朝、仕事で使っている真空管アンプ「COPLAND CTA401」が壊れた。
ジョー・パスのヴァーチュオーゾをかけていたら、バリバリバリと異音がして、すうっと音が消えてしまった。
直感的に過電流がどこかに流れたなと感じた。
急遽、デノンのPMA-1500RIIをピンチヒッターに送った。
購入して13年、一度も不調になったことのない孝行息子だ。
仕事が終わってCOPLANDを開けてみる。
異常発生時焦げ臭い匂いがしたので、焦げているところを探す、と出力管EL34のすぐ下に配置された抵抗のひとつが焦げていた。
おそらくこれが原因だろう。この抵抗に接続されていると思われる真空管の蒸着部が剥げている。
素人が判定できるのはここまで。
いつも修理をお願いしている方に今連絡をとっているところ。あとはプロに診ていただこう。
2015年9月29日火曜日
尖閣諸島は誰のものか、そして沖縄基地問題の根源はどこにあるのか~小説 琉球処分
だんだん世界が抜き差しならない状況に向かっているように感じる。
対症療法的な政治は、交渉相手の選択肢を奪い、結局どうしようもなくなって拳を振り上げさせるのではないか、という疑いが頭を離れない。
隣国の「挑発」に苛立って講じた「嫌がらせ」を「抑止力」と呼ぶ理屈は、はたして正鵠を射ているだろうか、などと考え始めればかえって、言葉を弄ぶことの虚しさばかりが募る。
未来、自分の子どもにどうしてこうなったの、と訊かれた時、何が答えられるだろうと考えたら、いてもたってもいられなくて、ここ数日目についた本を読み漁っていた。
その中に出てきた「琉球処分」という言葉がどうも気になって調べているうち、この本を見つけた。
芥川賞作家の大城立裕が、若い時に新聞に連載して途中で打ち切りになっていた作品だそうだ。
芥川賞を受賞した際、後半を書き足して出版された。
さほど売れず絶版となっていたが、菅直人首相が就任後の会見で、この本を読んで沖縄の歴史を理解しようとしている、と述べたことで中古市場が沸騰し、講談社が文庫化した、ということらしい。 読んでみると、そんな経緯は嘘じゃないのかと思えるほど面白い。
琉球処分を通じて、明治維新の実際を感じたような気がした。
そして教科書や新書などで知る明治維新と、それはずいぶん違う顔をしている。
やはり歴史は「人」が作っているのであって、どのような心持ち同士がぶつかり合ってそうなったのかを知ることは容易ではない、ということなのだろう。
政治的な立場の違いで起こる論争の中でよく聞かれる「もっと歴史を勉強しろよ」という言葉のなんと虚しいことか。
それが知り得ないものであるという謙虚さから先に進み、やがてお互いの意見を呑み込むことしかきっとできない。
読み終えた今は、そう思う。
この本を読むまで、沖縄の基地問題とは太平洋戦争の結果として生まれたものだと思い込んでいた。
書かれてあるとおり、明治政府の外交政策の犠牲となったことにそのルーツが求められるとすると、この問題の根源が足元にあったわけで実に根深い。
尖閣諸島も琉球王国に属するものだ。
明治以前、島津藩には相次ぐ増税に苦しめられ、柵封を続けていた明には貢物に倍する手土産を持たされて厚遇されてきた琉球の人たちが、それでも自分たちのルーツは日本にあるとの自覚を捨てずに生きてきた苦しみが、この問題を複雑にしている。
なにか慄然とする思いだ。
そして同じ過ちは今も繰り返されている。
松田処分官が遺した公文書としての「琉球処分」を作家大城が読み解いたことで、この本が書かれたあとの出来事の本質までも見通している。
これが小説というものの重要な役割だと思う。
せめて現代に生きる我々は、「文系大学処分」だけは阻止せねばなるまい。
対症療法的な政治は、交渉相手の選択肢を奪い、結局どうしようもなくなって拳を振り上げさせるのではないか、という疑いが頭を離れない。
隣国の「挑発」に苛立って講じた「嫌がらせ」を「抑止力」と呼ぶ理屈は、はたして正鵠を射ているだろうか、などと考え始めればかえって、言葉を弄ぶことの虚しさばかりが募る。
未来、自分の子どもにどうしてこうなったの、と訊かれた時、何が答えられるだろうと考えたら、いてもたってもいられなくて、ここ数日目についた本を読み漁っていた。
その中に出てきた「琉球処分」という言葉がどうも気になって調べているうち、この本を見つけた。
大城 立裕
講談社 (2010-08-12)
売り上げランキング: 31,985
講談社 (2010-08-12)
売り上げランキング: 31,985
大城 立裕
講談社 (2010-08-12)
売り上げランキング: 37,458
講談社 (2010-08-12)
売り上げランキング: 37,458
芥川賞作家の大城立裕が、若い時に新聞に連載して途中で打ち切りになっていた作品だそうだ。
芥川賞を受賞した際、後半を書き足して出版された。
さほど売れず絶版となっていたが、菅直人首相が就任後の会見で、この本を読んで沖縄の歴史を理解しようとしている、と述べたことで中古市場が沸騰し、講談社が文庫化した、ということらしい。 読んでみると、そんな経緯は嘘じゃないのかと思えるほど面白い。
琉球処分を通じて、明治維新の実際を感じたような気がした。
そして教科書や新書などで知る明治維新と、それはずいぶん違う顔をしている。
やはり歴史は「人」が作っているのであって、どのような心持ち同士がぶつかり合ってそうなったのかを知ることは容易ではない、ということなのだろう。
政治的な立場の違いで起こる論争の中でよく聞かれる「もっと歴史を勉強しろよ」という言葉のなんと虚しいことか。
それが知り得ないものであるという謙虚さから先に進み、やがてお互いの意見を呑み込むことしかきっとできない。
読み終えた今は、そう思う。
この本を読むまで、沖縄の基地問題とは太平洋戦争の結果として生まれたものだと思い込んでいた。
書かれてあるとおり、明治政府の外交政策の犠牲となったことにそのルーツが求められるとすると、この問題の根源が足元にあったわけで実に根深い。
尖閣諸島も琉球王国に属するものだ。
明治以前、島津藩には相次ぐ増税に苦しめられ、柵封を続けていた明には貢物に倍する手土産を持たされて厚遇されてきた琉球の人たちが、それでも自分たちのルーツは日本にあるとの自覚を捨てずに生きてきた苦しみが、この問題を複雑にしている。
なにか慄然とする思いだ。
そして同じ過ちは今も繰り返されている。
松田処分官が遺した公文書としての「琉球処分」を作家大城が読み解いたことで、この本が書かれたあとの出来事の本質までも見通している。
これが小説というものの重要な役割だと思う。
せめて現代に生きる我々は、「文系大学処分」だけは阻止せねばなるまい。
2015年9月20日日曜日
マデリン・ペルーとウォーレン・ジヴォンとリンダ・ロンシュタットと
土曜の朝、NHK-FMでピーター・バラカンのラジオを聴いていた。
来日中のマデリン・ペルーのライブにバラカン氏自身も行かれたようで、関係するリクエストに応えていた。
アナログレコードに高音質盤を持つディスコグラフィーに惹かれて、僕も二枚ほど聴いたことがある女性シンガーだ。
ラジオではウォーレン・ジヴォンのカバー曲が流れて、とてもいい曲だと感じたがベスト盤にだけ収録されているものだそうで、さっそく取り寄せてみようとブラウザを起動し、ついでにウォーレン・ジヴォンについても調べてみた。
マデリン・ペルーもウォーレン・ジヴォンも国内のディストリビューターでは正規の扱いはなく、CD大国が聞いて呆れる。
対訳付きで聴いてみたかったがしかたがない。
ウォーレン・ジヴォンについては、時々ラジオでかかる「ロンドンの狼男」くらいしか知らなかった。迷った時は一枚目から聴くに限るが、このファースト聴いたことがある曲があるなと思ったら、手持ちのリンダ・ロンシュタットのアルバム「Living In The USA」に入っているMohammed's Radioだった。
いい曲なんだよね。この曲を書いた人だったのか。
イスラムの預言者ムハマンドのラジオとはまた意味深なタイトル。
自分の英語力や歴史の知識ではこの歌詞の真意が掴めているとは思えず歯がゆい。
また、こういうバックボーンを持った曲を魔性の女的なイメージのリンダ・ロンシュタットが歌っているというところに、ポップという文化の本当の奥深さを感じる。
最近新聞のコラムで知ったビル・フェイというアーティストのPictures of Adolf Againも何か大切なことを歌っているような気がするのだが、字面だけを追いかけるのが精一杯。
そういえば、クリームの「カラフル・クリーム」の原題はDisraeli Gearsと言うが、このDisraeliとは、19世紀のイギリスの首相ベンジャミン・ディズレーリのことで、ローディーの言いまつがいを面白がって名付けたとされる。
しかし、このディズレーリという保守党の政治家は、スエズ運河の株式を買収しエジプトの植民地化への足がかりを作ったあと、インド帝国の成立に関与した人で、南アフリカ戦争を仕掛け、南部アフリカを植民地化したりした。
大英帝国の繁栄の礎を作ったとも言えるが、その後の世界戦争の最初の小さな火種を作った人とも言えるだろう。
この人の名前を、(自転車の)変速機=ディレイラー・ギアとの言い間違いに使ってマラプロピズム的効果を生み出そうとしているわけだから、当然ディズレーリの経歴に対して何かの感情を持っているだろう。
さらりとした時代へのアイロニー。
ポップソングの重要な役割だと思う。
来日中のマデリン・ペルーのライブにバラカン氏自身も行かれたようで、関係するリクエストに応えていた。
アナログレコードに高音質盤を持つディスコグラフィーに惹かれて、僕も二枚ほど聴いたことがある女性シンガーだ。
ラジオではウォーレン・ジヴォンのカバー曲が流れて、とてもいい曲だと感じたがベスト盤にだけ収録されているものだそうで、さっそく取り寄せてみようとブラウザを起動し、ついでにウォーレン・ジヴォンについても調べてみた。
マデリン・ペルーもウォーレン・ジヴォンも国内のディストリビューターでは正規の扱いはなく、CD大国が聞いて呆れる。
対訳付きで聴いてみたかったがしかたがない。
Madeleine Peyroux
Imports (2014-10-14)
売り上げランキング: 3,225
Imports (2014-10-14)
売り上げランキング: 3,225
Warren Zevon
Elektra / Wea (1992-05-14)
売り上げランキング: 34,973
Elektra / Wea (1992-05-14)
売り上げランキング: 34,973
ウォーレン・ジヴォンについては、時々ラジオでかかる「ロンドンの狼男」くらいしか知らなかった。迷った時は一枚目から聴くに限るが、このファースト聴いたことがある曲があるなと思ったら、手持ちのリンダ・ロンシュタットのアルバム「Living In The USA」に入っているMohammed's Radioだった。
いい曲なんだよね。この曲を書いた人だったのか。
イスラムの預言者ムハマンドのラジオとはまた意味深なタイトル。
自分の英語力や歴史の知識ではこの歌詞の真意が掴めているとは思えず歯がゆい。
また、こういうバックボーンを持った曲を魔性の女的なイメージのリンダ・ロンシュタットが歌っているというところに、ポップという文化の本当の奥深さを感じる。
そういえば、クリームの「カラフル・クリーム」の原題はDisraeli Gearsと言うが、このDisraeliとは、19世紀のイギリスの首相ベンジャミン・ディズレーリのことで、ローディーの言いまつがいを面白がって名付けたとされる。
しかし、このディズレーリという保守党の政治家は、スエズ運河の株式を買収しエジプトの植民地化への足がかりを作ったあと、インド帝国の成立に関与した人で、南アフリカ戦争を仕掛け、南部アフリカを植民地化したりした。
大英帝国の繁栄の礎を作ったとも言えるが、その後の世界戦争の最初の小さな火種を作った人とも言えるだろう。
この人の名前を、(自転車の)変速機=ディレイラー・ギアとの言い間違いに使ってマラプロピズム的効果を生み出そうとしているわけだから、当然ディズレーリの経歴に対して何かの感情を持っているだろう。
さらりとした時代へのアイロニー。
ポップソングの重要な役割だと思う。
2015年9月18日金曜日
チェット・ベイカーとエルヴィス・コステロの関係
まだまだジャズに関しては素人同然の僕に、ある日キャリアの長いジャズリスナーの先輩が10枚のCDを貸してくれた。
その中にチェット・ベイカーの東京ライブがあった。
僕は晩年のチェット・ベイカーが大好きで、だから1987年6月14日に昭和女子大学人見記念講堂で行われたというこのライヴを聴けて本当に嬉しかった。
(写真のCDは廃盤で現在入手可能なのはこちらの盤)
アルバムの3曲目に「Almost Blue」とあって、エルヴィス・コステロのファンでもある僕は、彼が録ったカントリー・アルバムを思い出したが、まさかその曲のカバーとは思わなかった。
チェットは例の弱々しいのに瑞々しさを失わない不思議な声で、この名バラッドを歌い上げていた。
コステロの奥様のダイアナ・クラールもカバーしている。
別に何かを調べようと思ったわけではないのだが、この取り合わせが不思議で、なんとなく検索エンジンに「チェット・ベイカー エルヴィス・コステロ」と入れてみると、意外にもこの二人の共演は古く、パンチ・ザ・クロック収録の名曲「シップ・ビルディング」にさかのぼるという。
(びっくり。まさかの廃盤でした。新品の出品が13万円を越えててまたびっくり!)
気が付かなかったなあ。
さっそく聴いてみると、後半のソロから歌の伴奏にかけて、少しエフェクティブな音で録られたチェットのトランペットが流れてきた。
言われて聴いてもわからないなあ。
でもそれがチェット・ベイカーなんだろう。
大学時代、サークルのたまり場で誰かが持ち込んだTOTOの新譜「ファーレンハイト」を聴いていたジャズ系ベーシストの先輩が、
「おい、最後のトランペット、もしかしてマイルスじゃないか」
と言って、実際その通りだったのを見て当時はけっこう驚いたものだが、今ならわかる。
マイルスなら誰のアルバムで聴いてもそうとわかるだろう。
歌なら聴けばそうとわかるけど、チェット・ベイカーのトランペットはそうじゃない。
でもダメかというとそうでもない。
スタイリッシュでクールで、どこにも「欠けている」ところのない音楽。
そんな気がする。
実際のチェットは欠けているところだらけだった。
ジャンキーで無鉄砲。いろいろとだらしない。
うまいことを言うつもりはないが、「歯」も欠けていた。
そんなところが、絶品B級ボイスのコステロと相性がいいのかもしれない。
その中にチェット・ベイカーの東京ライブがあった。
僕は晩年のチェット・ベイカーが大好きで、だから1987年6月14日に昭和女子大学人見記念講堂で行われたというこのライヴを聴けて本当に嬉しかった。
Chet Baker
Immortal Audio (2008-06-24)
売り上げランキング: 69,752
Immortal Audio (2008-06-24)
売り上げランキング: 69,752
アルバムの3曲目に「Almost Blue」とあって、エルヴィス・コステロのファンでもある僕は、彼が録ったカントリー・アルバムを思い出したが、まさかその曲のカバーとは思わなかった。
エルヴィス・コステロ
ユニバーサル インターナショナル (2007-09-05)
売り上げランキング: 769,882
ユニバーサル インターナショナル (2007-09-05)
売り上げランキング: 769,882
チェットは例の弱々しいのに瑞々しさを失わない不思議な声で、この名バラッドを歌い上げていた。
コステロの奥様のダイアナ・クラールもカバーしている。
Diana Krall
Verve (2004-04-27)
売り上げランキング: 27,767
Verve (2004-04-27)
売り上げランキング: 27,767
別に何かを調べようと思ったわけではないのだが、この取り合わせが不思議で、なんとなく検索エンジンに「チェット・ベイカー エルヴィス・コステロ」と入れてみると、意外にもこの二人の共演は古く、パンチ・ザ・クロック収録の名曲「シップ・ビルディング」にさかのぼるという。
エルヴィス・コステロ
USMジャパン (2009-03-04)
売り上げランキング: 543,517
USMジャパン (2009-03-04)
売り上げランキング: 543,517
気が付かなかったなあ。
さっそく聴いてみると、後半のソロから歌の伴奏にかけて、少しエフェクティブな音で録られたチェットのトランペットが流れてきた。
言われて聴いてもわからないなあ。
でもそれがチェット・ベイカーなんだろう。
大学時代、サークルのたまり場で誰かが持ち込んだTOTOの新譜「ファーレンハイト」を聴いていたジャズ系ベーシストの先輩が、
「おい、最後のトランペット、もしかしてマイルスじゃないか」
と言って、実際その通りだったのを見て当時はけっこう驚いたものだが、今ならわかる。
マイルスなら誰のアルバムで聴いてもそうとわかるだろう。
歌なら聴けばそうとわかるけど、チェット・ベイカーのトランペットはそうじゃない。
でもダメかというとそうでもない。
スタイリッシュでクールで、どこにも「欠けている」ところのない音楽。
そんな気がする。
実際のチェットは欠けているところだらけだった。
ジャンキーで無鉄砲。いろいろとだらしない。
うまいことを言うつもりはないが、「歯」も欠けていた。
![]() |
| 麻薬がらみでギャングにやられて前歯が無いんです。で、この「欠け」を利用してトランペットの新しい奏法を模索していたそうです。すげえ。 |
そんなところが、絶品B級ボイスのコステロと相性がいいのかもしれない。
2015年9月14日月曜日
ヒーローと立憲主義~キャプテン・フューチャー第九巻「輝く星々のかなたへ!」
キャプテン・フューチャー・シリーズ第九巻に突入致しました。
「輝く星々のかなたへ!」では、水星で大気や水を人工的に生成してきた鉱物資源が枯渇して、住民がガニメデへの移住を迫られるという事態が発生する。
カーティスは、水星人が生まれ故郷を離れなくてすむように、遥か彼方、宇宙の中心にまで赴き、万物生成のメカニズムを解き明かしに行くというかつてない遠大な冒険の旅に出る。
太陽系内の悪者をほとんどやっつけてしまったフューチャーメンにもう敵はいない。
勧善懲悪型のストーリーが成立しなくなったため、科学冒険小説にトライ!というところでしょうか。
宇宙にあるあらゆる物質が生まれる宇宙の中心では、やはりそのメカニズムそのものを「特権」として相争う勢力が存在した。
難しいのはどちらに味方するかということで、まるっきり地縁のないカーティスにとっては、結果的にはどちらに加勢しても勝てばいいわけなのだが、物語の性質上、そういうわけにもいかない。
一方は科学技術至上主義で、使えるものはなんでも使って富を生み出そうという考え方。
もう一方は、手に余る技術は人を不幸にする、という考え方。
で、まあ、利己的でない後者の方をカーティスは選ぶわけですが、やっぱり後者の陣営に美人のお姫様がいるんですね。
たまたま思想の合う側に美女がいたのか、美女がいたから味方したのか。
けっこう怪しい展開なんですが、 まあ、こういうのは詮索しないほうがいいですね。
で、勝利したカーティスは、この人ならば私利のためでなく、社会のために正しく使ってくれるだろうという信任を得て、そのメカニズムを借り受けるわけです。
カーティスが超人&イケメンだからこそ得られた信任なんですね。
現実の世界にはこのような超人は実在せず、しかし誰かにリーダーシップをあずけなければならない。
普通に考えれば、こんな人柄頼みのシステムは続かない。
だから<法>というものがあり、<立憲主義>という仕組みがあるんでございます。
しかしそれだって行き過ぎれば、為政者の自由を奪って本当に重要な政策が実現できなかったり、だからって緩めてしまえば権力に目がくらんだ人の暴走がはじまる。
みっともない事この上ない仕組みだけど、まだこれ以上のシステムは生まれていない。
こんな時代だからこそ、荒唐無稽な正義のヒーローの活躍を、立憲主義の「魂」として読んでおくっていうのもいいと思うんですよ。
いや、けっこうマジでそう思ってます。
「輝く星々のかなたへ!」では、水星で大気や水を人工的に生成してきた鉱物資源が枯渇して、住民がガニメデへの移住を迫られるという事態が発生する。
カーティスは、水星人が生まれ故郷を離れなくてすむように、遥か彼方、宇宙の中心にまで赴き、万物生成のメカニズムを解き明かしに行くというかつてない遠大な冒険の旅に出る。
太陽系内の悪者をほとんどやっつけてしまったフューチャーメンにもう敵はいない。
勧善懲悪型のストーリーが成立しなくなったため、科学冒険小説にトライ!というところでしょうか。
宇宙にあるあらゆる物質が生まれる宇宙の中心では、やはりそのメカニズムそのものを「特権」として相争う勢力が存在した。
難しいのはどちらに味方するかということで、まるっきり地縁のないカーティスにとっては、結果的にはどちらに加勢しても勝てばいいわけなのだが、物語の性質上、そういうわけにもいかない。
一方は科学技術至上主義で、使えるものはなんでも使って富を生み出そうという考え方。
もう一方は、手に余る技術は人を不幸にする、という考え方。
で、まあ、利己的でない後者の方をカーティスは選ぶわけですが、やっぱり後者の陣営に美人のお姫様がいるんですね。
たまたま思想の合う側に美女がいたのか、美女がいたから味方したのか。
けっこう怪しい展開なんですが、 まあ、こういうのは詮索しないほうがいいですね。
で、勝利したカーティスは、この人ならば私利のためでなく、社会のために正しく使ってくれるだろうという信任を得て、そのメカニズムを借り受けるわけです。
カーティスが超人&イケメンだからこそ得られた信任なんですね。
現実の世界にはこのような超人は実在せず、しかし誰かにリーダーシップをあずけなければならない。
普通に考えれば、こんな人柄頼みのシステムは続かない。
だから<法>というものがあり、<立憲主義>という仕組みがあるんでございます。
しかしそれだって行き過ぎれば、為政者の自由を奪って本当に重要な政策が実現できなかったり、だからって緩めてしまえば権力に目がくらんだ人の暴走がはじまる。
みっともない事この上ない仕組みだけど、まだこれ以上のシステムは生まれていない。
こんな時代だからこそ、荒唐無稽な正義のヒーローの活躍を、立憲主義の「魂」として読んでおくっていうのもいいと思うんですよ。
いや、けっこうマジでそう思ってます。
エドモンド・ハミルトン
東京創元社
売り上げランキング: 599,449
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2015年8月24日月曜日
Mr.Children 2015「未完ツアー」を札幌ドームで観てきたよ【ちょいネタバレ】
Mr.Children 2015未完ツアーを札幌ドームで観てきた。
相変わらず最高のパフォーマンスだった。
新作「REFLECTION」からの楽曲を中心に据えながらも、重要な言葉をもった曲を随所に配置して、まるで物語を構成するようにステージが進行していく。
いつもそうだが、映像がそれを完璧にサポートしている。
演奏の様子を追うだけでなく、楽曲の持つメッセージを写真やアニメーション、そして言葉そのもので補っていく。
今回はエフェクティブな仕掛けも用意されており思わず見入ってしまった。
これからコンサートに参加される方はお楽しみに。
はじめてMr.Childrenのライブを観たのは、95年のレグレス・プログレス・ツアーで、東京ドームで観た。
まだ電話がつながるかどうかがチケット確保の決定的な分水嶺だった時代。幸運にも電話がつながり、チケットを取ることができた。
アルバム「深海」全曲を曲順通り演奏し、その前後をヒットシングルで埋めるという意欲的なコンサート構成で、本当に素晴らしいステージだった。
その後、どうやってもチケットは取れなくなり、2001年のポップ・ザウルス・ツアーの時、福岡の同僚がチケットを取ってくれて福岡で観ることができた。
それまで、完成度の高いアレンジをステージでも再現するタイプのバンドだったが、この時は柔軟なアレンジで楽曲の新しい側面を見せてくれる成熟が感じられた。
彼らのライブは、本当に完成度の高いエンターテインメント性を備えながら、しかしロックバンドとしてのスポンテニアスな躍動感を失わない演奏力が保たれていて、いつも心打たれるものだから、チケットが取れない時も映像商品を買って彼らのステージを堪能していた。
しかしアルバム「HOME」以降の彼らの音楽には、僕には強い閉塞感とその中で弛緩していく感覚のようなものが感じられた。
ディスカバリー・アルバムからQアルバムにかけて、新しいギターサウンドの構築を土台にして、デジロックというカテゴリーの創造を目論んでいるような、そんな気概が感じられたが、シフクノオトでそれを完成させて以降、少しづつだがその「緩み」が彼らの音楽を侵食していたように感じられた。
それが、ある日ネットで流れてきた新曲「足音」のPVを観た時、なにかそういう緩みが払拭されて、本来彼らが持っていた「バンド」の音が聴こえてきたように思った。
現在の彼らの音を聴いてみたいと思った。
しかしそう思って簡単にチケットが取れるほど甘くはない。
最初のリフレクションツアーのチケット争奪戦に5秒で敗れた僕は、またDVD買うかと諦めていたが、東京の友人が抽選に当たったから一緒に行こうと言ってくれて今回の「未完ツアー」参戦となった。
ここ2年位はツアービデオも買っていなかったので、昔のDVDを見なおして懐かしいなあ、イノセント・ワールドみんなで歌うんだよなあ、とか思い出していた。
で、ここからちょっとだけ【ネタバレ】だが、終わりなき旅がシンガロングだった。
会場全体に響く大合唱。
ゾクッとした。
札幌も捨てたもんじゃない。
こりゃイノセントもすごいぞ、と思っていたら豈図らんや、桜井くんが一番の頭から歌い出すではないか。
おお、今回は歌ってくれるんだな、と油断していたら、最後のリフレインで、
「お待たせ、札幌!」とキタ!
でも油断してるから憶えてたはずの歌詞が出てこない。
まいったなあ。せっかく準備してきたのに。
しかし、やはりこの曲の最後の畳み掛けていくところの創意に富んだメロディの変形はやはり見事で、この曲の紹介で桜井くんが「バンドの歴史をこめて」と言った意味がよくわかる。
名曲は他にもたくさんあるが、やはり音楽的に見た時の代表曲はこのイノセント・ワールドということになるだろう。
相変わらず最高のパフォーマンスだった。
新作「REFLECTION」からの楽曲を中心に据えながらも、重要な言葉をもった曲を随所に配置して、まるで物語を構成するようにステージが進行していく。
いつもそうだが、映像がそれを完璧にサポートしている。
演奏の様子を追うだけでなく、楽曲の持つメッセージを写真やアニメーション、そして言葉そのもので補っていく。
今回はエフェクティブな仕掛けも用意されており思わず見入ってしまった。
これからコンサートに参加される方はお楽しみに。
Mr.Children
トイズファクトリー (2015-06-04)
売り上げランキング: 62
トイズファクトリー (2015-06-04)
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はじめてMr.Childrenのライブを観たのは、95年のレグレス・プログレス・ツアーで、東京ドームで観た。
まだ電話がつながるかどうかがチケット確保の決定的な分水嶺だった時代。幸運にも電話がつながり、チケットを取ることができた。
アルバム「深海」全曲を曲順通り演奏し、その前後をヒットシングルで埋めるという意欲的なコンサート構成で、本当に素晴らしいステージだった。
その後、どうやってもチケットは取れなくなり、2001年のポップ・ザウルス・ツアーの時、福岡の同僚がチケットを取ってくれて福岡で観ることができた。
それまで、完成度の高いアレンジをステージでも再現するタイプのバンドだったが、この時は柔軟なアレンジで楽曲の新しい側面を見せてくれる成熟が感じられた。
彼らのライブは、本当に完成度の高いエンターテインメント性を備えながら、しかしロックバンドとしてのスポンテニアスな躍動感を失わない演奏力が保たれていて、いつも心打たれるものだから、チケットが取れない時も映像商品を買って彼らのステージを堪能していた。
しかしアルバム「HOME」以降の彼らの音楽には、僕には強い閉塞感とその中で弛緩していく感覚のようなものが感じられた。
ディスカバリー・アルバムからQアルバムにかけて、新しいギターサウンドの構築を土台にして、デジロックというカテゴリーの創造を目論んでいるような、そんな気概が感じられたが、シフクノオトでそれを完成させて以降、少しづつだがその「緩み」が彼らの音楽を侵食していたように感じられた。
それが、ある日ネットで流れてきた新曲「足音」のPVを観た時、なにかそういう緩みが払拭されて、本来彼らが持っていた「バンド」の音が聴こえてきたように思った。
現在の彼らの音を聴いてみたいと思った。
しかしそう思って簡単にチケットが取れるほど甘くはない。
最初のリフレクションツアーのチケット争奪戦に5秒で敗れた僕は、またDVD買うかと諦めていたが、東京の友人が抽選に当たったから一緒に行こうと言ってくれて今回の「未完ツアー」参戦となった。
ここ2年位はツアービデオも買っていなかったので、昔のDVDを見なおして懐かしいなあ、イノセント・ワールドみんなで歌うんだよなあ、とか思い出していた。
で、ここからちょっとだけ【ネタバレ】だが、終わりなき旅がシンガロングだった。
会場全体に響く大合唱。
ゾクッとした。
札幌も捨てたもんじゃない。
こりゃイノセントもすごいぞ、と思っていたら豈図らんや、桜井くんが一番の頭から歌い出すではないか。
おお、今回は歌ってくれるんだな、と油断していたら、最後のリフレインで、
「お待たせ、札幌!」とキタ!
でも油断してるから憶えてたはずの歌詞が出てこない。
まいったなあ。せっかく準備してきたのに。
しかし、やはりこの曲の最後の畳み掛けていくところの創意に富んだメロディの変形はやはり見事で、この曲の紹介で桜井くんが「バンドの歴史をこめて」と言った意味がよくわかる。
名曲は他にもたくさんあるが、やはり音楽的に見た時の代表曲はこのイノセント・ワールドということになるだろう。
2015年8月18日火曜日
フューチャーメンのタイムトラベル~キャプテン・フューチャー第八巻「時のロストワールド」
いよいよ第八巻「時のロストワールド」である。
なにがいよいよかと言うと、タイムトラベルものがついにキャプテン・フューチャー・シリーズに登場なのである。
前巻で、最大の敵ウル・クォルンを斃してしまい、太陽系に完全な平和をもたらしてしまったキャプテン・フューチャー。こともあろうにその平和に退屈している。
そこに、遙か一億年の過去から救助を求める声が!
そして喜色満面にフューチャーメンは過去への冒険に旅立つというわけです。
世にタイムトラベルSFはその黎明期から数多く発表されています。
最も代表的なものはもちろん、ウェルズの「タイムマシン」でしょう。
主人公の科学者「タイムトラヴェラー」は、
一次元は点、二次元は線、三次元は空間。
しかし物体が存在し続けている限り、精確な事物の特定には「時間」を変数として考えることが必要になる。つまり時間は4つ目の次元であり、だから我々はその中を移動することができると、強弁した上に、普通では移動できない次元の中を移動可能にする技術的背景に関しては特に説明しないまま、実際に移動するためのマシンを作ってしまいました。
その他のSF作品も大同小異ですが、さすがハミルトンはひと味違います。
時間の流れは原子の中の電子の軌道速度が作っているから、これを速めれば未来に行けるし、逆回転すれば過去に行けるという科学的背景を「創造」してしまいました。
無茶苦茶ですが、SF作品としては不思議な説得力があります。堅固な虚構の科学です。
ある時期までのタイムトラベルSFは、わりと自由にオリジナリティのある時間旅行の方法を考えてきたのですが、アインシュタインが光速で飛ぶと時間が遅くなるなんてことを言い出したもので、多くのSFが相対性理論をベースによりリアリティのあるSF作品を作るようになっていきますが、そんなある日、本当に自分はタイムトラヴェラーである、と宣言する男まで現れました。
ご存知ジョン・タイター(詳しくはリンク先のwikiを)です。
このジョン・タイター騒動を素材として取り込んだのがゲーム作品シュタインズ・ゲートで、アニメ化もされたこの作品が最も手っ取り早く、今人類が実際に取り組んでいる、実現可能性のゼロでないタイムトラベルの全体像にアクセスできる経路だと思います。
またタイムトラベルはラブロマンスと相性がいいというのが定説ですが、本作ではオットーまでが一億年前の地球娘と恋に落ちちゃうんですから、間違いないです。
カーティスについても、物語進行の都合上ジョオン・ランドールは今回お休みですが、その代わり依頼主のお嬢さんといい感じになってました。
一億年前の太陽系に恋に落ちる対象の人類がいる、というところにもずいぶん前の巻から科学的伏線を施してあってここがまた物語の盛り上がりどころになってます。
本当に盛り上がりどころ満載の本作のテーマは、滅亡に瀕した科学の星「カタイン」が、生き残るために火星を滅ぼして移住するか、コールドスリープで遠い別の惑星を目指すかという政治闘争になってます。
近年では「翠星のガルガンティア」で虚淵玄が採用した基本構造ですね。いつか人類もこのようなことを考える日が来るのでしょうか。
なにがいよいよかと言うと、タイムトラベルものがついにキャプテン・フューチャー・シリーズに登場なのである。
エドモンド・ハミルトン
東京創元社
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前巻で、最大の敵ウル・クォルンを斃してしまい、太陽系に完全な平和をもたらしてしまったキャプテン・フューチャー。こともあろうにその平和に退屈している。
そこに、遙か一億年の過去から救助を求める声が!
そして喜色満面にフューチャーメンは過去への冒険に旅立つというわけです。
世にタイムトラベルSFはその黎明期から数多く発表されています。
最も代表的なものはもちろん、ウェルズの「タイムマシン」でしょう。
主人公の科学者「タイムトラヴェラー」は、
一次元は点、二次元は線、三次元は空間。
しかし物体が存在し続けている限り、精確な事物の特定には「時間」を変数として考えることが必要になる。つまり時間は4つ目の次元であり、だから我々はその中を移動することができると、強弁した上に、普通では移動できない次元の中を移動可能にする技術的背景に関しては特に説明しないまま、実際に移動するためのマシンを作ってしまいました。
その他のSF作品も大同小異ですが、さすがハミルトンはひと味違います。
時間の流れは原子の中の電子の軌道速度が作っているから、これを速めれば未来に行けるし、逆回転すれば過去に行けるという科学的背景を「創造」してしまいました。
無茶苦茶ですが、SF作品としては不思議な説得力があります。堅固な虚構の科学です。
ある時期までのタイムトラベルSFは、わりと自由にオリジナリティのある時間旅行の方法を考えてきたのですが、アインシュタインが光速で飛ぶと時間が遅くなるなんてことを言い出したもので、多くのSFが相対性理論をベースによりリアリティのあるSF作品を作るようになっていきますが、そんなある日、本当に自分はタイムトラヴェラーである、と宣言する男まで現れました。
ご存知ジョン・タイター(詳しくはリンク先のwikiを)です。
このジョン・タイター騒動を素材として取り込んだのがゲーム作品シュタインズ・ゲートで、アニメ化もされたこの作品が最も手っ取り早く、今人類が実際に取り組んでいる、実現可能性のゼロでないタイムトラベルの全体像にアクセスできる経路だと思います。
メディアファクトリー (2013-03-27)
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またタイムトラベルはラブロマンスと相性がいいというのが定説ですが、本作ではオットーまでが一億年前の地球娘と恋に落ちちゃうんですから、間違いないです。
カーティスについても、物語進行の都合上ジョオン・ランドールは今回お休みですが、その代わり依頼主のお嬢さんといい感じになってました。
一億年前の太陽系に恋に落ちる対象の人類がいる、というところにもずいぶん前の巻から科学的伏線を施してあってここがまた物語の盛り上がりどころになってます。
本当に盛り上がりどころ満載の本作のテーマは、滅亡に瀕した科学の星「カタイン」が、生き残るために火星を滅ぼして移住するか、コールドスリープで遠い別の惑星を目指すかという政治闘争になってます。
近年では「翠星のガルガンティア」で虚淵玄が採用した基本構造ですね。いつか人類もこのようなことを考える日が来るのでしょうか。
2015年8月17日月曜日
2015年のDisney Girls(1957)
今朝、ラジオから聴き覚えのあるメロディが。
でもどうしても誰の歌か思い出せなかった。
女性ボーカルで歌われているが、記憶の中の歌声は男性のものだった。
歌詞の中に、断片的に聞き取れる部分がある。
テネシー・ワルツ、ファンタシー・ワールド、ディズニー・ガールズ・・
あ、ディズニー・ガールズ。きっとこれがタイトルだと思い当たる。
歌が終わり、DJのタック・ハーシーが「アン・サリーのディズニー・ガールズ」でしたと教えてくれた。
それでもまだ誰の歌か思い出せない。
印象的なコードチェンジ。メロディにも大きな起伏があって、これ歌えたら楽しいだろうなと思ったなんてところまで思い出すのに、肝心のアーティスト名が出てこない。
さっさと降参してGoogle検索すると、すぐにビーチ・ボーイズのサーフズ・アップ収録の曲とわかった。
そこまでわかっていろんなことを思い出す。
村上春樹さんの「村上ソングス」でこの曲を知ったこと。
それで、ビーチ・ボーイズの中期作品がいっせいにリマスターされたとき、まとめて買っておいたのにちっとも聴いていなかったサーフズ・アップを引っ張りだして聴いてみて、こんないい曲がはいっていたのか、とびっくりしたこと。
精神的にまいっていたブライアン・ウィルソンのかわりに加入したブルース・ジョンストンが作った曲ですが本当にいい曲だと思います。
改めて調べてみるといろんな人がカバーしているようですが、ラジオで聴いたアン・サリーのカバーは本当に良かったです。
心のなかにある夢の様な平穏を、 どうして僕らの長い歴史が作り出してきた知恵や技術が実現してくれないのだろうか。
1968年に書かれたこの曲にはDisney Girls(1957)と古き良き時代の年号が付記されている。
2015年に生きる僕らは、この時ブルース・ジョンストンが感じた矛盾を解決するどころか、より深刻なものにしているように思われてならない。
でもどうしても誰の歌か思い出せなかった。
女性ボーカルで歌われているが、記憶の中の歌声は男性のものだった。
歌詞の中に、断片的に聞き取れる部分がある。
テネシー・ワルツ、ファンタシー・ワールド、ディズニー・ガールズ・・
あ、ディズニー・ガールズ。きっとこれがタイトルだと思い当たる。
歌が終わり、DJのタック・ハーシーが「アン・サリーのディズニー・ガールズ」でしたと教えてくれた。
それでもまだ誰の歌か思い出せない。
印象的なコードチェンジ。メロディにも大きな起伏があって、これ歌えたら楽しいだろうなと思ったなんてところまで思い出すのに、肝心のアーティスト名が出てこない。
さっさと降参してGoogle検索すると、すぐにビーチ・ボーイズのサーフズ・アップ収録の曲とわかった。
ザ・ビーチ・ボーイズ
ユニバーサルミュージック (2012-07-25)
売り上げランキング: 102,288
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村上春樹さんの「村上ソングス」でこの曲を知ったこと。
村上 春樹
中央公論新社
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精神的にまいっていたブライアン・ウィルソンのかわりに加入したブルース・ジョンストンが作った曲ですが本当にいい曲だと思います。
改めて調べてみるといろんな人がカバーしているようですが、ラジオで聴いたアン・サリーのカバーは本当に良かったです。
アン・サリー Ann Sally
BMG JAPAN (2003-04-09)
売り上げランキング: 25,126
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リアリティーなんてどうでもいいさ / そんなのつまらないじゃないか / おとぎ話とディーズニー・ガール / 僕はそんな世界に帰っていこうこの曲が書かれた1968年は、キング牧師が暗殺され、公民権運動が大きなうねりになり、またヴェトナム戦争が泥沼化していく「テト攻勢」でアメリカ国内の反戦運動に火がついた年。
僕は捧げるべき愛情を見つけ / 生きていくべき場所をみつけた / 僕はもうどこにもいかないだろうこのような当たり前の日常を、お伽話と対置しなくてはならない現実とはなんだろうか。
心のなかにある夢の様な平穏を、 どうして僕らの長い歴史が作り出してきた知恵や技術が実現してくれないのだろうか。
1968年に書かれたこの曲にはDisney Girls(1957)と古き良き時代の年号が付記されている。
2015年に生きる僕らは、この時ブルース・ジョンストンが感じた矛盾を解決するどころか、より深刻なものにしているように思われてならない。
2015年8月15日土曜日
歴史ミステリの新しい傑作~ポール・アダム「ヴァイオリン職人の探求と推理」
1999年のクリスマスはクレモナで過ごした。
この「ヴァイオリン職人の探求と推理」には、その時の記憶を呼び覚ます精緻な描写が溢れている。
見事な筆力だ。
バイオリンの裏面史も実にイキイキと書かれていて引き込まれる。
ただ殺人事件についてのプロットには不十分なところがあると思う。事件自体の複雑さや意外さに不足はないが、探偵の作法には習 熟していないようだ。
素人探偵だから、ということを言っているのではない。
犯人を思いつきで追い詰めることは、どうせ物語なんだからなんだって作者の思い通りになるもんねと、作品から読者を閉めだしてしまうことになる。
読者との共同作業でなくてはならない。
そのための伏線なのだ。
それでもこの本の読後感の幸せは一級品のそれだ。
舞台が大好きなクレモナだったから、ということだけではないと思う。
この「ヴァイオリン職人の探求と推理」には、その時の記憶を呼び覚ます精緻な描写が溢れている。
見事な筆力だ。
バイオリンの裏面史も実にイキイキと書かれていて引き込まれる。
ただ殺人事件についてのプロットには不十分なところがあると思う。事件自体の複雑さや意外さに不足はないが、探偵の作法には習 熟していないようだ。
素人探偵だから、ということを言っているのではない。
犯人を思いつきで追い詰めることは、どうせ物語なんだからなんだって作者の思い通りになるもんねと、作品から読者を閉めだしてしまうことになる。
読者との共同作業でなくてはならない。
そのための伏線なのだ。
それでもこの本の読後感の幸せは一級品のそれだ。
舞台が大好きなクレモナだったから、ということだけではないと思う。
ポール・アダム
東京創元社
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ミュージック・ライフ誌選定ロックベスト100の看板に偽りなしの名盤〜ボズ・スキャッグス「マイ・タイム」
中古レコード店でボズ・スキャッグスのサード「マイ・タイム」を買ってきた。
帯には、ミュージック・ライフ誌が選定したロックベスト100の一枚と書いてあった。
A1に収録されたダイナ・フローはベスト盤にも収録されている有名曲だが、あとは落ち着いたR&B系の曲が多い。
カバーでは、アル・グリーンの大ヒットアルバム「LET'S STAY TOGETHER」収録のOLD TIME LOVINが。
原曲と聴き比べると、ボズの声で歌われるとなんでも洗練されてしまうというマジックを体感できるが、この頃はまだサウンドがAOR的ではなく、そこがまたいいと思う。
さらにB面には一曲目にC.Toussaint、二曲目にA.Toussaintのクレジットが。
二曲目のFREEDOM FOR THE STALLIONは、エルヴィス・コステロとトゥーサンのデュエットアルバム「THE RIVER IN REVERSE」 に収録されていたので知っていたが、
もとはリー・ドーシーというニュー・オーリンズのシンガーに提供された曲だそうです。
これはまたずいぶん違いますな。
Youtube検索してたら、スリー・ドッグ・ナイトがカバーしてるのも見つけた。
これもなかなか。
アラン・トゥーサンはいい曲書くなあ。
で、一曲目にあったC.Toussaintのクレジットですが、英語版のwikipedia見てたら、お父さんのクラレンスとお母さんのナンシーの名前を時々自分の作品にクレジットしてたらしいです。(英語力が拙く、自信はないのですが)
wikiにも、このHello My Loverという曲は1972年にクラレンスにクレジットしたと書いてありました。
自作曲も全体にこういうトーンですが、ボズらしいアツさを湛えた曲もあり、全体に渋カッコいい感じ。
長く愛聴できるアルバムと見た。
ミュージック・ライフ誌のロックベスト100の看板に偽りはなかったようです。
帯には、ミュージック・ライフ誌が選定したロックベスト100の一枚と書いてあった。
A1に収録されたダイナ・フローはベスト盤にも収録されている有名曲だが、あとは落ち着いたR&B系の曲が多い。
カバーでは、アル・グリーンの大ヒットアルバム「LET'S STAY TOGETHER」収録のOLD TIME LOVINが。
原曲と聴き比べると、ボズの声で歌われるとなんでも洗練されてしまうというマジックを体感できるが、この頃はまだサウンドがAOR的ではなく、そこがまたいいと思う。
さらにB面には一曲目にC.Toussaint、二曲目にA.Toussaintのクレジットが。
| クレジットはこのレーベル面にしか書いてない。こういう時はライナーで補ってほしいよね |
二曲目のFREEDOM FOR THE STALLIONは、エルヴィス・コステロとトゥーサンのデュエットアルバム「THE RIVER IN REVERSE」 に収録されていたので知っていたが、
エルヴィス・コステロ&アラン・トゥーサン
ユニバーサル ミュージック クラシック (2006-05-27)
売り上げランキング: 232,739
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もとはリー・ドーシーというニュー・オーリンズのシンガーに提供された曲だそうです。
これはまたずいぶん違いますな。
Youtube検索してたら、スリー・ドッグ・ナイトがカバーしてるのも見つけた。
これもなかなか。
アラン・トゥーサンはいい曲書くなあ。
で、一曲目にあったC.Toussaintのクレジットですが、英語版のwikipedia見てたら、お父さんのクラレンスとお母さんのナンシーの名前を時々自分の作品にクレジットしてたらしいです。(英語力が拙く、自信はないのですが)
wikiにも、このHello My Loverという曲は1972年にクラレンスにクレジットしたと書いてありました。
自作曲も全体にこういうトーンですが、ボズらしいアツさを湛えた曲もあり、全体に渋カッコいい感じ。
長く愛聴できるアルバムと見た。
ミュージック・ライフ誌のロックベスト100の看板に偽りはなかったようです。
Boz Scaggs
Friday Music (2010-09-14)
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2015年7月12日日曜日
ダイアナ・クラール「Wallflower」をどう聴くか
「許されざる者」以降のクリント・イーストウッドの映画はどれも素晴らしいと思う。
あまり話題にならないが、「トゥルー・クライム」という映画がわりと好きだ。
昔仕事で大変お世話になった東京工科大学が協力したと聞いて観始めた「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの第二作を家族で観に行った時、エンドロールがはじまって、なかなかいい映画だったな、と思っていたら後ろに流れる歌(バンプ・オブ・チキンの「花の名」)が素晴らしすぎて、自分の中でのこの映画の評価が二段ほど上がってしまったことがあるが、「トゥルー・クライム」もそんな映画のひとつだった。
「トゥルー・クライム」のエンディングに配された歌は、ダイアナ・クラールとデヴィッド・フォスターによる「Why Should I Care ?」
デヴィッド・フォスター、ジャズもイケるのかと驚いた。
そのダイアナ・クラールとデヴィッド・フォスターが、今度はフォスターのホームグラウンドであるポップスのアルバムを作ったと聞いてかなり期待して聴いた。
タイトルは「Wallflower」
ボブ・ディランの曲から採られている。
これはディランが、パティ・スミスをイメージして書いたと言われている歌で、オリジナルはダグ・サームのレコーディングで、後に自分でも録音している。
ディランの録音は「Bootleg Series vol.2」に収録されている。
Wallflower=壁の花とは、パーティなどで男の子からダンスの誘いがかからず壁際にいる女の子のことだ。
ダイアナ・クラールは今となっては美人ジャズシンガーの代表格だが、キャリア初期のアルバムに掲載された写真を見ると、もしかしたら少女時代、壁の花だった経験もあるのかもと思ったりした。
どうでもいいことだが。
さて肝心の音楽のほうだが、ポップスカバーのアルバムを好む性質の音楽ファンにこのアルバムでのダイアナ・クラールの歌唱は、もしかしたら地味に過ぎるかもしれない。
耳を刺す高音も、圧倒的なロングトーンも、思わず声が出るようなカッコいいメロディもない。
しかし例えば、ギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」が好きでカラオケで歌ってはみたものの、思いの外英語の譜割りが難しくて挫折したことがあるような人には、このアルバムでの「アローン・アゲイン」をぜひ聴いてみて欲しいのだ。
ああ、こうなっていたのかと思うだろう。
今回のアルバムでは彼女の歌から「虚飾」が剥ぎ取られている。
アローン・アゲインからはギルバート・オサリバンらしさが、デスペラードからはドン・ヘンリーらしさが剥ぎ取られ、わかりやすい「聴きどころ」を作らないように細心の注意を払っているように感じる。
ネイキッドな歌の姿にアクセスできる。
そうしてはじめて、英語が母国語でない僕らは、それぞれの曲のオリジナルの響きの影響下から離れて、例えばなぜデスペラードでは、ダイヤのクイーンではなくハートのクイーンに賭けるべきだと言っているのか、アローン・アゲイン=ひとりに戻る、とはいったい何のことを言っているのかといった、楽曲の本来的なテーマに立ち戻ることができるのかもしれない。
別にそうしなくてはいけない、というわけではないが。
あまり話題にならないが、「トゥルー・クライム」という映画がわりと好きだ。
ワーナー・ホーム・ビデオ (2011-07-20)
売り上げランキング: 19,170
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昔仕事で大変お世話になった東京工科大学が協力したと聞いて観始めた「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズの第二作を家族で観に行った時、エンドロールがはじまって、なかなかいい映画だったな、と思っていたら後ろに流れる歌(バンプ・オブ・チキンの「花の名」)が素晴らしすぎて、自分の中でのこの映画の評価が二段ほど上がってしまったことがあるが、「トゥルー・クライム」もそんな映画のひとつだった。
「トゥルー・クライム」のエンディングに配された歌は、ダイアナ・クラールとデヴィッド・フォスターによる「Why Should I Care ?」
デヴィッド・フォスター、ジャズもイケるのかと驚いた。
そのダイアナ・クラールとデヴィッド・フォスターが、今度はフォスターのホームグラウンドであるポップスのアルバムを作ったと聞いてかなり期待して聴いた。
Diana Krall
Verve (2015-01-30)
売り上げランキング: 413
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タイトルは「Wallflower」
ボブ・ディランの曲から採られている。
これはディランが、パティ・スミスをイメージして書いたと言われている歌で、オリジナルはダグ・サームのレコーディングで、後に自分でも録音している。
ディランの録音は「Bootleg Series vol.2」に収録されている。
Sony Music Direct(Japan)Inc. (2014-04-01)
売り上げランキング: 19,635
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Wallflower=壁の花とは、パーティなどで男の子からダンスの誘いがかからず壁際にいる女の子のことだ。
ダイアナ・クラールは今となっては美人ジャズシンガーの代表格だが、キャリア初期のアルバムに掲載された写真を見ると、もしかしたら少女時代、壁の花だった経験もあるのかもと思ったりした。
どうでもいいことだが。
さて肝心の音楽のほうだが、ポップスカバーのアルバムを好む性質の音楽ファンにこのアルバムでのダイアナ・クラールの歌唱は、もしかしたら地味に過ぎるかもしれない。
耳を刺す高音も、圧倒的なロングトーンも、思わず声が出るようなカッコいいメロディもない。
しかし例えば、ギルバート・オサリバンの「アローン・アゲイン」が好きでカラオケで歌ってはみたものの、思いの外英語の譜割りが難しくて挫折したことがあるような人には、このアルバムでの「アローン・アゲイン」をぜひ聴いてみて欲しいのだ。
ああ、こうなっていたのかと思うだろう。
今回のアルバムでは彼女の歌から「虚飾」が剥ぎ取られている。
アローン・アゲインからはギルバート・オサリバンらしさが、デスペラードからはドン・ヘンリーらしさが剥ぎ取られ、わかりやすい「聴きどころ」を作らないように細心の注意を払っているように感じる。
ネイキッドな歌の姿にアクセスできる。
そうしてはじめて、英語が母国語でない僕らは、それぞれの曲のオリジナルの響きの影響下から離れて、例えばなぜデスペラードでは、ダイヤのクイーンではなくハートのクイーンに賭けるべきだと言っているのか、アローン・アゲイン=ひとりに戻る、とはいったい何のことを言っているのかといった、楽曲の本来的なテーマに立ち戻ることができるのかもしれない。
別にそうしなくてはいけない、というわけではないが。
太田 利之
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