないという選択肢はすでにない。
evergreenをリプロデュースして併録するというのだからなおさらだ。

Re:と見て思い出すのは、2006年に出た寺尾聴さんのRe-Cool Reflectionsだ。
大ヒットアルバム「Reflections」を当時と同じメンバーでレコーディングし直した作品だが、これがもう痺れかえるくらいカッコよかったので、今回の企画にも大きな期待をしていたのだった。

Re-Cool Reflections
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寺尾聰
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届いた新作re:evergreenを聴いてみて、予想以上の素晴らしさに驚いた。
まさに20年前の彼ら自身へのakkoからの返信がそこにあった。
本当にいい作品を作ったよね、今の自分もあの頃と変わっていないよ、という強い想いが楽曲の端々に滲んでいた。

併録されたevergreenのリプロデュース盤は、当時のakkoの歌はそのままにバックトラックに手を加えたもので、リアレンジではなく、リプロデュースなのである。
使用する楽器を変更したり、ミックスを変えたりして20年前のakkoの歌唱を現代の音楽として甦らせるというコンセプトなんだな。
だってevergreen=変わらないもの、なんだよ。
「変わらないものは、なにも変えられない」と佐野元春も言っている。

こうして聴いていると、ああ本当にevergreenな音楽を作ったんだなと思う。
存在そのものが永遠性を持つForeverではなく、時代の中で息づいていくevergreen。
またひとつ大切なことを音楽から教わった。

岡本喜八「ブルークリスマス」と庵野秀明「エヴァンゲリオン」、あるいは竹下景子の異次元の清純さについて

旧い友人たちと、思い出のある居酒屋で旧交を温めていた。
懐かしい話に花が咲く中、そういえば昔はみんなタバコ吸ってたよなあ、という話になった。喫煙者と非喫煙者の割合は完全に逆転していた。

映画が好きなその先輩は、昔の映画に喫煙シーンが多いことを説明しようとひとつの映画のタイトルを挙げた。
それが「ブルークリスマス」
喫煙シーンのことを例示したくて挙げたのに、内容の説明が面白すぎて本題を忘れてずっとその映画の見所を語っていた。
ストーリーももちろん面白そうだったが、主演女優が竹下景子さんであることが僕の心に刺さった。
エラリー・クイーン「災厄の街」の映画化「配達されない三通の手紙」に出演していた若き日の竹下景子さんの可愛らしさに心奪われていたからだ。
「配達されない三通の手紙」の竹下景子

僕がそう言うと、「絶対ブルークリスマスの竹下景子のほうが可愛い」と断言された。
これは観るしかないでしょう。

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ところがことはそう簡単ではなかった。近所のレンタル店には在庫がなく、頼りのディスカスでは豊富な在庫があるのになかなか単品リストに入らない。古い映画なのに人気があるのだと知って、先輩が名作と強調していたのがよくわかった。

で、やっと来ました。
再生を始めると、タイトル画面にサブタイトルが記されていた。
BLOOD TYPE:BLUE
ピンときた人も多いだろう。

エヴァンゲリオンで、使徒が現れた時「パターン青。使徒です!」と言う時、ディスプレイに表示されている文言である。
庵野秀明は、ブルークリスマスを撮った岡本喜八監督からの影響を常々公言している。
戦争を経験した表現者(戦中派)は、しばしば戦時中同じ人間であるはずの敵国の人々を鬼畜と呼んでまるで別の生き物であるかのように考えていたのが、戦後突然錯覚であったことに気付く不思議をテーマにしている。
「敵」と「味方」をわかつ根拠が、人間自身の心の弱さにあるというテーマは、エヴァンゲリオンとこのブルークリスマスに共通する主題であるといえるだろう。

ブルークリスマスは、UFOから照射された光線でヘモグロビンの中の鉄が銅に変化してしまい、ヘモシアニンになった血が青くなることで迫害を受ける人々の物語である。

ヒトとシト、赤い血と青い血は、それぞれの物語で最後に溶け合う。

その意味するところは、たぶんここで言葉にすべきでないものだろう。観るものの心に生まれる感慨そのものを大切に抱いていくしかない。
これはきっとそういう映画だ。

そんなことより竹下景子だ。

可愛いですね。これこそが清純派でしょう。清純さのレヴェルが現代とは異次元にある。
そしてこの可愛らしさを演出するのに岡本喜八監督が使ったこのシーン。





背の低い竹下景子が、勤めている理髪店のシャッターを閉めようとジャンプ一閃。
見事に閉めてクルッと振り返るとか。天才や、岡本喜八。
監督も素晴らしい演出と思ったかラスト近くでもう一回飛びます。
いいなあ。
死してなお美しい。
クイズダービーの三択の女王の姿しか知らなかった竹下景子さんの映画作品。
まだまだ開拓していきたいです。

映画内では、ビートルズをモデルにしたと思われるザ・ヒューマノイドというバンドが歌う「ブルークリスマス」という曲が頻繁に流れるが、この歌を実際に歌っているのがなんとCHARさんです。
やっぱりタバコくわえてますw


映画で使われているのがこちら。

日本語バージョンもありました。
発売されたシングルはこちらがA面で、英語版がB面に収録されていたそうです。
なぜか、日本語バージョンのほうがテンポが速い。なぜなんだろう。




2015年11月24日火曜日

David Buckinghamのアルバムはイギリスから超特急で届いた。

先日オーディオショウで、アクシスという輸入代理店のデモでかかっていたフラメンコギタリストのCDが誰のものかわからないと書いたら、一緒にデモを聴いていた方にコメントいただいてデヴィッド・バッキンガムだったとわかりました。

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David Buckingham
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で、さっそくAmazonを探すと、マーケットプレイスによくある海外発送の業者さんが中古盤を持っていまして、なんと138円。さっそく発注かけました。納期まで3週間ほどお待ちくださいとのこと。はるばるイギリスから来るそうですから仕方ないでしょう。

11月16日に注文して、12月4日が納期の目処と連絡が来たのですが、なんと今日11月24日にもう到着してしまいました。
やるじゃん、イギリス。仕事早いね。


ROYAL MAILというメール便サービスで到着。保護材入りのソフトパックでした。
が、
中にもう一つCD専用のパックが入って二重になっていました。海外発送用の対処ということでしょう。


 デジパックですね。中古としては綺麗な方でしょう。盤面には小さなキズがひとつありましたが、再生にはいまのところ不具合はありません。

これが裏ジャケ。はじめてお顔を見ましたよ。
デモでかかったのは5曲めのWonderful Tonight(Eric Clapton)だったかしら。
スティーヴィー・ワンダーのカバーも入っていて、フラメンコ・ギターのテクニックでポップなメロディを弾くという趣向のアルバムのようです。

全体を通して聴くと、随所でさりげなく難しいことやってて、カッコいいです。
録音も良く、目の前でギターを奏でている感じ。
手の動きが見えるようです。

しかし、いくつかの曲でギターのボディをパーカッシブに叩く奏法を多用していて、録音がリアルな分だけ少し耳に痛い。装置との相性もあるのでしょうが、僕にはちょっとここだけトゥー・マッチでした。

フラメンコギターのアルバムを買ったのは初めてでしたが、ボサノヴァとはまったく違うワールドミュージック感が楽しい。
いいですね。


2015年11月21日土曜日

露崎春女&鳥山雄司ライブを観てきたよ!

いつものようにラジオを聴きながら娘と朝食を食べていた。
番組はいつものTuck's Morning Radio。
タックさんの選曲がいつもツボで、よく聴いている。
もし叶うなら、あの変なラジオショッピングのコーナーが無ければなあ、とは思うけど、まあ貴重な広告収入源なんだろう。

時々、来札したアーティストがゲストに出てくるが、その日はなんと露崎春女さんがゲストに出てきた!
おお!と思わず声が出たが、なんとその日札幌で鳥山雄司(!)さんと一緒にライブをやるという。


その場で二人でホール&オーツのプライベート・アイズを演奏してくれた。
相も変わらずソウルフルな歌声で、朝なんで爽やかにやりま~す、と言いながら最初の一声で場を「夜」な感じにしてしまう。
いいなあ、聴きにいっちゃおうかなー、と思っていたら、なんと二名様をご招待というではないか!

さっそくメッセージをしたためる。
タワレコの岡村靖幸トリビュートカバー集で、最も印象的なLion Heartを歌っていたのがリリコ名義の露崎さんで、その曲は今に至るも僕のプレイリストから外れたことがない。
それから初期のアルバムを入手して聴いていたが、後に来る女性R&Bシンガー・ブームのまさに先駆けだったと思う。
そんな露崎さんの思い出を書き連ねて送信した。

番組の最後に当選者を発表します、と言っていたので息を詰めて聴いていたら、思いが届いたか当選してしまった。

そして夜、露崎春女&鳥山雄司ライブ観てきました!

最初に最後の話で恐縮ですが、僕はあんなに切実なアンコールを求める拍手を聴いたことはきっとなかったと思うんだ。
素晴らしい歌だった。

ラジオでは曲芸的な部分を楽しんで欲しいと言っていたが、なんのことはない、ルーパーを使った即興演奏のことで、確かに面白かったが、最近は使っている人も多いし、何より最近秦基博くんが札幌でやってくれた一人ルーパーは本当に素晴らしかったので、そこにはあまり音楽的感興はなかった。

むしろ素直にカバーされた前半ラストのマイケル・ジャクソンに、本当に感心した。
マイケル・ジャクソンの曲を、マイケル以外の人が歌うのはとても難しい。
どうやっても物真似になってしまうから。
「今なら自分なりのマイケル・ジャクソンが歌えるかもしれない」という露崎さんの言葉通りの名唱であった。

さらに圧巻だったのはラストにやった、不朽のジャズ・スタンダード「チュニジアの夜」
この曲に歌詞がついているのは知らなかった。
チャカ・カーンのカバーだそうだ。



僕はこの曲が嫌いでアート・ブレイキー聴く時は必ずこれを飛ばすんだけど、露崎さんの歌は本当に素晴らしかった。
これを聴かされたら、誰だってもっと聴きたいと思うだろう。
そして冒頭に申し上げた「切実な」アンコールの拍手が間髪おかずに続いたのだ。


その拍手に応えてアンコールに出てきた二人はなんと、こんどはチック・コリアの「スペイン」をやったんだ。
スペインにも歌詞があるのか!と驚いたが、こちらはアル・ジャロウが作詞してます。
さもありなん、という感じですな。



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鳥山さんはアランフェスのメロディをイントロ替わりにスペインをスタートさせた。
そして露崎さんは、あの断裂したリズムを激しくアップダウンするメロディに歌詞を乗せて歌う、歌う、歌う。
でも張り上げないんだな。

音楽的に登りつめても、技術的に処理されてるんですよ。
だから彼女の一番いい声がいつも響いてる。
そして僕はその声が、本当に好きだったんだって思い出した。今度こそ。

聞くと毎年札幌に来てたっていうじゃない。
まいったなあ。
本当に今日のことを教えてくれたタックさんのラジオに感謝だなあ。
これからも毎日聴くよ。

2015年11月17日火曜日

北海道オーディオショウ・リポート ~ B&W新製品特別試聴会編

今回各出展者に与えられたデモ時間は30分だった。
その中で、B&Wの新製品発表には60分の持ち時間を与えられている。
マランツの持ち時間をふたつ分繋いでのスペシャルイベントという格好だ。

まあこの特別扱いも仕方ないだろうと思わせる貫禄が、このB&W800シリーズにはあると思う。
世界中のスタジオで長く愛用されているモニタースピーカーで、個性的でもないし、饒舌なところもないが、非常に、というよりは異常に完成度が高い。いわば完璧なスピーカー。

バージョンアップする必要なんてあるんだろうかとも思う。
聴き比べて音が違っていたとしてもどちらもいい音だとしか感じないだろう。

というわけで、簡単に視聴結果を。
今回は803と802のデモだった。
新しい803と802は、前バージョンとは異なり、単純なサイズ違いになっている。
最初に小さい方の803を聴いた。


直前に聴いていたのがソナス・ファベールの880万円もするLILIUMという機種。
豊かすぎるほど豊かな低音で、実に見事な聴き応えのある音なのだが、少し音像の大きさでリアリティを損なう嫌いがあった。

だから、というわけでもないだろうが、803が奏でる音像はパーフェクトな大きさで、細部の隅々まで繊細に表現し尽くしている、と感じた。
200名は入りそうな大きな宴会場で鳴らしてまるで不足がない。
音色も充分艶やかで魅力的に思えた。

システムを大型の802に繋ぎ直した。
基本的に同じ音だが高音部にきらめきが付加され、若干低音に膨らみが出た感じ。
デモンストレータは、このシステムは6畳から12畳の部屋では狭すぎてうまく鳴りませんと言っていた。

ということはだ。
803は狭い部屋でも広い部屋でも鳴る。
802は音に若干量感が出るが、狭い部屋では鳴らない、ということになる。
803買いでしょ、ということだ。

ちょっと変わった外観に見えるがプロポーションには無理がなく、細部のデザインに手抜きはない。
質感も高く、部屋に置くのに、これほどいろいろ考えずに済むスピーカーもないだろう。

ちょっと褒め過ぎな気がするが、欠点が見当たらないので仕方がない。
強いて言えば、一目惚れで視聴なしで買いたいと思うスピーカーではない、というところか。

長く愛用するオーディオ機器には、最初に出た一発の音でノックアウトしたり、また設計者のコンセプトをひと目で伝えるデザインを纏っていたりするものだが、B&W800シリーズはそういうスピーカーではないと思う。

2015年11月16日月曜日

2015年CAVIN大阪屋ハイエンド試聴会、改め、北海道オーディオショウ詳細レビュー[ヤマハ・デノン編]

今回のお目当てのひとつはデノンの11シリーズのリニューアルだった。
僕は2003年くらいにPMA-2000IVを聴いて、その粘りのある独特の中低音に魅せられて以来のデノンファンなのである。

デモの開始まで時間があったので同じ部屋で開催されていたヤマハのデモを見ていた。
銘器1000モニにそっくりな新製品が出たのは知っていたが音を聴いたのははじめてだった。
その名もNS-5000
来年夏の発売だそうだ。

綺麗な音。
このところピュア・オーディオに力を入れて立派な製品を市場に送り出しているヤマハの新しいアンプも、とても繊細で輪郭のはっきりした音だった。
しかし、昔のように一聴すぐヤマハとわかる「味」は消えていた。
僕個人の好みとは遠い「味」だったが、喪ってしまえば、現代ハイエンドの方向にみんなで向かっていく感じが少し寂しくもある。

それにしても全曲クラシックできたのは意外だった。
経験上ヤマハユーザーは、ポップスからロック寄りで、せめてジャズまで。
低音を出すのが難しい1000モニは、引き締まったビートを演出するのに向くが、空間的に広がる低音を必要とするクラシックには不向きだろうと思っていたからだ。
新しいヤマハハイファイモデルはクラシック方面を視野に入れているということなのだろうか。


さてお待ちかねのデノンのデモだ。
まずは筐体を眺める。

 
デザインは冴えないと評されることが多いが僕は好きだ。
筐体が鳴かないように、アルミ削り出しで作ればそれでいいが、値段の半分が筐体代ということになる。
知恵で鳴かないようにしているのがデノンアンプ。
もしお店で見かけたら、人差し指でコツンと天板を叩いて見て欲しい。
音が吸収されているのが感じられるはずだ。
そのような実直さがこのデザインには象徴されている。

スピーカーは予想通りデンマークのダリとの組み合わせだった。
まだ発売前のシリーズを持ってきたということだったが、エイジングが十分でないのか鳴りが悪い。

音色はデノンらしい粘りは後退し、どちらかというとマランツ寄りの鮮明なサウンド。
以前は音がカタマリで出てくる感じだったのが、音数を増やして空間を表現するタイプに変わったようだ。

ここでも現代ハイエンドの方向にみんなで向かっていく傾向を感じ、そういえば昔から日本企業ってみんなで同じ方向に行くもんだったよな、と思い当たった。

しかしこれは逆じゃないだろうか。
せっかくデノンとマランツは同じD&Mホールディングスの傘下に入った兄弟企業になったのだから、そのシナジーを追求すべきだ。
二つの異なる音色傾向を持つサウンドシステムが、D&Mの目指すべきものだろう。
アメリカハイエンドにその出自を持つマランツと、日本の放送・録音業界にその出自を持つデノンでは自ずと方向性が違うはずで、そのわかりやすさで両極のユーザーを独占するのが最適な戦略ではないか。

そしてスピーカーの販売戦略も逆を行っているように思える。
もともと両社ともにスピーカーメーカーではない。
そしてライバル社だったわけだから、それぞれ別の欧州スピーカーメーカーと組んでブランドイメージの向上に務めてきたということだ。

しかし今は同じ傘下企業。
そしてマランツが持っているB&Wは、おそろしく万能で能力の高いスピーカーで、こう言っては失礼だがちょっとDALIとは格が違う。
ここはB&W共有の一手と思う。

まあ余計なお世話だ。
実のところ、B&Wと組み合わせて聴いてみたかっただけなのだから。

2015年CAVIN大阪屋ハイエンド試聴会、改め、北海道オーディオショウ詳細レビュー[スペック編]

というわけで、前記事で印象に残ったことを書いたのですが少し詳細に振り返ってみようと思います。

まず最初に見たのが国内メーカーの「スペック」
木材を使った仕上げの良い筐体を持つアンプに注目していたのと、最近発表された弩級といっていいアナログ・プレーヤーを聴いてみたくて朝一番からブースを訪問しました。




しきりに「アンプメーカーではなく、いい音を作る会社なんだ」と力説していて、どんなスピーカーを組み合わせてもいい音が出るということはない筈なので、納得のいくスピーカーと組み合わせて今日はデモをするという。

もとパイオニアでエクスクルーシブを作っていたという技術者が立ち上げたメーカーで、そういう意味ではセルフブランドでワンストップ展開を目指すのが自然だというのは納得がいく。
しかし、まだラインナップにスピーカーがなく、フィンランドのアンフィオンというブランドのものを使っていた。


この組み合わせでドイツのオーディオショウに出て、No.1ブースとして表彰されたというが、それほどの音ではないように感じた。

いろいろ不利な条件があったと思う。
初参加のスペック社には狭い部屋が割り当てられ、十分なエアボリュームが得られず、当然音量が不足する。 残念ながらノラ・ジョーンズの耳タコのデビュー曲とリンダ・ロンシュタットの「星に願いを」は、この録音が持っているアコースティカルな質感を十分には伝えてはくれなかった。

それと、デモンストレーターの「日本人はブランドに弱くて、本当の音の良さを聴き分ける耳がないので、最近は海外で勝負している」と言われて、その人が奏でる音楽を聴く気になるだろうか。
音楽を聴く心は、思うより繊細なものだ。

しかし公平に見て、実に「素直」な音であったことは今回の参加企業随一であった。
操作を見ていたがボリュームの出来がよく、かなり繊細なコントロールが効きそうなところも好印象。
アナログプレーヤーの音も相当に良さそうだった。
残念ながら盤の手入れがわるくジリパチ音に塗れた演奏で、「低ノイズ設計」と言われてもなかなか頷けないところがある。

音楽に愛情のあるデモンストレーターの手で、同じ素直さでもその先の浸透力を持つB&Wあたりのスピーカーと組み合わせてぜひ聴いてみたい。

【Anthologies #1】心に澱が積もる夜には|大貫妙子『ライブラリー』

 還暦を過ぎ、いつの間にか貪欲に新しい音楽を探すことはなくなった。 それでも、日々を生きていれば音楽に頼りたくなることはあるものだ。そんなとき聴きたくなるのは、アーティストたちの人生が垣間見える<アンソロジー>で、いくつか愛聴盤がある。 誰かの心無い言葉や、諍いに心に澱が募るよう...