2017年5月12日金曜日

スティーリー・ダン『キャント・バイ・ア・スリル』:デヴィッド・パルマーの歌、意外にイイじゃん

先輩からスティーリー・ダンのアルバムを一揃い戴いたので、この機会に聴き直しをしてみようと思ってファーストの『キャント・バイ・ア・スリル』を朝から磨きました。
タイトルの『Can't Buy A Thrill』はボブ・ディランの『悲しみは果てしなく(It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry』の歌詞の一行目、
Well, I ride on a mailtrain, baby, Can't buy a thrill
から来ているそうです(wiki)
CDのブックレットに掲載されている片桐ユヅルさんの翻訳では、
おれは郵便車にのるんだ、ベーブ いいことに金がはらえない
となっていますが、普通に「スリルは金で買えないからね」くらいの意味なんだと思うんですがどうなんでしょうか。


このジャケは卑猥であるということで、発売当時スペインではバンドの写真に差し替えられたそうです。

スティーリー・ダンの音源はもちろんCDですべて持っているわけですが、1985年の最初のCD化は中音域にコンプレッサーっぽい癖があって、ちょっと不自然に聴こえますが、それはそれでこの時代のCDの音ッて感じでした。


うん、やはりレコードの音は素直でいいですね。
音質比較は、リマスタを持っている『AJA』とSACD盤を持っている『GAUCHO』の時にでもやります。



ファーストのスティーリー・ダンは6人編成のバンドで、メンバーにはボーカル専業のデヴィッド・パルマーという人がいますが、専業なのに、単独でリード・ボーカルを取っている曲が二曲しかない。そのせいか、パルマーはこのアルバムだけで脱退しています。

スティーリー・ダンより先に、ドナルド・フェイゲンのソロアルバム『ナイトフライ』に出会ったから、00年代に聴き始めた頃フェイゲン以外の曲はあまり真剣に聴いていなかったけど、こうしてあらためて聴いてみるとフェイゲンが歌っていない曲もなかなかいいですね。
A2の『汚い手口(Dirty Work)』とB3『ブルックリン』がパルマーのボーカル曲ですが、どちらも繊細で綺麗な声で素朴なメロディが歌われる佳曲です。
A4の『真夜中の放浪者(Midnight Cruiser)』に至っては、ドラマーのジム・ホッダーが歌ってますが、シングルでもよかったんじゃないかと思うほどのイイ曲。

パルマーの歌ってる曲には、スティーリー・ダンの持つ「都会的」というパブリック・イメージよりも、ザ・バンドやイーグルスのようなルーツっぽい伸びやかさのようなものも感じるんですね。
その意味で、この『キャント・バイ・ア・スリル』は、ザ・バンドやイーグルスのように全員歌える、という特性を持っていた最初期のスティーリー・ダンの多様性を楽しめる一枚きりのアルバムといえるかもしれません。

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