よく行く中古レコード店でいつものようにレコードを漁っていると、見知らぬジャケットにクインシー・ジョーンズの名前を見つけて手に取った。
なんてことはないモノクロームのジャケットだが、なぜかサキソフォンを吹く顔にただならぬ迫力のようなものを感じて、連れ帰った。
クインシー・ジョーンズの完成度の高いスコアに乗せて、変幻自在に飛び回るサキソフォンには、そのスピードに似合わぬ安心感があった。
そのジェットコースターに乗っているのに、ちっとも怖くない感じがチャーリー・パーカーによく似ているな、と思った。
ソニー・スティットの名前は知らなかった。
調べてみると昔のジャズミュージシャンには珍しい事ではないものの、彼も壮絶な薬物との戦いをギリギリのところで潜り抜け、最後の最後までステージに立ち続けた人だった。
薬物使用の過去のために、なかなか入国できなかった日本で、旭川のファンで一曲だけ吹いたのが最後の演奏になったという。
ここまでの覚悟と気迫があってこその、あの演奏だったのだな、とレコードを聴きながら感じて、音楽というものの不思議さを思った。
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