83年発売の3rdアルバム『J.I』は僕にとって特別なアルバムで、色んな意味で転機となった予備校時代を支えてくれた一枚だ。
→「僕のSoundtrack of Lifeに刻まれた音」
予備校にいる間に発売された次作『Personally』は大学に入ってからレンタルレコードで聴いた。カセット資産を処分した時に買い直さなかったアルバムの一枚だが、こうして30年以上の時を経て当時のままの音で再会できるのだから本当にLPレコードというメディアはすごい。
オープニングは林哲司作の軽快でオールド・スクールなポップソングで、『J.I.』の路線を継承しているように思えるが、『J.I.』が夏歌のイメージならこちらは少し冬の匂いがする。
それを形にするのがユーミン作(したがってアレンジも正隆氏)のA2『オーシャン・ブルー』 だ。タイトルで夏を装うが、サウンドは冬のユーミン。松原正樹のギターが華を添える。
A面ラストの名曲『誰がために・・』を聴き終え、B面に進むと、少し様子が変わってくる。
B1『レイニー・ロンリネス』とB3『ジェラシーズ・ナイト』で秋元康&筒美京平先生のモロ歌謡曲フレイバーを放つ。
後にカバーシンガーとして開花し直す稲垣潤一を予感させる録音。
秋元康は、A3で『振り向いた時そこに見える階段を数えたことがあるだろうか』という、当時としては見慣れない長いタイトルの曲を作詞していて、これが後に長いタイトルのライトノベルが量産されるキッカケになり、ぐるりと廻ってご自身のAKB48『鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの 』に繋がっていく、などということはありません。嘘です。言ってみたかっただけです。スミマセン。
僕にとってのハイライトは最終曲『もう一度熱く』で、バラードのメロディでは一番好きな作家安部恭弘の作曲。来生えつこの粘つかない歌詞もいい。
稲垣潤一
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