もしこの歌を聴いたことがなくても八神さんの曲だとわかるメロディのオリジナリティは、やっぱスゴいと思う。
訊くと徳永英明がカバーしたバージョンだそうだ。
そんなことがあって、古本市でレコードの箱を漁っていて八神さんのアルバムを見つけたんだから、そりゃ運命でしょ、と思わず買ってしまった。
82年発売の4thアルバム『夢見る頃を過ぎても』
これはアタリだった!
針を落として、声が出てきた瞬間、「うまいっ!」と心で脱帽した。
なぜかレコードだと歌唱の詳細なニュアンスが聴こえてくるが、繊細なヴィブラートの使い分けや、滑らかでダイナミックなレガートにはため息が出る。
B3の「I'm A Woman」に聞き覚えがあったが、YAMAHAスピーカーのCMソングだったらしい。
松任谷正隆のアレンジで、松原正樹さんのギターが当時のポップスの王道的サウンドを聴かせるが、B1の原田真二提供曲が、自身のギターとコーラスを含め少し変わったアクセントを添えている。
埋もれないミュージシャンシップを持った人だね。
さてこの『夢見る頃を過ぎても』というアルバムタイトルは、僕にとっては吉田秋生さんの漫画(大傑作!)を思い起こさせるものだが、他にもこのタイトルのついたドラマや、本、楽曲などがある。
どのあたりがオリジナルなんだろうか、と調べてみたが、たぶんこれがそうだろう。
1935年のMGM映画『ザ・ナイト・イズ・ヤング』の主題歌として、主演のラモン・ナヴァロ、イヴリン・レイが歌った『When I Grow Too Old To Dream』(作詞オスカー・ハマースタインⅡ世、作曲シグムンド・ロンバーグ)
それにしても邦題だけが独り歩きして、いろいろな作品に使われるなんて、この曲に『夢見る頃を過ぎても』という素敵な邦題をつけた人はいったい誰なのだろう。
肝心の映画はまったく売れなかったそうで、話題になりにくいが、この曲だけはいろんな人に歌い継がれている。
ナット・キング・コールの『AFTER MIDNIGHT』(1956)に収録されたバージョンが最もよく知られているようだ。
ナット・キング・コール
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ダイアナ・クラールのナット・キング・コールへのトリビュート・アルバム『ALL FOR YOU』にも収録されているという情報があり、手持ちの盤を見てみたが入っていなかった。
アメリカ盤にのみ未収録とのことで、これから買われる方は国内盤を買うのが無難だろう。
ダイアナ・クラール
ユニバーサル ミュージック (2015-12-02)
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八神純子
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