若い頃から野心はなかった。
なにかで一番になったこともないし、どうしてもこの道でなければ、という強い思いも抱いたことはない。
だからずっと、慎ましく穏やかな老後に強い憧れを抱いていた。
でも実際に近づいてみると、ただ穏やかに生きていくことはとんでもなく難しいのだと気付かされることはいくらでもあって、不安は大きくなるばかり。
そんな気持ちで街を歩いていたら、書店の平積み台からこの本が僕を呼んでいるのに気がついた。
その声に従って家に連れ帰り、一気に読んだ。
心に巣食っていた不安は、不思議なことに消えていた。
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