帯にあるように、1977年はレコード発明100年記念だったんですね。
1877年に作られたレコードはエジソンの「フォノグラフ」という円筒式のもので、現在使っている水平円盤式のものは、その10年後エミール・ベルリナーが開発した「グラモフォン」まで待たなければなりません。
そしてこの年、東芝のエキスプレス・レーベルも10周年だったそうです。中学の頃、好きだったアーティストが甲斐バンドとオフ・コースだったので、想い出深いレーベルです。
さて、アルバムはボサノヴァの『太陽のひとりごと』から始まります。男性ボーカルとのユニゾンはリズム、音程、呼吸ともに完璧に同調していてスゴい!これぞユニゾン。
デュエットしているのはトワ・エ・モアの芥川澄夫さん。なるほど、という感じです。
歌がうまい、というのはこういうことなんでしょうなあ。
このアルバムには男性ボーカルとのデュエットがもう一曲入っていて、南佳孝さんと『うわさの男』という曲を歌っています。
ドラマ仕立てで聴いていて楽しい楽曲でした。
ユーミンが名付けたという「マインド・ドロップ」というタイトル通り、雨は本作のテーマになっていて、セカンドシングルのA面『旅』B面『初恋の通り雨』ともに雨が歌い込まれています。このB面曲は派手さはないが長く聴き続けられる佳曲と思います。
これみよがしでないコンセプト・アルバムという感じもとてもいいです。
演奏的にはベースに聴きどころが多く、クレジットを見ると高水健司さんと後藤次利さんで、こちらもなるほど、という感じ。
豪華なホーン・アレンジは松任谷正隆氏の手腕でしょう。
昔NHK-FMで正隆氏がDJをやっていた頃、僕はギターがあんまり好きじゃないんだとおっしゃっていたのを思いだしましたが、ファーストに続きギターには鈴木茂が起用されていて、抜群の裏方プレイを見せています。こういうギターの使い方が好きだということなんでしょうね。
尾崎亜美
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