その中にチェット・ベイカーの東京ライブがあった。
僕は晩年のチェット・ベイカーが大好きで、だから1987年6月14日に昭和女子大学人見記念講堂で行われたというこのライヴを聴けて本当に嬉しかった。
Chet Baker
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アルバムの3曲目に「Almost Blue」とあって、エルヴィス・コステロのファンでもある僕は、彼が録ったカントリー・アルバムを思い出したが、まさかその曲のカバーとは思わなかった。
エルヴィス・コステロ
ユニバーサル インターナショナル (2007-09-05)
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チェットは例の弱々しいのに瑞々しさを失わない不思議な声で、この名バラッドを歌い上げていた。
コステロの奥様のダイアナ・クラールもカバーしている。
Diana Krall
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別に何かを調べようと思ったわけではないのだが、この取り合わせが不思議で、なんとなく検索エンジンに「チェット・ベイカー エルヴィス・コステロ」と入れてみると、意外にもこの二人の共演は古く、パンチ・ザ・クロック収録の名曲「シップ・ビルディング」にさかのぼるという。
エルヴィス・コステロ
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気が付かなかったなあ。
さっそく聴いてみると、後半のソロから歌の伴奏にかけて、少しエフェクティブな音で録られたチェットのトランペットが流れてきた。
言われて聴いてもわからないなあ。
でもそれがチェット・ベイカーなんだろう。
大学時代、サークルのたまり場で誰かが持ち込んだTOTOの新譜「ファーレンハイト」を聴いていたジャズ系ベーシストの先輩が、
「おい、最後のトランペット、もしかしてマイルスじゃないか」
と言って、実際その通りだったのを見て当時はけっこう驚いたものだが、今ならわかる。
マイルスなら誰のアルバムで聴いてもそうとわかるだろう。
でもダメかというとそうでもない。
スタイリッシュでクールで、どこにも「欠けている」ところのない音楽。
そんな気がする。
実際のチェットは欠けているところだらけだった。
ジャンキーで無鉄砲。いろいろとだらしない。
うまいことを言うつもりはないが、「歯」も欠けていた。
麻薬がらみでギャングにやられて前歯が無いんです。で、この「欠け」を利用してトランペットの新しい奏法を模索していたそうです。すげえ。 |
そんなところが、絶品B級ボイスのコステロと相性がいいのかもしれない。
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