2013年11月7日木曜日

モーツァルトのケーゲルシュタット・トリオを聴く

久しぶりのクラシックはモーツァルト。
「ピアノ、クラリネットとヴィオラのための三重奏曲」変ホ長調 K.498だが、ケーゲルシュタット・トリオの愛称の方が通りがいいか。
オーディオの先輩が、レコードを貸してくださってはじめて聴いた。



ケーゲルシュタットとは、ボウリングの前身になった遊戯だそうだが、このゲームに興じながら書いたのが由来という。
友人のクラリネット奏者アントン・シュタットラーらとの仲間うちで演奏するために作曲されたそうだが、なるほどモーツァルトはヴィオラも好んで弾いたそうだから、クラリネット、ヴィオラ、ピアノという変則構成になっているのか。

球技に興じながら、友人達と演奏するために書いた曲。
たしかにそうようなリラックスしたムードに満ちている。


このレコードには、クラリネット五重奏曲も併録されている。
いくつか持っているこの曲のどの録音よりもゆったりとした演奏だった。

よく聴く、ベルリン・ゾリステンの演奏が、クラリネットという比較的後期に発明された楽器の特徴である音域による音色の変化を充分に表現しようと技巧的に演奏されるのに対して、このレコードでは、あくまでもこの楽曲のメロディの美しさを抑制された表現で聴かせようとしているように思う。

フィリップス・レーベルのこの盤のクレジットにプロデューサーの名前は見えないが、前半のケーゲルシュタット・トリオという楽曲の成り立ちが持つモーツァルトのリラックスしたプライベート・ミュージックの側面を、有名曲のクラリネット五重奏曲にも敷衍してみせて、音楽の奥深さを教えてくれる良企画盤だと思う。

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