2009年アトランティック・レコードの肝入りでデビューしたアイルランドの22歳ローラ・イジボア。
デビュー前からアレサ・フランクリンやジェイムス・ブラウンのオープニングアクトを務めてきたという期待の新星にアトランティックはこのデビュー盤のレコーディングになんと4年を費やしたという。
フィメールボーカルのお気に入りを続けて紹介してきたがこの盤にトリを取ってもらおう。
それだけの内実を伴った名盤だと思う。
リード・トラックの『SHINE』が素晴らしい。ファルセットからチェストボイス、そしてエッジボイスまで七色に融通無碍に変化するローラの歌声のサンプルブック。
続く楽曲を聴き進めば、ソウルの伝統に寄り添ったローラ自らが手掛けるソングライティングに気持ちが引き寄せられていく。
奇を衒ったところのない王道でありながら、声の表現に頼り切ったありきたりなメロディになっていないところも好感が持てる。
それにこのCD、実に音が良いのです。
リズム・セクションの生々しさはハイハットの表情を聴けばわかるし、音楽のスタイルはトラディショナルだが、ギターの音が現代のアンプで録られているのがわかるほど分離が良い。
目の前で演奏しているようなピアノの音に乗せたバラードはまさに音楽の愉楽。
この人、これ以降作品をリリースしていないようですが、何度聴いても簡単には飽きないと思うので音の良いCDでぜひ。