2013年9月12日木曜日

ジョルディ・サヴァール、ヴィオラ・ダ・ガンバ リサイタルに行ってきた

昨夜、札幌コンサートホールKitaraにて開催された、ジョルディ・サヴァール氏によるヴィオラ・ダ・ガンバ リサイタルに行ってきた。


ヴィオラ・ダ・ガンバというのは、もう今は使われなくなった古い楽器で、大きさからして見た目はチェロのように見えるが、細部が随分違った仕様になっていて、もちろん出てくる音も随分違う。

まず、地面との接点となる「ピン」がついていないため、楽器を両足に挟んで弾く。
ダ・ガンバ=脚の、と呼ばれる所以である。

そしてチェロが4弦であるのに対して、ヴィオラ・ダ・ガンバは7弦。
重低音からかなりの高音までカバーしている。

そしてクラシックの楽器には珍しくネックにフレットが打ってある。
このおかげで、ギターのようにフォームで押さえっぱなしのまま(つまり各弦の音が伸びたまま)アルペジオ=分散和音が弾ける。

そういう意味で、この楽器は今日のピアノが果たしている役割をよく担っている。
広い音域で、単体で広範な楽曲を弾きこなせるし、フレッテッドの気安さで娯楽のための器楽演奏に興じることができるわけだ。
この楽器が盛んに使われたのは16~18世紀というからバロック期の民衆の音楽の担い手だったのではないだろうか。

それを証明するように、昨夜ジョルディ・サヴァールが弾いてくれた楽曲は、どれも素朴で、アメリカの農家で弾かれたフィドルによるカントリーソングの源流のような楽曲ばかりだった。
珍しい楽器だからということで出かけたが、古いヨーロッパの音楽が長い旅をして、現代のポピュラー・ミュージックの源流となった感覚を肌で感じることができ、非常に有意義な一夜だったと思う。

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