1975年、私が小学四年生の時、学校にローラー・ハリケーンが吹き荒れた、と言っても今の人たちにはわからないだろうが、スコットランドのBay City Rollersというロックバンドが大人気だったのだ。
友達の家で聴いたBay City Rollersの音楽も素晴らしかったが、レコードがくるくる回って音楽を奏でる、まるで魔法のような佇まいにヤラレた。
家にはレコードを聴くための環境がそもそもなかったのだが、ある日父は、息子の願いに応えて東芝のモジュラー・ステレオを買って帰ってきた。
友達から借りたレコードをモジュラーステレオで再生し、スピーカーの真前にラジカセを置いて、その上に毛布を被せて録音しては何度も聴いた。
そのように私のオーディオ遍歴は始まって、ONKYO、パイオニア、DENONといくつかのアンプを使ってきたが、 こいつとは一生添い遂げたいと思うのは2006年に購入したMcIntoshのアンプたちだ。
プリアンプのC2200とパワーアンプのMC275。ともに真空管アンプである。
ヒューズが飛んだり、真空管が飛んだり、いろいろあったが、今でも良い音を鳴らしている。最近換えた『PSVAN』という中国製の真空管も絶好調だ。以前は中国製なんて、と思っていたが、いろいろと認識を改めるべき時期に来ているようだ。
原音再生ではないのかもしれない。でもなぜかコンサート会場で聴く、ある種の「熱さ」を帯びた音が、このアンプからは出てくる。
何より、ルックスがいい。
たぶんこのアンプのルックスのせいで、音の印象も狂っているのかもしれないが、それで構わないと思う。