2023年4月12日水曜日

カフカ『掟の門前』とChatGPTが突きつけたもの

少し前に、北海道新聞のコラムでカフカの『掟の門前』が紹介されていた。

読んだことがなかったので、光文社古典新訳文庫で買ってみた。

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タイトルは『掟の前で』となっていた。

読めば、門前の方が内容に相応しい気がしたが、門自体が「思い込み」のメタファーであることを考えれば、『掟の前で』の翻訳意図も理解できる。

併録されている『アカデミーで報告する』も多様な解釈を許す短編で、『掟の前で』と併せて読むことで、カフカの人間あるいは社会に対しての基本的姿勢のようなものを、ぼんやりと形作っているように感じられた。

そしてその2篇を膠のように『変身』と繋ぎ止める『判決』。

この4篇でこの本は構成されている。

最も長い『変身』は何度も読んだ作品だが、今回もまた、以前とは全く異なる印象を残した。

 

直前、直後の読書、それまでの人生の経験。そういうもので本から感じ取る風景は全く異なるものになる。それが読書というものだと思う。

ところで、最近ニュースを騒がせているChatGPT。この優れたAIを使って読書感想文を書いた学生を処罰するというニュースが流れた。

カフカを読んで、しみじみとした人生の奥深さを覗き込んだ直後にこのようなニュースに接すると、まことにどうでも良いことに思える。

感想文に点数をつけて評価をすることが目的になっているからAIなんぞに書かれては困るのであって、教育の場での本当の目的は、読書感想文をクラスで共有して、人間の感性のしなやかさや、環境の違いによる考え方の相違を受け止める柔らかさを学ぶことだろう。

教育の世界にChatGPTが突きつけたのは、「評価」ができるような成果物はもうコンピュータで作れてしまう、ということだ。

そしてそのような「評価」を前提とした設問は、すでにビジネスの社会には存在せず、誰もみたことのない課題に、どんなものの力でも借りながら挑んでいくことが求められている。

そして、まさにその壁を、はるか1910年代に描いたのがカフカであった。本当に大切なことは、どのようにしてでも学べるものだ。初等・中等教育はそのための成功体験を人工的に体験できるシミュレーションの場として機能させて欲しいものだ。


2023年4月9日日曜日

ジョン・ディクスン・カー『火刑法廷』

これたぶん三回目の再読なんだけど、今回も今回もとっても新鮮な不思議さのまま、最後まで連れて行かれた。

ジョン・ディクスン・カーの『火刑法廷』 

謎解きも複雑で、簡単には飲み込めない。

作者もそう思ってるんだろう、嘘だと思うならXページを見ろ、との注釈まで入っている。そして読んでも、納得するにはよくよく考えなければならず、時間がかかる。

カーの頭の中は一体どうなってるんだろう。

そしてラスト数ページの大仕掛けも、巻末の豊崎さんの解説を読んで、あっと気づいて、読み直して、寒気が走って、前回読んだ時も同じステップ踏んだな、と思い出す始末。

俺の頭の中もどうなってんだよ。 

※ハヤカワの新訳版、表紙変わってますね。

2023年3月29日水曜日

俺とG&L #4

G&L ASAT Classicの改造記、第4回です!
 
最終回の今回は、回路周りです。
 










まずはプレートですが、よく見ていただくとピックアップの切り替えスイッチが斜めにスラントしているでしょう。

こんな小さな工夫で、ものすごく弾きやすくなるんです。おすすめの改造ですね!


いよいよ回路(サーキット)ですが、今回はフロントとリア、それぞれのシングルコイルを直列してハムバッカーのようなサウンドも出る4wayのサーキットを付けてみました。
 
エマーソンカスタムというブランドの配線キットで、レビューなども参考に250kΩの抵抗が入っているものをチョイスしました。
 
 
直列モードでは、確かに音圧が上がり歪みのノリが変わります。僕はテレキャスターしか持っていないので、もしかしたら使えるシーンがあるかもですが、ホンモノのハムバッカーとはちょっと違う気はします。
 
そしてそのピックアップを切り替える「ノブ」にもご注目ください。
 

 












通常のものより、かなり小ぶりで質感が高いモデルです。
HATAという工房のもので、ボリューム・トーンのノブも同じブランドでセットで販売されています。















このノブセット、通常はブラス製のところをアルミで作られていて、非常に軽いのです。
私にはこの軽さ、ちょうど良いのですが、好みが分かれるところかもしれません。

2023年3月28日火曜日

俺とG&L #3

G&Lギターの改造記第3回です。

今日は、ピックアップとブリッジ周りを。



G&LのASAT Classicにはオリジナル設計のMFDピックアップがついていて、ポールピースが各弦で調整できるようになっていました。

が、それゆえにテレキャスらしからぬナイーブなルックスになっていました。

今回の改造では、よりオリジナルに近い、FENDER社製 Pure Vintage '64 Telecaster Pickup Setをセレクトして、搭載しました。

 

お次はブリッジ。

テレキャスターの欠点として挙げられることが多い、3分割タイプのブリッジですが、逆に、それがテレキャスターらしいリジッドなサウンドを生み出していることもまた事実なわけで、今回各弦でオクターブ調整できる6分割タイプから、わざわざオリジナルに近い3分割タイプに戻しました。

信頼のGOTOH社製、BS-TC1 Chromeです。

なぜ GOTOHを選ぶかというと、もう一本のテレキャスターVanzandtのブリッジについていた芋ネジが長すぎて、弾くたびに右手の腹に引っかかって不快だったのです。

イライラに耐えかねて、自分でGOTOHのブリッジを買ってきて交換。スッキリ解決したため、今回もGOTOHさんを選びましたら。

そしたらなんと!G&Lはネックのジョイント位置がフェンダー系のテレキャスと少し違っていて、互換製品を使うと弦高調整との兼ね合いで、やっぱり芋ネジの頭が出てしまうのでした。

で、まあ芋ねじなんで探せばサイズはあるもので、Amazonでこれを見つけて、見事解決。

次回最終回は回路系です!

2023年3月16日木曜日

俺とG&L #2

G&Lギターの改造記の第2回です。第1回はこちらから→『俺とG&L #1』

まずはペグ。


GOTOH ( ゴトー ) 社製のマグナムロックのペグ。

型番はSGS510Z-MG-A07-L6-Chrome

ポストに弦をくるくる何度も巻かなくても良いという優れものである。 


裏面にはgotohを数字化した「510」の文字が。




弦交換は、作業としては楽になるが、弦のロックが甘いとチューニングが合わない。取説には書かれていないが、交換してくれた楽器屋の兄ちゃんが、コインで上のネジ締め込むと一発で合うよ、と教えてくれた。

お悩みの方、ぜひお試しを。

2023年3月15日水曜日

俺とG&L #1

G&Lギターとの出会いは、Mr.Childrenの1997年のシングル『Everything (it's you)』だった。

この曲では、レコーディングもライブでも田原くんと桜井和寿が掛け合いでギターソロを弾いている。

桜井はこのMVで印象的なシルバーラメのテレキャスターを弾いているが、よく見かけるフェンダーのそれではないことにはすぐに気がついた。

桜井和寿のギターソロは、スムースな田原のソロを受けて、不器用ながらも熱くてドラマティックに燃え上がっていく。そして何よりギター自体が、その熱さを受け止め得るクールさを持っていた。

まだインターネット黎明期のこと、ググればわかる時代はまだきていなかったが、雑誌などですぐにそれがG&Lのギターであることは調べがついた。

G&Lというブランドは、桑田佳祐氏がソロ活動で、やはりテレキャスタータイプの 『ジョージ・フラートン・モデル』を使用していたことで認知していた。

ジョージ・フラートンという人が、楽器を弾けないラジオ技術者のレオ・フェンダーと共にフェンダー・ギターの立ち上げを行った人だとは、その時に知った。

レオがミュージックマンをアーニーボールに売却した後に立ち上げたのがG&Lと知って、やはり一度は弾いてみたいものだと思っていた。

 そんなある日、営業をサボって渋谷をブラブラしていて、イケベ楽器で白いG&Lが吊るされているのを見つけた。

もう値段も忘れてしまったが、15〜20万くらいだったと思う。

衝動買いをするには高価なものだ。いったん落ち着こうと店を出たが、それが一目惚れであったことにはすぐに気がついた。

気がつくと店に戻り、スーツのまま試し弾きをさせてもらって、クレジットカードを差し出していた。 


長いこと、それをメインギターにして弾いていたが、2006年に会社を早期退職した時、今度は第4期ARBの内藤幸也が弾いていたフェンダーのテレキャスターが気になって、よく似た仕様のVan Vandtを買った。

このVan Vandtのテレキャスは、ネックが薄くて指板のRがほとんどないタイプで、これが非常に弾きやすく、しばらくこればかりを使っていた。

そんなわけで、しばらくケースの中で眠っていたG&Lがすっかりゴキゲンナナメになっているのに気づくのが2021年。

3年半ほどお世話になった職場を辞めて少し時間ができたので、本格的にメンテナンスに乗り出した次第だ。

結局ほとんどのパーツを入れ替えることになった。

その記録をここに残しておこうと思う。

これが改造を終えた姿だ。


次回以降、入れ替えたパーツを紹介していこうと思う。

2023年3月14日火曜日

zoomよ、お前もか

すごーく久しぶりにzoomでミーティング。

自分がホストなので、動作チェックしておくか、と思ったらアップデートに失敗しました、と言われて先に進まない。

いろいろ調べて、古いバージョンを先に削除しておく必要があるとわかったんだけどさー。

そんなバカな。

いや、あるよ。そういうこと。でもさー、zoomってそういうダッセー企業じゃないと思ってたからショックだわー。


 

まあ、やってみたらできた。

うん、新しいアイコン、かっこいいじゃん。

いやもしかしたらzoomだけのせいではないのかもしれん。OSとの関係もあるもんね。

使ってるのはMacだから、こっちもだいぶ怪しい。

MacOSもiOSも、勝手にインターフェイス変えて、情弱ユーザー戸惑わせるの得意だけどさー、創業者のジョブスさんは、ユーザーは信用できないからマウスのボタンは絶対一個じゃなきゃダメだっていう人だったんだよ。

だからこそ、アップルはComputer For Rest Of Usだったんだし、シンプルでビューティフルだったんだよ。

まあ、素人のオイラには、難しいことはわからんけどさ、時代を変えてきた皆さんには、いつまでもカッコいい企業でいて欲しいよな。

2023年3月13日月曜日

追悼、デヴィッド・リンドレー

2023.3.3、鬼才デヴィッド・リンドレー逝く。

それにしても今年は、世代のヒーローたちがどんどん逝ってしまうね。ジェフ・ベック、高橋幸宏、デヴィッド・クロスビー、鮎川誠、バート・バカラック・・

ジャクソン・ブラウンの名盤の影に必ずデヴィッド・リンドレーがいたよね。弾けるのがギターだけではなかったゆえに、ギターヒーローとは呼ばれなかったけど、明らかに弦楽器マスターの方が希少だと思う。

その稀有な才能を堪能できるライブアルバムを残してくれたことが、せめてもの僥倖かな。

ジャクソン・ブラウンの2006年スペインライブを収録したもの。リンドレー自身も歌ってますね。
 

2023年3月12日日曜日

異世界おじさん、ついに最終回

 最終回の放送が延期されるという、視聴者にとってはなんともツラい仕打ちをしてくれた『異世界おじさん』

待った甲斐のある素晴らしい最終回でしたねー。

 

17年間異世界にいて、現実世界に帰ってくるという設定の妙。それだけのことなら他にも同じ設定の作品はなくはないですが、帰ってきた現代の日本こそが「異世界」に感じられるというところがこの物語の凄さではないでしょうか。

今年58歳になる自分にとっても、まるで価値観の異なる父親世代と、これまたまったく違う価値観を持った子供世代との間にいて、「世界」とは何かと考えることがよくあります。

世界はたぶん、自分だけもので、情報のようなものにあまり振り回されない方がいいんだろうなー、と今は思います。

最後の出張

一年間やってきた高校訪問ツアーですが、いよいよ最後の出張となりました。

帯広です。

帯広生まれなんだけど、0歳の時に一年間いただけなんで、まったく思い出とかはないのです。

千歳あたりから高速に乗って、車で行くことが多いですが、アップダウンの大きな道東道では、時々絶景ポイントがあります。


おお!と思って写真を撮って、後で見ると「あれ、こんなだったかなあ」と思うことが多いです。

あと、今度こそ「インデアンカレー」に行こうと思うのですが、なんとなくああいう地元のソウルフードのお店って、お作法がありそうで腰が引けちゃうんですよね。

つい勝手知ったるチェーン店に入ってしまいます。

臆病者です。

2023年3月6日月曜日

オリオンビールみーつけた!

オリオンビールが好きだ。

いつもはサッポロの苦めのビールを愛飲しているが、どこか異国情緒のあるオリオンの佇まいを見つけると、つい買ってしまう。

昨日もスーパーで見かけて迷わず買った。


 エール系で、非常に複雑な味わいを持つビール。美味でした。

【Anthologies #1】心に澱が積もる夜には|大貫妙子『ライブラリー』

 還暦を過ぎ、いつの間にか貪欲に新しい音楽を探すことはなくなった。 それでも、日々を生きていれば音楽に頼りたくなることはあるものだ。そんなとき聴きたくなるのは、アーティストたちの人生が垣間見える<アンソロジー>で、いくつか愛聴盤がある。 誰かの心無い言葉や、諍いに心に澱が募るよう...