2021年12月21日火曜日

NO NUKESのBruce Springsteen

 スリーマイル島の原発事故を契機として、1979年に開催されたコンサート「NO NUKES」。その存在は知っていたし、映画化されたものを断片的には観ていた。

今回、Bruce Springsteenのステージが映像作品化されたということで購入してみた。

NO NUKES、そしてそれを先導し、今も活動を続けているMUSE(安全エネルギーのためのミュージシャン連合)の意義に関しては、爆発的なテクノロジー・イノベーションで先の見えにくく、多様なエネルギー政策の運用が必要と思われる世界の現状に鑑みて、本稿では触れない。


正方形のボックス入り。

当時のNO NUKESコンサートのチケットが復刻されて封入されている、
ブックレットはオリジナルと日本語版の2冊入り。
CD2枚、Blu-Ray1枚の3枚組。







スプリングスティーンのライブ映像なら、BORN TO RUNの30周年記念盤に収録された1975年のハマースミスオデオンLIVEをよく観ていた。











79年、THE RIVER発表直前のタイミングで行われたNO NUKES公演で完成度の高いRock'n Rollショウとして見事な構成を持つRosalita[Come Out Tonight]Detroit Medleyも、75年、BORN TO RUN発表当時のこのLIVEで披露されているものとほぼ変わらないが、それが何度目であろうとも、観ている我々を否応なくロックンロールの夢の世界に引き込んでしまう。

この2演目が、佐野元春のライブ構成に極めて強い影響を与えているのはファンならば誰でも知っていることだろうが、あまりにも「血肉」になりすぎていて、スプリングスティーンのライブを観ると、いつも平静な気分ではいられないほどだ。

また、(おそらく)元祖「孕ませ」ソングであるThe Riverを聴くと、(音楽的にはそうでもないが)甲斐バンドのあの名曲「BLUE LETTER」を思い出させ、日本のロックシーンへの強い影響を改めて実感する。


あらゆる意味で、この時期ボスが作り上げたロックンロール・ショウの素晴らしさは、ロックの歴史の最重要エポックの一つだろう。しかしそれを措いてもこのライブ、クラレンス・クレモンズを喪った今観ると、涙なしでは観られない。

ドラムセットの後ろに左右に分かれて立つボスとビッグ・マンが、アイコンタクトでステージに駆け降りていくところは、それだけでまるで一編の映画のようだ。

ショウマン・シップなんて言葉では到底片付けられない尊い友情が、この奇跡のロックンロールライブの奇跡たる所以だと思う。

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