2015年3月10日火曜日

朝のレコード:クリストファー・クロス「南から来た男」

先日雑誌Penの「最後に聴く曲」特集でポール・スミス氏のカッコいい朝の習慣を知って以来、僕も仕事場に降りる前にレコードを一枚聴くことにしている。
Girasole Records Blog「最後に聴く曲」

今朝のレコードは4月に札幌にも来てくれるクリストファー・クロスのファースト「南から来た男」



このアルバムはSide-Bがいい。
一曲目の「風立ちぬ」は、ローウェル・ジョージに捧げられた一曲だが、ゲストボーカルのマイケル・マクドナルドが参加している。わずかワンフレーズのコール&レスポンスでマイケル・マクドナルドらしさが伝わってくる声と歌唱が本当に素晴らしい。

ハイライトは次の二曲目「ライト・イズ・オン」で、ギター・ソロがラリー・カールトン。二箇所にソロが入っていてどちらもスムースだがだんだんヒートアップしていく構成力が冴える良いソロだ。
コーラスにはドン・ヘンリーとJ.D.サウザーが参加していて、通常のコーラス部分ではあくまでも目立たぬように厚みだけを加えるのだが、メロディがマイナー・キーになった時にぐっと感情が入っていくイーグルス的感触をこの曲に加えている。
あれはきっと理論とかではなく、彼らの身体が持っている音楽的資質なのだろうと思う。

ラストを飾る「ジゴロの芸人」はまるで6分間のドラマ。
いつもの淡々とした語り口から、人生の悲哀のようなものが零れ落ちてくる。
この曲に豊かなイマジネーションを付け加えているドラマティックなギターソロを弾いているのはなんとエリック・ジョンソンだ!
テクニカルなのによく歌う彼のギターは、トーマス・ラミレスのサキソフォンにスイッチしていく瞬間の繋ぎ目が一瞬わからなくなるほどだ。
このソロの間では終始冷静なハイトーンボイスを維持してきたクリストファー・クロスの声が少しだけ熱を帯びていく。
この傑作の幕を閉じるにふさわしい名唱と思う。


南から来た男
南から来た男
posted with amazlet at 15.03.09
クリストファー・クロス
ワーナーミュージック・ジャパン (2006-07-26)
売り上げランキング: 111,555

0 件のコメント:

コメントを投稿