2023年1月16日月曜日

レコード棚を総浚い :『The Beatles / LET IT BE』

Bay City Rollersに夢中だった小学生の頃、友だちの一人が「ローラーズもいいが、これもなかなかいいんだ」と、お姉さんのレコード棚で見つけたというシングルをかけてくれたのが、ビートルズの『LET IT BE』だった。
ラジオでもビートルズの曲はたびたびかかっていたから、『イエスタデイ』ぐらいは知っていた。

中学に入ると、甲斐バンドに出会い、オフコースに出会い、自分で歌を作るようになっていった。この時期、洋楽はディープ・パープルとレッド・ツェッペリンだった。

ビートルズをあまり深く体験せずに大人になってしまった僕は、それがコンプレックスだった。
その頃にはビートルズの中古レコードは総じて高価だったし、権利の問題などがあったのか、CDはリマスターされないままで、再入門の機会もなかった。

転機は、2009年に訪れた。
22年ぶりのリマスターで発売された全アルバムを網羅したボックス・セット。
愛情のこもった装丁のボックスを僕は購入し、『Please Please Me』から順に繰り返し聴いていった。

相変わらず高価なままのビートルズのレコードには手が出なかったが、知人からレコードが集まるようになって、その中にこの『LET IT BE』と赤盤、青盤があった。

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『LET IT BE』の中では、B面トップの『I've Got A Feeling』が好きだ。
ジョンとポールが作った別々の曲を繋いで一曲に仕立てた曲は他にもあるが、後半に挿入されたジョン作の『Everybody had a hard year』にポールの『I've Got A Feeling』のメロディがそのまま重なっていく作為のなさに、音楽を演奏することの原初的な楽しさを感じるからだ。

その意味でも、作為によって音楽の素晴らしさを追求したフィル・スペクターの影響を剥ぎ取ろうとした『LET IT BE…Naked』の存在には相応の意味がある、と僕は思う。

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