2023年1月25日水曜日

レコード棚を総浚い :『Billy Joel / Streetlife Serenade』

974年のビリー・ジョエルのサード・アルバム、と言って今回も迷いが生じる。
今回聴いている日本盤は、『ストレンジャー』の大成功を受けて1978年に発売されたものだからだ。

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『ピアノマン』程度の成功では、日本のレコード会社には確信が持てなかったということなのだろうか。

本国ではこのアルバムから『エンターテイナー』がヒットしている。
印象的なシンセの音から始まる一聴陽気なこの曲は、「僕のレコードなんて、豆の缶詰みたいに、すぐディスカウントの棚に入っちまうさ」と歌って、売れてナンボのミュージシャン稼業の悲哀を歌っている。
それがなんとも皮肉だ。

ビリー・ジョエルのアルバム制作は、いつもコンセプチュアルだが、このアルバムには2曲のインストゥルメンタル曲が含まれ、その色がいっそう濃い。
長くライブを締めくくる曲に使われた『スーベニア』からインストゥルメンタルの『メキシカン・コネクション』で幕を下ろす流れは、このアルバムを聴くという体験を特別なものにしている。

ヒット曲がナンボのもんじゃいと言わんばかりのビリーのフラストレーションが、活動の場をロスから移すきっかけになったのだろうか。
次作からビリーのニューヨーク時代が始まる。

 

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