今回各出展者に与えられたデモ時間は30分だった。
その中で、B&Wの新製品発表には60分の持ち時間を与えられている。
マランツの持ち時間をふたつ分繋いでのスペシャルイベントという格好だ。
まあこの特別扱いも仕方ないだろうと思わせる貫禄が、このB&W800シリーズにはあると思う。
世界中のスタジオで長く愛用されているモニタースピーカーで、個性的でもないし、饒舌なところもないが、非常に、というよりは異常に完成度が高い。いわば完璧なスピーカー。
バージョンアップする必要なんてあるんだろうかとも思う。
聴き比べて音が違っていたとしてもどちらもいい音だとしか感じないだろう。
というわけで、簡単に視聴結果を。
今回は803と802のデモだった。
新しい803と802は、前バージョンとは異なり、単純なサイズ違いになっている。
最初に小さい方の803を聴いた。
直前に聴いていたのがソナス・ファベールの880万円もするLILIUMという機種。
豊かすぎるほど豊かな低音で、実に見事な聴き応えのある音なのだが、少し音像の大きさでリアリティを損なう嫌いがあった。
だから、というわけでもないだろうが、803が奏でる音像はパーフェクトな大きさで、細部の隅々まで繊細に表現し尽くしている、と感じた。
200名は入りそうな大きな宴会場で鳴らしてまるで不足がない。
音色も充分艶やかで魅力的に思えた。
システムを大型の802に繋ぎ直した。
基本的に同じ音だが高音部にきらめきが付加され、若干低音に膨らみが出た感じ。
デモンストレータは、このシステムは6畳から12畳の部屋では狭すぎてうまく鳴りませんと言っていた。
ということはだ。
803は狭い部屋でも広い部屋でも鳴る。
802は音に若干量感が出るが、狭い部屋では鳴らない、ということになる。
803買いでしょ、ということだ。
ちょっと変わった外観に見えるがプロポーションには無理がなく、細部のデザインに手抜きはない。
質感も高く、部屋に置くのに、これほどいろいろ考えずに済むスピーカーもないだろう。
ちょっと褒め過ぎな気がするが、欠点が見当たらないので仕方がない。
強いて言えば、一目惚れで視聴なしで買いたいと思うスピーカーではない、というところか。
長く愛用するオーディオ機器には、最初に出た一発の音でノックアウトしたり、また設計者のコンセプトをひと目で伝えるデザインを纏っていたりするものだが、B&W800シリーズはそういうスピーカーではないと思う。
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