2015年6月4日木曜日

音楽は時間の芸術なのだから

レコードで持っている音楽を一生懸命CDで買い直していた時期があった。
就職で東京に出た1989年くらいが、アナログでは新譜が出なくなり始めた時期で、引っ越した先でオーディオ機器を新調したとき、レコードプレーヤーは買わなかったから。



自分の家を建てた時、実家に預けっぱなしだったレコードを回収したから、アナログレコードの再生環境も整えた。
結果的に部屋には、同じ音源のレコードとCDが揃ってしまった。

で、両方ある盤はアナログをかけることが圧倒的に多い。
音の鮮度が高く感じられるからだが、有名盤は近年上手にリマスターされているものもあって、そういうリマスターCDを買い直したものなんかはCDで聴いている。


会社員だった頃はだいたい営業で一日中外にいるから、買ったCDはiPodに入れてイヤホンで聴いていた。外出しなくなった今iPodは用済みになってしまったが、PCに取り込んだデータは残っている。時々、カラオケの練習にAmazonでMP3を買うこともある。
常時起動しているPCで手元で音源を扱うのにデジタルファイルは便利だ。
ちまたではハイレゾハイレゾと喧しいが、そのような高音質音源ならPCのスピーカーやヘッドフォンで聴いてもしかたがない。しかしメインシステムに組み込むためにはDACか、ストリームプレーヤーを導入する必要がある。

レコードにCDにデジタルファイル。
音楽を聴くために三種類の再生環境を用意するというのは、いささかシンプルさに欠け、自分のスタイルでないと思うのでハイレゾに踏み込むのは自粛している。

とはいえ今どきは、試聴会などにでかければデジタルファイルの再生音に触れる機会も多い。昨年はマランツの新しいネットワークプレーヤーの音を聴いたが正直感心しなかった。
先駆者であるLinnのDSは素晴らしい音を出していた。
20万円のマランツと140万円のLinnを較べても仕方がないような気もするが、これはまだデジタルファイルでまともな音を出そうとするととんでもないカネがかかるということを意味しているのだろうか。
それともLinnというメーカーそのものに力があるということか。
そのLinnにしても、演奏途中でプレーヤーがネットワークを見失って失音してしまうアクシデントがあった。
このコンピュータ・システムやインターネットの業界は、こういう不安定さを解消しないまま性能だけ高度化させていく傾向があり、どうも信頼がおけない。
ひかり電話なんぞに通信インフラを預ける気になれず、いまだにアナログ回線を保持しているのはそういうわけだ。
業者さんとの大切な日々の連絡は今でもファックスを使っている。

例えば、CDで新譜が出なくなるような事態になってもちっともかまわない。
LPレコードもそういいながら今でも入手できている。
だいたい所有するのが目的ではない。
音楽は時間の芸術で、演奏するのと同じだけの時間が鑑賞するのにかかるのだから、自ずと聴くことのできる限界が決っているし、「聴いてみた」だけでわからないのが音楽というものだ。
自分の経験につれて音楽の聴こえ方は変わっていく。
そういう意味でもやはり音楽は時間の芸術なのだ。
今世の中に流通している音源を賞味し尽くせるほど僕の時間も残っていないだろう。
縁あって入手できた音楽たちと大切に付き合っていきたいと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿