今回の北海道オーディオショウで最初に訪れたのはアクシスのブースだった。
はじめてお邪魔した年から一貫してウィルソン・オーディオのスピーカーにエアーのセパレートアンプでデモをしていた。
今回のウィルソンのスピーカーはまだ雑誌にも載っていないという新製品だったので、お願いして写真を撮らせてもらった。
製品名は聞き損なってしまった。
一見するとソフィアのツイータをアレクシア風に角度を付けてセッティングした感じ。
まあ、技術的にどうこうというよりはレコーディング・エンジニアであったデヴィッド・ウィルソン氏の感性が作り出す「真っ当な」音がこのブランドの魅力だと思う。
ソフィアや昨年聴いたサブリナに較べると、高音部に厚みというか落ち着きというか、そういうものが加わって確かに品位が上がっている感じがする。
キャラクタとしては少し重厚寄りで、去年聴いたサブリナの軽快さが好ましいものだったことを逆に思い出してしまった。
それでも今回出展されたスピーカの中で一、二を争ういい音だった。
次に、ステラのブースへ。
実は今回一番楽しみにしていたのが、この会社で扱っているVivid Audioの新作B1-Decadeだ。
昨年はG3 GIYAというスピーカーがあまりにもいい音で鳴っていたので、新作にも期待していたわけだが、結論から言うと期待はずれ。
アインシュタイン社のセパレートアンプでドライブしていたが、どこか詰まっているようなコモッたような音がしていた。
B&Wの800D3に関しては別稿にて詳述している。
NOAのブースではソナス・ファベールの新作、イル・クレモネーゼをブルメスターの大きなパワーアンプでドライブしていたが、これがソナスらしからぬ軽い音。
もうひとつの特徴が音像の大きさだが、こちらはその通りだった。
デモが終わってシステムを見ると、プリアンプがなくてパッシブのボリュームを繋いでいた。
なるほどね。
ブルメスターのプリでも繋いでおけば相当迫力のある音を聴けただろうと思うと少し残念だ。
エソテリックのブースではアバンギャルドのDuo XDという新しいモデルを鳴らしていた。
以前違うモデルを聴いたときは、音像ばかり大きくて、ホーンの風切音も気になって仕方なかったが、かなり練れてきてはいると思う。
ジャズ喫茶なんかでアツい音を聴かせる時なんかに、こういうスピーカーもいいのかもしれない。
見た目のインパクトに似合う雰囲気のある音。
ただこれ絶対部屋に入らないから。
最後に回ったのがエレクトリのブースで、今年もマジコの新作を持ってきてくれた。
今までの金属筐体にカーボンをプラスしてさらに強度を追求した「M3」というスピーカー。
しかし、記憶に残っているのは、マジコ社で最も小さいS1 Mk-2というモデルで、上級機のM3と音の姿がまったく変わらない。その上で寛いだ軽やかさの雰囲気も纏っている。
ナイスサウンド!
徹底的に物量投入して、どんな入力を入れてもビクともしないM3では、パコ・デ・ルシアの無名時代の激しいフラメンコの実況盤がかかったが、これには本当に驚いた。
他の機械でこの音量が出てきたら多少不快になると思うが、このスピーカーではそれがない。
揺るがない。
歪まない。
そのようなスペックに支えられたM3の美点にも関わらず、S1 Mk-2の音に理屈でない好感を感じる。
スピーカーを選ぶというのはそういうことだと思う。
それは伴侶を選ぶことに似ていて、違う音が聴きたいから、という理由で簡単に取り替える気持ちになれない。
それでも恋に落ちれば、いろんなことを犠牲にして替えるかもしれない。
そうか、試聴会ってお見合いパーティーみたいなもんなんだな。
vol.1「B&W 800D3」編
http://girasole-records.blogspot.jp/2016/10/2016-vol1b.html
vol.2「ネットワークプレーヤーへの換え時は来たか」編
http://girasole-records.blogspot.jp/2016/10/2016-vol2.html
vol.3「スピーカーの話をしよう」編
http://girasole-records.blogspot.jp/2016/10/2016-vol3.html
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