2017年5月9日火曜日

尾崎亜美のファーストアルバム『SHADY』には、すでに完成された尾崎亜美さんがいたよ

今日は尾崎亜美さんのファーストアルバム『SHADY』を。



帯の「第3世代」が何を意味しているのか、ちょっとわかりませんでしたが、松任谷正隆氏の全面プロデュースということでポスト・ユーミンと呼ばれるのは避けられないところだったでしょう。
 しかしそんなコマーシャルコピーはどうでもよくなる完成度の高い尾崎亜美ワールドがここにはありました。

そして豪華な演奏者たち!
帯には書かれていませんが、コーラスにはハイ・ファイ・セットや達郎さん、吉田美奈子さんが参加しています。

一曲目には『プロローグ』と題されたストリングスのアンサンブル曲が収録されています。作曲者の阿部雅士さんは、松任谷正隆氏の小学校時代の同級生だそうで。もしかすると冒頭でメロディを取ったクラリネットは松任谷正隆氏ご本人の演奏かもしれませんね。

B1にデビュー曲の『瞑想』が収録されています。王道の尾崎亜美ポップ。
A2のシングルB面曲『冬のポスター』も実に堂々としたバラードで、 この二曲だけでも尾崎亜美さんがすでにデビューから完成されたアーティストであったことを証明していますが、個人的にはA4の『届かない春』がツボ でした。

サビで繰り返される
私、春に取り残されてしまう
というフレーズの「されて」の「さ」のところで使われる♭5の音階が、たぶん四分の一音ほど微妙に低く歌われて、まさに何かに取り残されてしまう不安を聴いている僕の心に再現してしまう。
音楽的に言えば、ブルーノートという音なのでブルーズの常套句なわけですが、楽曲全体にはブルージーさは希薄。そしてこのフレージングはその後の尾崎亜美バラードで頻出する、もはや尾崎亜美イディオムと言っていい必殺技。
出揃ってますね。
素晴らしいです。


SHADY
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尾崎亜美
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