2023年3月4日土曜日

ぼくのポルシェ

小学4年生のとき、おばあちゃんにおねだりしてタミヤ製のプラモデル『PORSCHE 934RSR』を買ってもらった。5000円くらいしたと思う。

当時の自分の技量ではうまく作れず、いろんなところを誤魔化してなんとか形にした。

それが気にかかって、高校生くらいまで手を入れ続けたが、そのことで却って傷は広がり、 長い時間をかけてそのプラモデルは僕に深くてリアルな教訓を与えた。

大学に行くため実家を出る時、諦めがついてそのプラモデルを捨てたが、その教訓は僕の中に残り続けた。ビジネスマン時代、周囲が焦れるほど完全な準備ができているかを見極め、慎重すぎるほど慎重にことを運び、時にはそれでチャンスを逃すこともあった。それでも対症療法を重ねて傷が残り続けるよりはマシだと思い続けた。

そして僕は『PORSCHE 934RSR』自体のことも忘れていなかった。

会社を辞めてセミリタイア時代に入る時、僕が真っ先に手に入れたのは、あの『PORSCHE 934RSR』だった。時を経てその商品は12,000円ほどになっていた。

長い時間をかけて、頭の中でシミュレーションし続けたプラモ製作。生来の不器用さゆえ、今回も完璧とはいかなかったが、2回目の製作は、その後の修正を要求しなかった。

 

完成させてから今年で16年になるが、今でも机の真横に鎮座している。時々磨いてあげるが、色褪せない魅力がある。

フェルディナンド・ポルシェ博士が、ヒトラーのために作った国民車をルーツに持ち、現在のラインナップにも面影を残す永遠のデザイン。

おそらく実車を入手する機会は一生あるまいが、僕の心をデザインした大切な一部として、一生残り続けるだろう。

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