2017年5月11日木曜日

尾崎亜美『ストップモーション』:初セルフプロデュースの充実作に華を添えた寺尾聰がめっちゃシブい

尾崎亜美さんのファースト、セカンドと聴き進めてきました。
尾崎亜美のファーストアルバム『SHADY』には、すでに完成された尾崎亜美さんがいたよ
尾崎亜美『MIND DROPS』:雨のコンセプト・アルバム
そしていよいよサード・アルバム『ストップモーション』です。


本作からご本人のアレンジとプロデュースになりました。
佐野元春が、二作目まで伊藤銀次さんとアルバムを作って、次の『サムデイ』で大きく花開いたのと同じような感触がこのアルバムにはあります。
本人直筆のメッセージにも「赤ちゃんを産んだような気分」と記されていました。

 
ミュージシャンの起用は前二作の路線を踏襲していますが、ギターに松原正樹さんが加わって、参加曲三曲では、耳を奪われる存在感のあるオブリガードやソロが弾かれています。
コーラスには、まだ小田さんと鈴木さんの二人だけだったオフ・コースがクレジットされています。そして、後にそのオフ・コースに参加することになる松尾一彦が得意のハーモニカで参加して、名曲『生まれ来る子供たちのために』の原型とも言いたくなるプレイを聴かせてくれます。

楽曲的には、なんといってもハイライトは南沙織さんに提供して大ヒットした『春の予感〜I've been mellow』でしょうか。
しかし個人的には寺尾聴さんが参加した『来夢来人』を挙げたい。
クレジットにはAkira Terao : 「memories of wind」とあって、それだけでは何をしているのかわかりませんが、聴けば一目(耳?)瞭然。
間奏部で楽器のメロディの代わりに、喫茶店と思われる暗騒音の中、尾崎亜美さんの
「お砂糖、ひとつだったよね?」
という台詞に応えて、寺尾さんのあの優しい低音で一言、
「うん…」
と、三点リーダまで聞こえてくる余韻ある名演が聴けるではないですか!

どんなソロより印象的な間奏部ですが、これだけではありません。
もう一曲、『ジョーイの船出』という曲にもコーラスで参加しているのですが尾崎亜美さんの歌にコーラスをつけるのではなくて、こちらも間奏部でソロとしてのスキャットを披露しているのです。
スターですな。
アルバムの最後に、寺尾聴さんに特別な献辞を捧げているのもむべなるかなです。




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尾崎亜美
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