まずはこのギーガー作のジャケットだ。
メデューサが登場する。
と書くと、あたかも中央の丸い窓から見えていたメデューサの口が現れたように思うが、実際には、
このようになっていて窓も右側の扉と一体になっていて、しかも下の絵とは位置がズレている。どうしてこのような仕様になったのかはちょっとわからなかった。
レコードはこのように収納されている。
そして裏面にタイトル。
BRAIN=脳、SALAD=サラダ(ごちゃまぜ、のニュアンスがある。研究社『英和大辞典』より)、SURGERY=外科手術。これを『恐怖の頭脳改革』という邦題にまとめたレコード会社担当者のセンスがスゴいね。
言葉自体は、ドクター・ジョンの『ライト・プレイス・ロング・タイム』(1973)の歌詞から採られたそうだ。
ELP自身が設立したマンティコア・レーベルからの第一作ということになるらしい。
CDでは、この前作にあたる『展覧会の絵』を持っている。
忠実に作られた紙ジャケに収められたCDには、実際にはこの『恐怖の頭脳改革』以降使われるようになったELPの丸ロゴとマンティコア・レーベルのマークが印刷されていた。
しかし僕にとってのキース・エマーソンといえば、やはりこれ。
サントラ ローズマリー・バトラー
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CDはジャケ違うのね。
サウンドトラックの半分ほどと、テーマ曲『光の天使』をキースが書いている。
その『光の天使』について角川春樹が「賛美歌のようだ」とコメントしていて、さすがの慧眼(耳?)。
『恐怖の頭脳改革』一曲目に収録された『聖地エルサレム』も英国の賛美歌『エルサレム』を編曲したもので、教会音楽には深い造詣があるに違いない。
幻魔大戦という作品が自分にとって特別すぎて、サウンドトラックに参加したキース・エマーソンにも特別な感情を抱いていたわりには、なぜかELP自体にはハマりこんでいかなかったが、 2005年くらいだったと思うが自分のバンドを率いてキース・エマーソンが来日した時には観に行った。
噂には聞いていたが、後半、オルガンを倒して寝転がって弾くキース・エマーソンはまさに狂気。「誰もキースのようには狂えない」と言ったのは誰だったか。
『恐怖の頭脳改革』での歌唱はほぼベースとギターを担当するグレック・レイクによるもので、この人のアツすぎないが圧力のある歌が、キースの熱狂とうまく融け合っているのがこのバンドのいいところなのかも知れない。
で、グレック・レイクといえば、やはりコレでしょう。
今回の「素人が聴くプログレレコード」特集にはキング・クリムゾンが登場しない(アナログレコードを所有していないからです)ので、ここでコラボしてみた。
今日『恐怖の頭脳改革』を聴いたことで、昨日聴いたピンク・フロイドには英国トラッドフォークの影響があったのだと聴き取れるようになった。
ELPはどちらかというとクラシックの匂いがして、それをロックの語法に積極的にコンバートしていこうという指向が見られる。
二曲目の「トッカータ」がアルベルト・ヒナステラ作曲の「ピアノ協奏曲第1番第4楽章」のアレンジというのだから間違いないだろう。
ちなみにヒナステラはアルゼンチンのクラシック作曲者で、若き日のアストラ・ピアソラに音楽を教えた人らしい。
タンゴの枠を超えていったピアソラを育てた人らしく、アレンジの許可をもらいに家まで来たキース・エマーソンの演奏を絶賛したと伝えられる。
このアルバムには、プログレッシブ=進歩的と言いながら、伝統的古典音楽のエッセンスが横溢している。
この倒錯的な現象に、音楽というものの本質が隠れているような気がしてならない。
うまくは言えないが。
レイク&パーマー エマーソン
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