『DUNE 砂の惑星 PART 2』
公開日に駆けつけたかったが叶わず、本日観てまいりました。
今回『PART 1』もアマプラで観直して準備万端で臨んだ。
1・2とも2時間半を超える大作で、映画館で観るには少々しんどい尺だが、あの難解なドラマをよくぞここまで明快でスペクタクルに描いたものだ。
いい意味で『砂の惑星』マニアではない感じ。
レベッカ・ファーガソン演じるポールの母レディ・ジェシカが美しすぎて、ちっとも魔女に見えないのと、フローレンス・ピューの皇女イルーランが上品すぎてちっとも高慢チキでも憎たらしくもなかったのも、今回の映画の「らしさ」のような気もする。
毎回出ればすべて攫っていくクリストファー・ウォーケンが今回あまりオーラが出ていなかったことは気になった。体調など崩していなければいいのですが。
デヴィッド・リンチ版と比較してみれば物語の改変度は小さなもので、映像技術の進化の貢献度も大きいだろうが、ポール・アトレイデスが救世主になる過程に物語を絞りこめたところに勝因があったように思う。
ダンカン・アイダホの描かれ方や、スパイスの宇宙航行での使われている様子とか、原作ファンなら、そこ大事なとこじゃん!と言いたくなってしまうこだわり要素を、わりとサラッと流すことで、リンチ版の二の舞を避けている(失礼!)のだろう。
時代的な変化もあるのかもしれない。
原作の新訳刊行時に再読した時は、キリスト教とイスラム教の歴史的軋轢を下敷きにしたものという認識だったが、今回はロシア的価値観と西欧との相剋に似たものを感じた。
ハルコンネン当主の名がウラディミールであったことも多少影響しているのだろうか。
それにしてもあまりにもよくできた脚本故なのか、帰ってから酒井先生の新訳をパラパラめくっていくと、あんなに難解だと思っていた原作がスーッと頭に入ってくるではないか。
新訳がよくできているというのもあるが、やはり映像の力は大きい。
現在原作の新訳化も順調に進んでおり、映画公開に合わせて、第3巻『砂丘の子供たち』も無事刊行された。
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今回の映像化で、『スター・ウォーズ』も『風の谷のナウシカ』も、この作品世界から非常に大きな影響を受けたんだなあと改めて認識できた。
今回の新訳シリーズは、できればフランク・ハーバートの原作全作品を刊行してもらいたいものだ。