2019年12月29日日曜日

2019年、今年の私的小説ベスト3

2019年も長く愛着を持ち続けられそうな小説にたくさん出会った。
まずはなんといっても、アメリカSFの女王コニー・ウィリスの新刊「クロストーク」でしょう。

クロストーク (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
早川書房 (2018-12-27)
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まことに所有欲をくすぐる装丁がまず素晴らしい。
そのせいもあってか、もしかしたらウィリス作品で初めてラブ要素に萌えたかもしれない。それにしても電車でこの本を読んでいる間中、もしかして僕の考えていることを、周囲にいる乗客に本当に覗かれていたらどうしよう、という考えに取り憑かれ、落ち着いて読めないのは実に困った。

そして、S.J.モーデンの「火星無期懲役」。

火星無期懲役 (ハヤカワ文庫SF)
SJ モーデン
早川書房
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大ヒットしたアンディ・ウィアー「火星の人」の二匹目のどじょう狙いたちの中では出色の出来と言えるでしょう。
二匹目のどじょう呼ばわりは個人的偏見ではなくて、実際に「火星の人を意識した作品を」との出版社のオーダーを受けて書いた作品とのこと。本国ではすでに続編が出版されているとのことなので楽しみに待つ。

嬉しいことに今年も島田荘司先生の健筆は止まらなかった。
しかも久しぶりの吉敷竹史シリーズ!
「盲剣楼奇譚」です。

盲剣楼奇譚
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島田 荘司
文藝春秋
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吉敷竹史シリーズで通子さんが出てくると言うだけですでに涙ぐんでしまう。 たかが小説の登場人物と思っても、幸せそうな通子さんとの再会は、やはり心に温かい光と人生への信頼を取り戻してくれる。
そして物語は、禅の思想に導かれる謙虚さと満ち足りることの喜びがリードしていって、ラストで謎解きと謎の解明を上回る感銘をクロスさせる構成になっているんだなあ。
こんな陳腐な言葉は使いたくないが、他に言葉が見当たらない。
大傑作です。


2020年も、買っておいた佐藤亜紀先生の「黄金列車」が、すでにテーブルに置かれた状態で読まれるのを待っている。
楽しみでしょうがない。

黄金列車
黄金列車
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佐藤 亜紀
KADOKAWA (2019-10-31)
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いやあ、小説って本当にいいもんですね。

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