2017年11月1日水曜日

門あさ美『ファッシネイション』:完成度の高い日本的ジャジー・ノット・ジャズの名盤をまた発見してしまった。

70年代後半、まだ女性R&Bというジャンルが日本には確立していない頃、何人かのシンガーによって都会的な女性ポップヴォーカル(日本的ジャジー・ノット・ジャズと個人的に呼称してます)の新しい地平が開かれようとしていた。

今のところ77年の佐藤奈々子『ファニー・ウォーキン』あたりを嚆矢として、松原みきに繋がり、間宮貴子、国分友里恵へと続いていく流れを俯瞰して聴いていたが、この人の存在に気付いていなかった。
門あさ美さん。

ファースト・アルバムの『ファッシネイション』を入手したので聴いている。



79年12月のリリースというから松原みきの『ポケットパーク』よりも早い。
一聴して愛聴盤確定の手触りを持つアルバムだ。
落ち着いたボーカル。
代表曲とされるデビュー曲『ファッシネイション』ですらアルバムの中で突出した印象を与えない、ハイレベルに粒が揃った楽曲群。
アルバムにはミュージシャン・クレジットがなく、そのあたりにもあくまでも音楽優先の作りを意識させる。
こういうアルバムが長く聴けるんだよなあ。

現在はリマスター盤CDで入手できるが、レコードで聴くと時折、大きなホールで録音したようなスケールの大きいブラスや、豊かな響きのコーラスがまるでライブのようなリアルさで迫ってくる部分があり、よくぞこんな音をレコードに封じ込めたな、とクレジットを見ると、やはり吉野金次さん。
この技を聴くだけでも価値があるアルバムと思う。

Fascination(ファッシネイション)【Blu-spec CD2】
門あさ美
ヤマハミュージックコミュニケーションズ (2016-07-20)
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当時はあまりテレビにも出なかったそうで、ミステリアスなイメージもあったそう。
どっこい現代にはYouTubeがあるでな。
歌い姿もいいですなー。

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